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SOSHI BLOG

誰もが誰かのALLYになれる

2016年を振り返って

2016年の印象的だった出来事を、自分自身の振り返りも兼ねて。

 

1月

NHKの「あさイチ」に出演

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杉山文野さん、松中権さん、室井舞花さんと並んでとても緊張していました。
NHKの有働さんもV6の井ノ原さんもとても暖かくむかえていただいて、途中からだいぶリラックスできた気がしています。新年早々、貴重な体験をさせていただきました。

 

 

2月

イギリスでLGBT関連の団体を視察

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Stonewallやケンブリッジ大学LGBT学生委員会、イギリス初のゲイの国会議員のクリススミスさんにお会いしたり、濃厚な1週間でした。

その時感じたことなどをブログでもまとめています。

1.ゲイの大学生が、ケンブリッジ大学のLGBTの学生と会ってみてわかった3つのこと - SoshiMatsuoka BLOG

2.中学校で、LGBTへのいじめを防ぐためには - SoshiMatsuoka BLOG

3.「その後の記憶がない」イギリス初のゲイの国会議員がカミングアウトした結果 - SoshiMatsuoka BLOG

 

 

3月

TEDxMeijiUniversityに登壇

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MEIJI ALLY WEEKのことを中心にお話しました。スライドはシンプルに、時間制限のあるなか話すというプレゼンテーションスタイルから得るものは多かったです。

そのときの映像:LGBTの先には何があるのか | Soushi Matsuoka | TEDxMeijiUniversity - YouTube

 

 

愛知教育大学で講演

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中学時代の友達が愛知教育大学でBALLoonというサークルを立ち上げ、企画してくれたイベント。これから教職員を目指す方に多く参加していただけて印象的な会でした。

 

 

4月

日テレ「NEWS ZERO」に出演

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MEIJI ALLY WEEKの取り組みなどから「ALLY」について取り上げていただきました。桐谷美玲さんの顔が尋常じゃなく小さかった(笑)

 

SmartNewsインターンシップ

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所属しているNPO法人ReBitとして昨年度、SmartNews ATLAS Programの第1期に参加し支援していただいていましたが、その延長線上でインターンとして働かせてもらうことに。

現在は「SmartNews ATLAS Program 2 - 子どもが平等に夢見れる社会を残そう」というタイトルで第2期がスタートしています。ぜひご注目ください。

 

 

5月

TOKYO RAINBOW PRIDE

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初めての運営側スタッフとしてWEB/SNS周りを担当したり、CMとして自分の作った音楽と映像が渋谷のMODIの屋外広告に流れたのを見たのは感動でした。

 

 

6.7.8月

6-8月は一度就活を進めながら自分がやりたいことを考え直す期間でした。
9月から休学という選択をして、もう少しできることをやってみようと思っています。

 

 

9月

医療系学生団体Miのイベントに登壇

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同世代の違う業界の団体がやっているイベントでお話させてもらうのは初めてだったので印象的でした。

 

地元、名古屋で講演

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教職員の方や、地域の方、中学生高校生など幅広い年代の方が来ていただいて、地元でこうした動きが広がっていくのが嬉しかったです。

 

 

10月

RAINBOW CROSSING TOKYO開催

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ReBitで企業とLGBTがともに「自分らしく働く」を考えるをイベント、RAINBOW CROSSING TOKYOを開催し、主に広報まわりを担当しました。企業とLGBTやALLYのたくさんの方が交流できて、熱いイベントでした。

 

HuffingtonPost/LGBT総合研究所のイベントに参加

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就活や転職での困りごと等から考えるグループワークのモデレーターを務めました。

以下から当日のイベントの様子が見れます。

www.huffingtonpost.jp

 

 

11月

映画「ハンズオブラブ」上映会&トークショー開催

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明治大学で松竹さんと一緒に開催した映画「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」の上映会とトークショーの司会を担当しました。

 

一橋大学のイベントで登壇

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8月頃、一橋大学院の事件がWEBメディアを中心に多く報道されてから数ヶ月。一橋大学ジェンダー社会科学研究センター(CGraSS)主催のイベントで大学でできる支援についてお話しました。

 

 

12月

soarに掲載

soar-world.com

自分自身について記事として深く取り上げていただいたのは初めてで、貴重な経験でした。等身大の思いを語ることができたかなと思います。

 

AbemaTV「Abema Prime」で内閣府の結婚支援関連の検討会の提言案にコメントしました

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その前にコメントしたHuffingtonPostの記事をきっかけに提言案の内容も変わり、より多様な価値観を尊重する方向性になっていてよかったです。

 

九州大学で講演

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九州大学のキャリアデザインの授業、「王さまと王さま」を訳されたゲルマー・アンドレア先生主催の公開講座と、2日間かけて違う参加者層に向けてお話ができて、こちらも少しいつもと違う新しい経験をさせていただきました。

 

 

 

そんな2016年ももうすぐ終わり、新しい年が始まりますが、さっそくイベントがあったりと年明けから走り出していく予定です。

 

・1月13日(金)は、SmartNews ATLAS Programが贈る連続イベント「社会の子ども」のVol.2「子どもに誰が・いつ・どう性を伝えるか」トークショーを開催します

shakainokodomovol2.peatix.com

 

・1月15日(日)にはNPO法人ReBitの2016年度LGBT成人式を開催します

lgbtseijinshiki.themedia.jp

どちらも絶賛参加申し込み受付中ですので、ぜひおこしください。

 

2月からはNPO法人ETIC.のMAKERS UNIVERSITYに参加することになりました。 

makers-u.jp

 

昨年実施したMEIJI ALLY WEEKの時から、「誰もが誰かのALLYになれる」というコンセプトを掲げて活動してきました。

LGBTだけにとどまらず、ひとりひとりが持つあらゆる違いに対して味方でありたいと思った時、誰もが誰かのALLYになれる。

来年ももっとスピードを上げて進んでいきたいと思っています。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

 

2016年LGBTニュースまとめ

2016年を振り返って、個人的に印象に残っているLGBT関連のニュースをまとめてみました。

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1月

LGBT特集のイノッチ発言に賞賛「理解者になろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」

ネット上では、イノッチのこんな言葉が称賛を集めていました。

「人として付き合っていけたら一番いいと思うんですよ。ゲイだろうとレズビアンだろうと、いい奴も悪い奴もいると思うし」
「これを見てアライ(理解者)さんになろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」
「日本の社会のためには、みんなが気持ちよく仕事できるのが一番いいわけじゃないですか。制度とか難しいと思うけど、そういう方向に向かっていくしかないんじゃないかな」

 

2月

三重県伊賀市で同性パートナーシップ制度

三重県伊賀市は16日、同性カップルを公的に「パートナー」と認める制度を4月1日から始めると発表した。「LGBT」と呼ばれる性的少数者の人権を尊重する姿勢を示すことで、市民の意識改革を促す狙いがあるという。 

 

沖縄県那覇市でも同性パートナーシップ制度

 「性の多様性を尊重する都市・なは(通称・レインボーなは)」宣言した那覇市は、同性カップルを結婚と同等の関係と認める「パートナーシップ制度」を、「ピンクドット沖縄2016」が開催される7月17日をめどにスタートさせる。また同制度に加え、市独自の取り組みとして市職員で通称名の使用を希望する場合は、辞令交付などの行政処分にかかる場合を除き許可していく方針。

 

3月

LGBT」高校の教科書に掲載

2017年度の高校教科書に「LGBT」という言葉が盛り込まれる。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを指すこの言葉が教科書に登場するのは、これが初めてとされる。 

性的マイノリティや多様な家族についての記述は、地理歴史や公民、家庭の3教科の教科書計31点あり、うち家庭の4点がLGBTを取り上げたという。

 

生田斗真、桐谷健太と恋人役 初のトランスジェンダー女性役で新境地

俳優の生田斗真が、荻上直子監督が5年ぶりに手がけるオリジナル脚本の新作『彼らが本気で編むときは、』(2017年2月25日公開)で、初のトランスジェンダーの女性役で主演することが20日、わかった。

 

アメリカ全50州で、同性カップルが養子を迎えることが可能に

3月31日、アメリカの連邦裁判所は、ミシシッピ州の同性カップルが養子を迎えることを禁じた法律を違憲とする判決を下した。これにより、アメリカの全50州で同性カップルが養子を迎えることが合法となった。

 

4月 

文科省が性的マイノリティの児童生徒に関する教職員向けパンフレットを公開

LGBTなど「性的マイノリティ」の児童生徒について、教育現場はどう対応すべきか。文部科学省は4月1日、教職員向けパンフレットを公表した。

文科省が2014年に実施した調査や、2015年4月に出したLGBTの児童生徒への配慮を求めた通知がベースになっている。

 

5月

イタリア、結婚に準ずる権利認める 同性カップル権利法が成立

イタリアで5月11日、同性カップルに結婚に準じた権利を認める「シビル・ユニオン」の合法化法が下院で可決した。
レンツィ首相は公式Facebookページで、「多くの人にとって記念すべき日となった。ついに認められたと感じる人も、今夜は眠れなかった人も、どこで祝おうかと思っている人も、もう待てないと思っていた人も」などと書き込んだ。
これにより、G7の主要7カ国で同性カップルに関する国の法律がないのは日本のみとなった。

 

本の学校におけるLGBT生徒へのいじめと排除 HRW調査

日本政府は、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーLGBT)の子どもを学校でのいじめから保護できていないと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で指摘した。LGBTの人びとへの平等な権利保障に関する議論が社会全体で高まる中、国のいじめ防止対策は2016年の見直し時期を迎える。

 

東京レインボープライド2016開催

同性愛やトランスジェンダーといった性的少数者(LGBTなど)が自分らしく生きることができる社会を目指そう、と訴える「東京レインボープライド2016」のメインイベント「フェスタ」が7日、東京都渋谷区の代々木公園で始まった。

運営委員会によると、今年は過去最高の7万人の来場を見込んでいるという。

 

The Huffington Post
東京レインボープライド2016、大盛況のフェスタ初日に行ってみた(画像集)

BuzzFeed
東京レインボープライド 代々木公園で国内最大級のLGBTフェスタ

 

KABA.ちゃんが女性の声を初披露 性別適合手術後、初の番組生出演

 

6月

フロリダ ゲイクラブ銃乱射事件

12日午前2時ごろに同性愛者向けのナイトクラブ「パルス」内で乱射を始めたという。49人が死亡、53人が負傷して病院に運ばれた。13日朝までに、死者48人の身元が確認されたという。

 

 イギリス ウィリアム王子がゲイ雑誌の表紙を飾る

英国の同性愛者向け雑誌「アティチュード」の表紙にイギリス王室のウィリアム王子が掲載され、LGBTへのいじめ問題について「どんな人でも性のあり方によっていじめを受けることがあってはならない」と語りました。

 

8月 

一橋大学ロースクールの男性がアウティングにより自死

一橋大学ロースクールに通っていた男性(当時25)が、校舎から転落して亡くなった。仮名をAくんとする。彼はゲイであることを同級生にばらされ、苦しんでいた。愛知県在住の遺族は、秘密をバラした同級生や大学を提訴。85日、東京地裁で、第1回の口頭弁論が開かれた。

 

リオ五輪、LGBT選手の参加者数が過去最高に

欧米メディアによると、リオデジャネイロ五輪性的少数者(LGBT)の参加者数が過去最高となった。米CNNテレビは人権団体の調べとして、今回は少なくとも41人が出場し、23人だった2012年ロンドン五輪を超えたと報じた。

 

LGBT、働く人の8% 職場にいると「抵抗を感じる」が35% 連合が調査

職場の上司や同僚、部下などが、いわゆるLGB(同性愛者、バイセクシュアル)であった場合、どのように感じるか聞いたところ、「嫌だ」(どちらかといえばを含む)は35.0%、「嫌でない」(同)は65.0%。職場に同性愛者やバイセクシュアルがいることに抵抗を感じるという人は3人に1人の割合となった。

 

10月

work with Pride 2016開催


11月

渋谷区 同性パートナーシップ証明書発行から1年

2015115日にスタートした同性カップルへの「パートナーシップ証明書」の発行開始から1年、渋谷区はダイバーシティ推進のための施策を積極的に進めている。今度はLGBTのためのコミュニティスペースの設置を打ち出し、そのキックオフイベントが113日、行われた。

 

ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ大統領に


12月

成宮寛貴さん報じたメディアの罪、ゲイ当事者が指摘「同性愛"疑惑"が娯楽として消費された」

同性愛の当事者は、一連の報道の渦をどのように受け止めたのか。ゲイを公表している南和行弁護士は、ハフィントンポストに寄稿し、「同性愛の噂話が娯楽として消費される」ことで同性愛者らへ与えた被害を以下のように指摘した。

 

 札幌市 同性パートナーシップ制度を検討 政令指定都市では初

市の案では、希望するカップルに証明書を交付し、婚姻関係にある異性パートナーに準じた扱いが受けられるようにする。これまで同性同士では困難とされてきた生命保険の受け取りや住宅入居時の手続きがしやすくなると見込まれる。

 

台湾で同性婚認める法案の審議開始 アジア初

台湾で同性婚を認めることを盛り込んだ民法の改正案が議会に提出され、アジアで初めて同性婚が法的に認められるかどうか、審議の行方に関心が高まっています。

台湾では「LGBT」と呼ばれる性的マイノリティーへの理解が若者を中心に進んでいて、ことし10月には当事者や支援者による8万人規模のパレードが開かれ、蔡英文総統も同性婚への支持を表明しています。

 

ジョージ・マイケルさん死去

英国のシンガー・ソングライタージョージマイケルさんが死去した。53歳だった。マイケルさんの広報担当者が25日、「自宅で安らかに息を引き取った」と発表した。98年に自ら同性愛者であることを公表。 

 

Beyond the Rainbow

5月に開催された東京レインボープライド2016のテーマが「Beyond the Rainbow 〜LGBTブームを超えて〜」でした。

今年もLGBTという言葉を多くの場所で見聞きしました。理解が広がっていくことは素晴らしいことですし、LGBTLGBTではない人にとっても、より自分らしく生きられる社会へつながることだと思います。

2016年を振り返って、嬉しいニュースも多くありましたが、それと同時に悲しい事件も世界中で起きていて心が痛みます。

まだまだLGBTが抱える困難は山積しています。ブームとして終わらせるだけでなく、ひとつひとつ着実に解消していきたい。

LGBTって言葉を前によく聞いたけど、あれ何だったんだろう」ではなく、「LGBTなんて言葉が昔はあったらしいね」と、LGBTLGBTではないかというカテゴリーにもとらわれず、自分らしく生きている人たちがあたりまえに存在している世の中になると良いなと思います。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

「異性愛、法律で禁止へ」高校生が映画を通して描く、セクシュアルマイノリティの生きづらさ

NPO法人映画甲子園主催 高校生のためのeiga worldcup 2016の結果が先日発表されました。
自由部門の優秀作品賞を受賞したのは、愛知県立昭和高等学校の「The Other Side」という作品。
扱うテーマは「セクシュアルマイノリティ」です。

 

映画はこちら

jimotv.jp

 

映画紹介文

性的少数者への差別や偏見をテーマにしました。登場人物達の抱える生きづらさがより身近に伝わるように世界観を工夫しました。

 

冒頭から引き込まれるものでした。
テレビに映るテロップには「異性愛 法律で禁止へ」の文字。

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*1

2年前の自然受精禁止法の成立に続き、2月16日、欧米諸国に続いてここ日本でも異性愛者禁止法が国会で成立しました。この法案により、今まで法的には犯罪とみなされていなかった異性間の交際、また、交際している男女の同居が法的に禁止されることとなりました。

背景としては、人口に対して同性愛者が異性愛者より多く、精度の高い人工授精によって、自然出産より安全で健康な子どもが生まれる確率が高い社会。つまり、マジョリティである同性愛者が安全な人工授精によって子どもを授かるより、異性愛者の自然妊娠・出産の方がリスクが高いことから、この異性愛者禁止法が成立しているという設定でした。
 
異性愛者がマイノリティであり、社会から抑圧されている中、物語ではある高校の教室で一組の男女がお互いを好きになります。周囲に異性愛者だとバレないよう、二人はお互いに同性の偽名をつけあい、同性のカップルを装いながらLINEや電話で愛を育んでいく。しかし、二人の関係は長くは続きませんでした….

 

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*2

 

この映画の中の、同性愛が”普通"である社会で一組の男女のカップルがお互いを好きになっていく過程を見ていると、今私たちが生きる現実の社会と対比していまい、結局異性愛は美しく、素晴らしい、異性愛至上主義のようなものを描いているのかなと、ふと思ってしまっている自分がいました。しかし、この映画が伝えたいのはそんなことではありませんでした。
好きになる性、性的指向が「多数派ではない」たったそれだけで社会から抜け落ちてしまう。差別や偏見にさらされ、自分で自分自身のことを否定してしまう、そんなマイノリティの生きづらさをリアルに描写しており、クライマックスでは、現実と同じようにシンプルな解決方法などなく、それでも尚前進する。高校生を生きる彼ら自身が考えるあるひとつの答えが提示されています。
 

次の世代が歩きやすいように

実は私もこの愛知県立昭和高等学校の出身であり、しかも映画研究部にも少し所属していました。
今回、映画研究部でこの映画の脚本を書いた当事者の高校生が私に連絡をしてきてくれたことで、映画のことを知りました。
彼は高校でもゲイであることを特に隠すことなく生活しているそうです。私が通っていた頃は自分のセクシュアリティに気づきつつも、なかなか周囲にはオープンにはできずにいたので、彼の勇気は本当に素晴らしいなと思います。
 
ここ数年で「LGBT」という言葉がメディアでもよく取り上げられ、一種のブームのように語られてきていますが、はたして当事者は自分らしく生きられるようになってきているのだろうかと思うと、時々わからなくなることがあります。例えば、同世代の自分の周囲では徐々に意識が変わってきているように感じることもありますが、とはいえ一橋大学院でゲイの学生が自死した事件等も現実にはまだまだ起きています。職場の同僚が同性愛者・両性愛者だったら嫌だと答える人が35%もいるという調査もあります日本労働組合総連合会LGBTに関する職場の意識調査」2016年6月-7月)
 
もちろん、今こうして私が自分らしく生きていると思えていることや、ブログを書いたり、LGBTについて発信できているのも、次の世代が歩きやすいよう、先人たちが道を切り開いてくれたからこそだと思います。今すぐに目に見える形ではないかもしれないけれど、一歩一歩着実に前に進んで行くことで、その次を歩く人たちの足どりが軽くなっていたり、選択できる道が増えていたり、自分自身を否定しないですむようになっていたらいいなと思って、そう信じて活動しています。
そんな中、自分も通っていた高校で、いま自分らしく学校生活を送っている人がいる。それだけでなく映画という手法でまた次の道を繋いでいる。こんなに素敵なことはないと思いました。
 

わたしの「ふつう」とあなたの「ふつう」は違う。それを、わたしたちの「ふつう」にしよう。

同じく愛知県つながりで、先日話題になった人権週間に合わせて制作された啓発ポスターには、こんな言葉が書かれています。
わたしの「ふつう」とあなたの「ふつう」は違う。それを、わたしたちの「ふつう」にしよう。
例えば自己紹介で「松岡宗嗣です。7月29日生まれで、A型のしし座です。」と、血液型や星座を言うのと同じように「ゲイです。」と、言っても言わなくてもどっちでも良い、それくらいセクシュアリティが多様であることが"あたりまえ"になるといいなと思います。
 
高校生が描く、力強い30分のメッセージです。ぜひ見てみてください。
 
映画「The Other Side

 

ちなみに、同校の「いる夏、いない夏。」という作品も入賞しています。2作同時に入賞はすごいですね。是非あわせてご覧ください。

*1:映画「The Other Side」より

*2:映画「The Other Side」より

「卒業したら死のうと思う」と語った先輩へ、なにも伝えられなかったLGBTの後悔

LGBTレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字からとった性的マイノリティの総称のひとつ)は日本の人口のうち約7.6%=13人に1人と言われています。既に約484万人のLGBTが日本全国で、あなたの隣で、働いています。

しかし、就職活動中に「ホモ」や「オカマ」といった差別用語によるハラスメントを受けることや、就職後も、配属先で笑いの対象にされたり、自分のセクシュアリティがバレないよう嘘を続けながら働いているLGBTも少なくありません。

今回、私が所属しているNPO法人ReBitの代表である藥師実芳さんへインタビューをし、自身の体験から、就労におけるLGBTの抱える困難や、それらを解消するきっかけとなるイベントについて語っていただきました。

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「卒業したら死のうと思う」と語った先輩へ、なにも伝えられなかった後悔


LGBTの就活・就労に対する事業を展開することになったきっかけは、藥師さんが大学3年生の時。「1つ上にトランスジェンダーの先輩がいたんですけど、周りにもセクシュアリティをオープンにし、常に明るく、みんなから好かれているような人でした。でもある時、その先輩は「大学を卒業したら死ぬしかない。自分はトランスジェンダーだからどうせ働けない」とぽろっと言ったんです。
「そんなことないですよ」と答えたけれど、その根拠がなかった。ここに行ったらサポートがある、こんなロールモデルがいる、こんなLGBTフレンドリーな企業があるという情報が当時はほとんどなくて」と藥師さんは語ります。

その翌年、藥師さん自身が就職活動を経験。結果としては、50社受けて2社内定を獲得するも、誰に相談すればいいのかもわからず「よく就活帰りの中央線でひとりで泣いていました。」と語りました。
受けた会社によっては、トランスジェンダーであることを理由に、面接の途中で帰らされたり、面白おかしく話を聞かれたり、体の構造について聞かれるなど、ハラスメントを受けることもありました。

「こういった悩みを相談できたり、共有できる場や、ロールモデルLGBTフレンドリーな企業に出会える場があればよかった」そんな思いから社会人1年目にキャリアカウンセラーの資格を取得し、LGBT就活支援を始めました。3年目を迎えるこの事業では約500人のLGBT就活生を応援。日本初となるLGBT就活サイトも立ち上げました。

セクシュアリティのせいで、自分に選択肢が少ないんじゃないかと感じている人がいるとしたら、そうでないと伝えたい。どんな業界でも、どんな業種でも選べる。そんなメッセージを企業と一緒に伝えていきたい。」

学齢期、就活期、就労初期からLGBTをサポートしたい


「国内の約484万人のLGBTのうち、同僚一人にでもカミングアウトしているLGBTの割合は4.8%。300人の職場でようやく1人カミングアウトできているかいないかという状況です。」と藥師さんは語ります。(電通ダイバーシティ・ラボ LGBT調査 2015年4月 LGBT500人への調査

自分の上司や同僚・部下が同性愛者や両性愛者だった場合「嫌だ」と答えた人は約35%という調査もあり(日本労働組合総連合会LGBTに関する職場の意識調査」2016年6月-7月)、このカミングアウトの割合の低さの背景には、こういった嫌悪があると考えられます。

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LGBTの人は就活のときも、はたらきはじめてからも困りやすいんです」と藥師さんはいいます。

カミングアウトをして就活をすると、面接官に理解がない場合、ハラスメントを受けることがあります。また、カミングアウトをしないで就活をすると、セクシュアリティアイデンティティのひとつだからこそ、例えば学生時代にがんばってきたことや、その企業に入りたい理由の背景にセクシュアリティが関わっていた場合、嘘をつかないといけません。また、LGBTについての研修や福利厚生の状況を企業側に聞くことができず、結果的に「自分が安全に働ける職場なのかどうか」を知ることができません。

履歴書の男女欄の記入や、職場でのカミングアウトなど、トランスジェンダーの約69%、同性愛者や両性愛者の約40%が求職時に困難を感じるといわれています。

(出展:特定非営利活動法人 虹色ダイバーシティ国際基督教大学ジェンダー研究センター2015)

働きはじめると更に困難があります。カミングアウトして働く場合、人事には理解があっても、配属先にLGBTに対する理解がないと、ハラスメントなどにつながります。また、カミングアウトしていない場合でも、例えば「土日なにしてたの?」と聞かれたときに、同性パートナーをはじめとした家族や、自分自身について開示することが難しくなることで、コミュニケーションや人間関係に困難が生じることがあります。

また、福利厚生に同性パートナーが家族と想定されないことで、同性パートナーが入院した場合に休みが取れなかったり、転勤になった際にパートナーと一緒に行く事ができないことがあり、その職場で働き続けることが困難になることがあります。

違いを想定している場所は、誰にとっても働きやすい場所


「カミングアウトしても、しなくても自分らしく働くことができる職場が理想です」と藥師さんは語ります。誰かがカミングアウトしていてもしてなくてもLGBTの人がいることが前提となっている職場。そして、LGBTの存在が想定されている場所は、LGBTではない人にとっても働きやすい場所だと思います。例えば信仰の違いや、考え方の違い、文化の違いなど、目に見えない違いも含めた違いが想定されている職場は、誰にとっても働きやすい職場であるはずです。

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あなたが選べない選択肢はないと伝えたい


人生においても大部分を占める「職場」で、自分らしく生きることができないことはとても辛いことです。
そんな中、最近ではLGBTへの差別禁止規定を明文化したり、同性パートナーも配偶者と認め結婚祝い金を支給する企業が出てきました。さらに、死亡保険金の受取人を同性パートナーに指定できるプランを整えたり、企業の中にLGBTの社員コミュニティができる企業も出てきました。少しずつですが、社会は変わりつつあります。

LGBTでも職業の選択肢を狭める必要はない。「あなたが選べない選択肢はない」と伝えていくために、NPO法人ReBitでは、様々な業界のLGBT施策に取り組む企業を呼び、企業も、LGBTLGBTでない人も、就活生も、学生も、社会人も、ともに「自分らしくはたらく」を考えるワークEXPO「RAINBOW CROSSING TOKYO」を10月8日(土)に開催することになりました。

「このイベントに何百人という人がくることは、企業のダイバーシティ施策を後押しする強いメッセージになります。企業が変えてください、ではなく、このイベントに来たあなた自身が企業を変えるメッセージになる。来場したひとりひとりのストーリーを企業側が感じとって、行動に移していく、その交差点を作りたい。」と藥師さんは語ります。

RAINBOW CROSSING TOKYOの「CROSSING=交差点」には、企業と企業の交差、企業と学生の交差、企業とLGBTの交差、LGBTLGBTじゃない人の交差。様々な人や思いが交差する場をつくりたいという願いが込められています。

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LGBTも、ALLYも、一緒に


RAINBOW CROSSING TOKYOでは、企業による講演や、各企業と参加者との交流ブース、LGBTLGBTを理解し、支援したいという「ALLY(アライ)」の社会人によるパネルトーク、個別質問会、オーダーメイドスーツの採寸や販売など、多数のコンテンツが実施されます。

参加は無料で、対象は、自分らしくはたらくことに興味のある就活生・学生・求職者・社会人(年齢・セクシュアリティ不問)です。もちろんLGBTではない人も参加できます。

LGBTは見た目で違いはわからないけれど、あなたの隣にも必ずいる。あなたが知ることで職場がLGBTフレンドリーになるきっかけになる。」と藥師さんは言います。

自分の職場にLGBTがいるかわからない、カミングアウトされたけど、どう応えればいいかわからなかったという人、社会人でも学生や就活生でも、これから職場でALLYとして行動したいけど、どうすれば良いかわからないという人の、ひとつのきっかけになるはずです。

13人に1人のLGBTだけでは職場は変えられません。ALLYと一緒に声をあげて行動していくこと、13人のうち13人が声をあげていくことで環境は変わっていきます。

RAINBOW CROSSING TOKYO


最後に、藥師さんがFacebookで投稿した一文を載せたいと思います。

5年前、「どうせ働けないから死のうと思う」とトランスジェンダーの先輩に言われた僕は何も言えなくて。
4年前、実際就活をすると不安を誰にも相談できずにひとり泣いた。
3年前、「LGBT就活」をはじめて今までに約500名のはたらくを応援。
2年前、構想をはじめたイベントを、いよいよリリースしました。

10月8日、やります。
学生も就活生も既卒生も社会人も、企業関係者も支援者も。LGBTの人もLGBTじゃない人も。あなたに、来てほしいと思ってます。

 

空き家で貧困を解決する!?「ハウジングファースト」とは

「ハウジングファースト」という言葉を聞いたことがありますか?

これは1990年代にアメリカではじまったもので、住まいを失った人々に生活訓練や就労支援等ではなく、まず最優先に安心して暮らせる住まいを提供するというホームレス支援のアプローチのひとつです。

私自身この言葉を知ったのはつい最近でした。そのきっかけである、8月21日にスマートニュース株式会社で行われたイベント「空き家で貧困を解決する〜ハウジングファーストの挑戦〜稲葉剛×森川すいめい×望月優大トークイベント」について紹介したいと思います。

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ホームレス支援のシステム


現在のホームレス支援のシステムでは、例えば路上やネットカフェで生活する方が福祉事務所で生活補助を申請したとき、民間の宿泊所やドヤと呼ばれる簡易宿泊所に移されるそうです。そこから老人ホームやアパートを借りたりという流れもあるそうですが、問題はその前の宿泊施設。

そこは大人数での集合生活を余儀なくされたり、汚れや虫の発生など劣悪な環境下で、多くの施設利用者はそこから退去してしまったり、場合によっては施設に入所してから精神疾患を患ってしまうこともあるそうです。

ちなみに最近では、路上生活者だけでなくアパートに住んでいる低年金の高齢者がアパート立ち退きになったことがきっかけで、生活保護をうけ施設に入ることが多くなっているとのことで、同じように施設への入所と劣悪な環境により退去を繰り返してしまうこともあるそう。

そんな中、カナダやフランス、スウェーデン、スペイン、ポルトガル、オランダ、オーストラリア等の各国で取り組まれているハウジングファーストという考え方が注目されています。

そして、それを日本でも実践していこうと、登壇者の1人である稲葉剛さんが代表理事をつとめる一般社団法人つくろい東京ファンドを中心に、ハウジングファースト東京プロジェクトが結成され、現在はクラウドファンディングでその資金を集めています。

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「信頼すること」と「失敗させること」


登壇者の1人で精神科医の森川すいめいさんは、アメリカで実際にハウジングファーストによるホームレス支援を実施しているNGO「Pathways to Housing PAの事例より、従来型の支援の問題点と、なぜハウジングファーストが良いのかを説明していただきました。

従来のホームレス支援では、どこかに住むために一定期間治療や生活訓練を行い、その後アパート入居を目指すという方式が取られていました。しかし、それでは多くの人が途中でドロップアウトして路上生活に戻ってしまったり、アパートに入居できるようになるまでの時間がすごく長くなったり、また、アパートに入居できた途端支援がストップしてしまったりすることで自力での生活が困難になり、再び路上生活に戻ってしまう等、多くの問題を抱えていました。

Pathways to Housing PAでは、最初からアパートを提供し、例えば電気のつけ方や買い物の仕方を教えたり、多職種のチームや地域でサポートを行うことで、利用者の自由度が高くなったことや、退去率が低くなったことが理由で、従来の長い時間をかけてアパートへ入居させる方法よりも効率的かつ社会的なコストを削減することができたそうです。

Pathwaysは「何回でも失敗していい。あなたが刑務所に行こうと薬物を使用しようと常に私たちはあなたの味方だ。」という強い意志を持ってサポートを行っているそうで、「信頼すること」や「失敗させること」はホームレス支援にかかわらず、自立に向けた重要な要素であることを教えていただきました。

また、Pathwaysが実施しているハウジングファーストには35項目のルールに近いものが作られていて、その項目を得点化することで高いところには国から補助がでたりと、しっかり制度として整えてルールを守って運用していくことも大切だということをお話していただきました。

とはいえ、家があって、生活への支援があればそれでいいのかというとそうではない。と、つくろい東京ファンドスタッフの大澤さんは語ります。

ホームレスは住むところがないだけではなく「孤独」であることも、自身の自尊感情を低下させてしまっている要因である。と、あるホームレスの方がホームレス生活を通して存在意義が薄れていってしまった話など、具体的な事例を交えてお話ししていただきました。

自由ではあるが孤独。

家だけではなく、コミュニティの形成など多角的な支援が必要である現状。ハウジングファーストのこれからの課題についても教えていただきました。

貧困という課題にどのような姿勢でのぞむか


モデレーターをつとめたスマートニュースの望月さんの「生活保護を受けている人に対する世間の視線はなかなか厳しい。もちろんホームレス支援の現場などにもっと人が増えていってほしいと思うが、そうではない人たちが、貧困という課題に対してどのような姿勢でのぞめば良いのか」という質問に対して、つくろい東京ファンドの稲葉さんは生活保護受給者の割合について説明していただきました。

本来生活保護を受けることができる人のうち、実際に生活保護を受けている人はたったの2割。

その理由は大きく2つあり、1つ目は生活保護の申請者に対する差別的な運用によって、窓口で追い返されてしまう「水際作戦」と呼ばれるもの。2つ目は、生活保護を受けるということ自体に対する後ろめたさ、世間の目を気にしてのことだそうです。この世間の目に対して精神科医の森川さんは「自分とちょっと違う人といかに生きていくかを意識して考えてほしい」と語ります。

現在、世界中の精神科の病室のベッドのうち5分の1が実は日本にあると言われているそうです。地域でちょっとヘンな人がいたらすぐに病院に行けと言われたり、ちょっと自分と違うひとをすぐに排除する日本の空気感が理由のひとつではないかとお話ししていただきました。

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隣近所からあいさつをするところからはじめたい


自殺で亡くなる割合が低い地域は、うつ病の人がそれに後ろめたさを感じず表に出せる人の割合が多いそう。そして周囲もそれに対して「大変だね」といってむしろ積極的に関わったりする。そういうエリアは、やはり道端で他人と関わる雰囲気がある地域が多いそうです。

そう考えてみると、ホームレスや貧困の問題は決して遠いものではなく、とても身近なことなのではないかと実感が湧いてきます。ひととのコミュニケーションや多様性を受け入れあえる価値観、社会の仕組みや、そして幸せのあり方。普段私がLGBTへの理解を求めて活動していることと繋がる点が多くあったと感じました。

相対的な貧困率や子どもの貧困率は高くなってきています。それに対して実は空き家率も高くなっているそうです。このイベントをはじめ、空き家で貧困を解決しようとハウジングファーストを実践するために日々奮闘している方々を応援しています。

そして私自身も、まずは隣近所からあいさつをするところから始めてみようかなと思います。

「その後の記憶がない」イギリス初のゲイの国会議員がカミングアウトした結果

こんにちは、オープンリーゲイの大学生で、NPO法人ReBitスタッフの松岡宗嗣です。イギリスに行って感じたことをブログを書いてきましたが、これが(勝手に)最終回です。

第1回

soshi-matsuoka.hatenablog.com


第2回

soshi-matsuoka.hatenablog.com

 

最終回は「LGBTに関する政治」についてです。
イギリスで様々なLGBTの団体や活動家の方とお話しするなかで、私は、ある歴史的な共通のターニングポイントがあること気づきました。それは「1980年代」です。

激動の1980 年代


映画「パレードへようこそ」で登場するLGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)が、サッチャー政権のもと抑圧されてきた炭鉱労働者たちと連帯したのが1980年代。

LGBTの権利に関する運動が広がっていく中、Stonewallが生まれるきっかけとなった法律"Section28"が作られたのが1988年。そして、ゲイであることをはじめてオープンにした国会議員が誕生したのが1984年。こうした1980年代の動きはイギリスのLGBTの歴史にとって重要であったと思います。

様々な葛藤や憶測や決断で渦巻く1980年代の中で、私は特に重要だったある人物にお会いすることができました。

その人物とは、国会議員クリス・スミスさんです。

イギリス初、ゲイの国会議員


クリス・スミスさんは1984年に国会議員はじめてゲイであることをカミングアウトした政治家で、2005年には、同じく国会議員ではじめてHIV陽性者であることもオープンにした方です。

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クリスさんが国会議員になったのは1983年。当時はゲイであることを公的にはオープンにせず、身近な人にだけカミングアウトしていたそうです。

選挙中、もし誰かにばらされてしまったら?という問いに対しては、「はい、私はゲイです。それが何か?次の質問は?」と答える気でいたそうです。しかし結果的に誰に何も聞かれることはなく、セクシュアリティがオープンになることはなかったということでした。

当選を果たしてから、クリスさんの心の中には自分らしく生きたいという気持ちと、周囲のLGBTの活動家が批難されている現実を見て、いつか公的にカミングアウトしようと決心していたそうです。

私の名前はクリス・スミスです、そして私はゲイです


その時が訪れたのは1984年の11月。ある街でできたLGBTを差別する法案に対して反対デモが行われ、クリスさんは応援演説を頼まれました。遅刻してデモに参加したクリスさんは約1000人の参加者を前にして、冒頭こう話し始めました。

「My name is Chris Smith. I am Gay.(私の名前はクリス・スミスです、そして私はゲイです)」

観客は立ち上がり盛大な拍手を送りました。

「スピーチしはじめて1分以内に拍手を送られたことは人生でこの1回だけだ」と、今だからこそ笑いながらお話していただきましたが、当時のカミングアウトはとても怖かったそう。そのスピーチの後の記憶が全然ないと語っていただいたことから、計り知れない覚悟を感じました。

その後クリスさんのカミングアウトは多くのメディアにとりあげられ、LGBTの当事者からお礼や感謝の手紙が多く寄せられたそうです。LGBTに対して偏見のあった政治家たちも、クリスさんがカミングアウトしてから、LGBTへの対応が良い意味で徐々に変化していきました。

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正直であること


クリスさんの次にLGBTであることをオープンにした国会議員が誕生したのは、クリスさんがカミングアウトしてから約9年後。ゲイであることをはじめて公的に明かしたクリスさんは、多くのLGBTを救ったのだろうと思います。

最後に、日本の政治家に一言いうとしたら何を言いますか?と質問したところ
「もしゲイであることを隠している政治家の方がいたら、私はカミングアウトすることを応援します。国民は"正直"であることを望むからです。」と笑顔で答えてくれました。

中学校で、LGBTへのいじめを防ぐためには

こんにちは、オープンリーゲイの大学生で、NPO法人ReBitスタッフの松岡宗嗣です。前回はケンブリッジ大学LGBTの学生に話を聞いてみました。

前回:

soshi-matsuoka.hatenablog.com

 

今回は、「LGBTに関する教育」について触れてみたいと思います。私自身NPO法人ReBitのスタッフとしてLGBTについての出張授業を行っていることもあり、イギリスのLGBT関係の団体はどのようにLGBTについての授業や研修をしているのか気になっていました。

そこで、イギリスのLGBT関係の団体の中でも特に大きいNGOであるStonewallにお邪魔してきました!

出迎えてくださったのは、キットさんとクレアさんです。

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Stonewallは1989年に設立したNGO団体で、Section28と呼ばれる「公的な教育現場で同性愛を助長してはならない」という法律に反対するために生まれました。創設者のなかの一人には、映画ロード・オブ・ザ・リングガンダルフ役でも有名なイアン・マッケランさんがいます。

Stonewallの活動は政治家へのロビー活動や学校、企業への研修、独自のキャンペーンなど多岐にわたります。また、国内外のLGBTに関する多くの団体や活動家をつないでいる役割も担っているそうです。オフィスはロンドンのウォータールー駅付近のビルにあり、中も広くて綺麗で驚かされました。

LGBTについて先生が先生を教えるための研修

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私が所属するNPO法人ReBitで実施する出張授業では、小学校から大学まで、様々な学校にLGBTの学生メンバーが伺い、学生や教職員の方向けにLGBTの基礎知識だけでなく自分自身のライフヒストリーなどを話しています。

それに対して、Stonewallが教育現場で実施しているLGBTについての教育で特徴的だったのは、"Teacher training"(先生への研修)に加えて、 "Teacher to Teacher training"(先生が先生を教えるための研修)を行っている点です。現場の先生が生徒だけでなく、他の先生にも伝えていけるような研修を実施しているのは素晴らしいですね。

研修の際に、Stonewall ではテキストや授業案、DVDなどをセットにしたInformation Packという授業キットを先生たちに配布しているそうです。実際に使用している教材やDVD、グッズなどをお土産として一部いただいてきました!

教材の中には、「ストレートアライとして、どのようにLGBTフレンドリーな職場を作ることができるか」というものや、「女性であり、レズビアンであることとは」など、細かく視点が分かれているものもあります。(一部PDFでも手に入れることができます)

今回は、日本におけるLGBT教育にも応用できそう!ということで、中学校向けLGBT教育の入門書にあたる"Getting Started"を一部紹介したいと思います。

中学校で、LGBTへのいじめを防ぐためには


Getting startedの副題は「中学校における同性愛や両性愛トランスジェンダーへの嫌悪によるいじめを防ぐためのツールキット」となっています。

使い方としては、このテキストをもとにLGBTに対するいじめをどのように防ぐかを5つのステップに従って考えていきます。テキストの中にはいくつかのテンプレートやチェックリストがあり、それらがこの教材を使用している人を手助けしてくれます。

テキストではまず、用語集、いじめの実態、法律ではどうなっているか、差別用語の例がコンパクトにまとめられています。ここを読むだけでもふむふむと納得できそう。

いじめを防ぐ5つのステップ


どのようにいじめや差別発言等を防いでいくかを示す5つのステップがこちら。

1.グランドルールをつくる
同性愛や両性愛トランスジェンダー嫌悪によるいじめに対してのポリシーを明確にしましょう。

2.学校の方針について、保護者とコミュニケーションをとる
手紙などを利用して、いじめに反対するポリシーについて保護者の方々とコミュニケーションをとりましょう。

3.実態を記録する
いじめや差別用語の実態をモニタリングし、記録しましょう。

4.学校で何が起こっているかを調査する
生徒や職員、保護者に対し、いじめや差別的言動についてアンケート等で調査しましょう。

5.LGBTの若者をサポートする
チェックリストを利用し、LGBTに関する情報や学校の制度を確実にしましょう。

それぞれの項目にはツールキットと呼ばれる例やチェックリストが載っており、そちらも参考にしながら実際に考えていくことができます。
Getting Startedをはじめ、いただいた教材の多くはpdfでWEBサイトにアップされています。関心のある方はStonewallのページからぜひダウンロードしてみてください。

Some people are gay. Get over it!


Stonewallが大々的に行っているキャンペーンに "Some people are gay. Get over it!"というものがあります。「何人かはゲイなんだから、しょうがないじゃん!」みたいな意味。つまり、LGBTと呼ばれる人たちがいることはまぎれもない事実なんだから、困り事に対して取り組んでいかなきゃいけないでしょ!という強めなメッセージです(笑)

日本も含めて世界中のどこでもLGBTはいます。今まではいないとされていたものが、実は見えていなかっただけ。今を生きている人だけでなく、次の世代のひとたちがより自分らしく生きていけるよう、教育をはじめ、あらゆる角度からGet over it!と強めに(笑)声をあげていくのも良いかもしれません。