「保毛尾田保毛男」という負の遺産が2017年に復活してしまった

フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした。」が30周年を記念したスペシャル番組を放送した。その中で「保毛尾田保毛男」に扮した石橋貴明と「ノリ子」に扮した木梨憲武が登場。

まさか2017年に「ホモ」という言葉をテレビから聞くことになるとは思ってもみなかった。

 

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「この格好は28年ぶり」と話す「保毛尾田」こと石橋は、顔の下半分を青くして露骨な青ヒゲを表現し、頬はピンクに塗り、くぐもった話し方をする。

共にコーナーに参加したビートたけしが保毛尾田(石橋)を見て「別の国に行ったら死刑だぞ」と笑う。さらに「小学校のときこういうオヤジが公園で待っていた。みんなで一緒になって逃げたことある」と続ける。

ノリ子(木梨)がすかさず「あんたホモでしょ?」と聞くと
保毛尾田(石橋)は「ホモでなくて、あくまでも噂なの」と答えた。

きっとこのくだりが約30年前にやっていたネタなのだろう。全く面白くもない。

 

 

私は保毛尾田保毛男をリアルタイムで見たことはないが、人から当時の様子などを聞いたことがある。

年上のゲイの知人は、自身のセクシュアリティに悩んでいたとき、最初に見た同性愛のキャラクターが保毛尾田保毛男で絶望したと言っていた。

当時は今よりももっと声をあげにくかったのだろうと想像する。保毛尾田保毛男がテレビの中で同性愛者をネタにして、面白おかしく振る舞い、周りもそれを見て笑う。テレビを見ていた人たちは、次の日、学校などで保毛尾田保毛男のマネをして「ホモ」「きもい」と笑っていたのではないだろうか。

その中にはきっと同性愛・両性愛者の児童生徒もいただろう。痛みをこらえながら無理して周りにあわせ、一緒になって笑っていたかもしれない。そして、自分で自分のことを否定してしまう人もきっといたと思う。

私自身、中学高校時代、自分のセクシュアリティは人とは違う気持ち悪いもので、「笑いにする」か「隠す」しか方法はないと思い込んでいた。それはメディアや社会で同性愛者がそう語られていたからだ。

 

こんな負の遺産が、2017年に復活してしまった。

 

 


ここ数年で、ニュースの中ではLGBTなど性的マイノリティについて取り上げられる機会が多くなってきた。報道の分野では性的マイノリティ特有の困りごとを伝えたり、一般社会にLGBTが存在し生活していることを伝える側面が増えた。

ドラマでも、TBSの「逃げるは恥だが役に立つ」や日テレの「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」など、ゲイのキャラクターが日常に溶け込んでいる様子を描いたものも増えている。

しかし、バラエティの分野では、まだまだ同性愛という属性だけで笑いとして消費されることが多いと感じる。

 

フジテレビも、同社が運営しているニュースサイト「ホウドウキョク」ではLGBT LIFEというコーナーを設け、LGBTに関する情報を発信したり、今年5月にはTOKYO RAINBOW PRIDEに合わせてお台場のフジテレビ社屋を6色のレインボーにライトアップしたりと、積極的にLGBTに関する理解を広げている。

 

依然、性の多様性の理解に関しては過渡期で、知っている人もいれば知らない人もいる。同社の中でもそれは同じだろう。知らなかったのだとしたら、知ってもらえるようこれからも働きかけていきたい。

ただ、気持ちとしては番組制作に関わっていた誰かが「これ、ダメじゃない?」と気づいて欲しかった。一般社団法人日本民間放送連盟の放送基準11章-77には「 性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。」と記載されている。懐かしいねと盛り上がっている中で、誰か一人でも気づいてくれていたら、何かが変わっていたのかなと思う。

 


この「保毛尾田保毛男」を懐かしいと感じる世代は、小学校や中学、高校生の子どもがいる人も多いのではないか。この番組をみた大人が何の悪気もなく懐かしがっているのを見て、自分のセクシュアリティに悩む子どもたちの心が翳るのを想像すると胸が痛い。

私は批判することは大事だと思っているが、批判だけして「同性愛を笑いにすると叩かれるからやめよう」という空気になってしまうのも違うと思う。性が多様であるという認識を広げ、今まで見えていなかっただけで、様々なセクシュアリティの人たちが、同じように毎日を生きていることを伝えていきたい。

メディアの表現物により良いものが増えていくよう、自分にできることをやっていきたい。

 

【UPDATE】東洋経済オンラインで、今回の件を改めて振り返った記事を書きました。(10月4日)

toyokeizai.net

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok 
Facebook soshi.matsuoka 

アウティングによる加害者も被害者も生み出さないために、知っておきたい4つのこと - ゲイの大学院生が自死してから2年

一橋大学で、ゲイの大学院生がアウティングされたことによって自死してしまった事件から2年が経ちました。
このショッキングな事件は、実は氷山の一角であり、今も至るところでアウティングは起きてしまっています。


勝手にセクシュアリティを暴露されてしまう「アウティング」は、暴力的で危険なことであるのは確かですが、残念ながら完全に防ぐことも難しい。

しかし、「知っておくこと」によって防げる部分は必ずあるはずです。そこで、アウティングによる加害者も被害者も生み出さないために、最低限知っておきたいことを1枚の画像にまとめてみました。

 

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PDFファイルはこちらからダウンロードすることができます。

 

知っておきたい4つのポイント


1、そもそもアウティングとは?

アウティングとは「本人の承諾なく、その人のセクシュアリティを第三者に暴露してしまうこと」です

 

例えばカミングアウトされた人が、他の人に「○○ってゲイなんだって」と勝手に言いふらしたり、LINEやTwitterなど、SNS上で誰かに暴露してしまうことをアウティングと言います。
ちなみに、自分で自分のセクシュアリティを誰かに明かすことは「カミングアウト」、自分ではない誰かが勝手に言いふらすことが「アウティング」です。

 

2、なぜアウティングをしてはいけないの?

その人の居場所を奪ってしまったり、プライバシーの侵害につながる可能性があるから

 

「友達にカミングアウトした翌日、学校に行くとクラス全員にセクシュアリティが暴露されていた。そこからいじめが始まり、学校へ通えなくなった」というように、カミングアウトした相手に悪気があってもなくても、アウティングによって当事者は居場所を奪われてしまうことがあります。家から追い出されたり、友達から縁を切られたり、職場に居づらくなることもあるのです。

こういったことが起きてしまう背景には、まだまだLGBTに対する差別や偏見があり、セクシュアリティがバレてしまうことで、周りから「普通じゃない」という烙印を押されてしまう社会があります。


3、カミングアウトされたらどうすればいい?

肯定的に受け止め、「誰に伝えているのか」「誰に伝えて良いのか」を聞いてみてください

 

カミングアウトはとても勇気がいることで、それと同時に相手を信頼している証でもあります。まずは肯定的に受け止め、素直に疑問に思ったことを聞いてみたり、いつもと変わらないコミュニケーションをとってみてください。
「ただ知っておいてほしいだけ」、「具体的に困っていることがある」など、カミングアウトする理由はひとそれぞれです。その時、誰にまで伝えているのか、誰にまでだったら伝えて良いのかを聞いてみてください。

 

4、困ったときは自分だけで抱え込まず、相談しましょう

▶︎アウティングされて困った場合

アウティングをされて、そのコミュニティに居続けることが難しくなった等、辛い時は我慢せず、誰かに相談しましょう。よりそいホットラインなど、セクシュアルマイノリティ専門の電話相談を受けている所もあります、ぜひ利用してください。

アウティングについて考える時、LGBTではない人からのアウティングを想定することが多いですが、当事者から「セクシュアリティをバラす」と脅されたというような、当事者間でのトラブルによるアウティングの事例もあります。まずは信頼できる人や、LGBTに関する活動や支援を行っている団体、電話相談を利用して相談してください。


▶︎カミングアウトされて困った場合

突然カミングアウトされて困惑してしまうこともきっとあると思います。ただ誰かに相談したいという思いから、悪気なくアウティングをしてしまったということもあるかもしれません。

例えば、カミングアウトと同時に告白された等の場合、カミングアウトについては肯定的に受け止めて欲しいですが、告白に応えるかどうかはもちろん自分の気持ち次第です。

もし自分が信頼できる相談相手が(カミングアウトした当事者が属していないコミュニティに)いれば、本人の情報を明かさないよう注意しながら相談してみましょう。相談する人がいない場合も、自分だけで抱え込まず、電話相談等を利用して相談してみてください。


相談先:よりそいホットラインなど

「よりそいホットライン」

電話番号:0120-279-338(全国から24時間365日通話可能。4番がセクシュアルマイノリティ専門の相談窓口)

他にも、自治体やLGBT関連の活動団体が独自に相談を行っている場合もあります。「LGBT 電話相談」や「LGBT 地名」などで検索してみてください。

LGBT向け電話相談がまとめられているページや、こちらのブログにも相談窓口が記載されています。

 

アウティングによる加害者も被害者も生み出さないために

アウティングを完全に防ぐことは難しいですが、LGBTの存在があたりまえなものとして社会に認知され、平等に扱われるようになれば、アウティングという概念も過去のものになっていくはずです。


それまでは、「知らない」ことによってアウティングが起きてしまわないよう、万が一起きたとしても、自分だけで抱え込んで辛くなってしまわないよう、この4つのポイントが広く活用されれば幸いです。

 

どんなセクシュアリティでも安心して毎日を過ごせるよう、アウティングの危険性やLGBTの置かれている現状が広く伝わって欲しい。それと同時に、「かわいそう」という視点ではなく、セクシュアリティが何であれ、それがことさら問題にもならないような、同等に扱われるような社会になると良いなと思っています。

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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「彼女いるの?」という聞き方、ちょっと変えてみませんか?

職場や飲み会でも一度は必ず聞かれる「彼女(彼氏)いるの?」。

LGBTと呼ばれる人の中には、その一言によって「嘘を積み重ねる」きっかけになってしまうことがあります。

相手のプライベートを知ることで信頼関係が深まり、仕事がしやすくなるということはもちろんあると思います。しかし、そこに様々な「想定」がないと、人間関係に思わぬ亀裂を生んでしまうことがあるのです。

 

要求される「異性愛を前提としたプライベートの開示」

私の友人のAさんは、「彼女いるの?」という一言から、職場で「嘘を積み重ね」はじめているうちの一人。

今年から金融業界で営業として働きはじめたAさんは、私と同じく「ゲイ」ですが、そのことを会社ではオープンにしていません。

Aさんに4カ月を振り返ってもらって浮かび上がってきたのは、悪気なく要求される「異性愛を前提としたプライベートの開示」でした。

 

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(Aさん)

 

新卒研修では、話し方が柔らかいからというだけの理由で、同期から「オネエのAくん」というあだ名をつけられました。普段は軽く受け流していましたが、同期100人ほどが集まった親睦会で大声で呼ばれてしまった時は、周りの不穏な空気を感じ「オネエじゃないよ」と苦笑いをしながら否定しました。

居酒屋で店員を呼ぶ際に使うボタンが硬く、Aさんが押せなかった人の代わりに強めにボタンを押すと、周囲の人から「本当に男だったんだね」と言われたそうです。

配属先で初めて自己紹介をした後、一番最初に先輩から投げかけられた質問は「彼女いますか?」でした。同性のパートナーと付き合って約4年になるAさん。「彼女は、いません」と答えました。

取引先との飲み会で突然「お前は童貞か」と聞かれ、「違います」と答えると、「その答え方じゃダメだよ〜」と言われ無理やり風俗へ誘われました。その後もゲイをネタにするような発言があり、Aさんが「ひとそれぞれですよね」と言うと、「ノリが悪い」と一蹴されました。

 

「仕事においてゲイかどうかは関係ない」「仕事にプライベートを持ち込むな」という意見もあると思いますが、「本当にそうでしょうか」と、Aさんは疑問を呈します。

確かに、相手のプライベートを知って、自分のことを話す中で生まれてくる信頼関係はあります。

「勤務中に何度『彼女いるの?』と聞かれたかわからないし、飲み会では異性愛を前提とした下ネタを共に楽しむことを強要される。しかも、『これを言ったらセクハラになるけど』とか『パワハラになっちゃうかもだけど』と、ある一定の理解が進んでいるが故に、それが枕詞のようになってしまっているようにも感じます」

「コミュニケーションをとる上で、お互いに人格をつかむことが大切だということは一致しています。性のことってプライベートなことだからこそ、その開示によって信頼関係につながったと"演出する効果"がある気がします」

 

経営者の視点も、労働者のまなざしも変わりつつある

Aさんの例以外に、同じゲイでも、また他のセクシュアリティの人にも様々な困りごとがあります。それは大きく2つの面に分けられるのではないかと思います。

ひとつは、男女分けが前提となっている設備などの「ハードの面」、もうひとつは"周囲の目"と表されるような、周りの認識など「ソフトの面」です。

当事者が「見えにくい」ので、問題はなかなか顕在化されにくいですが、だからこそ「誰もが働きやすい職場」とはどんな所なのか、想像力をはたらかせながら、当事者がどこに困りやすいのかを細かく把握してハードとソフトの両面で取り組む必要があります。

 

そんな企業のLGBTに関する取り組みは、ここ数年で増加傾向にありますが、最近はさらにそれを後押しする機運も高まってきています。

例えば、5月には経団連が企業のLGBT施策について調査し、「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」という提言を発表しました。

調査では、回答した233社のうち(経団連会員企業1385社、156団体)、90%以上がLGBTの取り組みの必要性を感じ、約80%が何らかの取り組みを実施、もしくは検討している状態であることがわかりました。

 

今回の調査結果を見て「予想以上だった」と話すのは、政治・社会本部主幹の大山さん。

「それぞれの企業で取り組みの必要性を理解した上で「ぜひこの提言を参考にしていただいて、横展開していただきたいです」

 

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(左:経団連 政治・社会本部主幹の大山みこさん、右:政治・社会本部長の岩崎一雄さん)

 

経営的な視点も大切ですが、働くひとりひとりからの視点もとても重要です。

以前から、性的指向及び性自認に関する差別・ハラスメント禁止に取り組んできている連合は、昨年の8月にLGBTに関する意識調査の結果を発表しました。

調査によると、職場におけるLGBTの割合は8%で、大手広告代理店の行った調査とほぼ同じであることがわかりました。「職場におけるLGBTへの差別をなくすべきという回答が約8割だった」など、調査についてはこちらの記事にまとまっています。

調査から約1年が経ちますが、総合男女平等局総合局長の井上さんは「反応はものすごく大きかった」と話します。

「これまで差別されていたのが、我慢しなくて良い、おかしいことを『おかしい』と言える時代に変わってきた。それは明らかに昔の排除の社会から比べると変わっていると思います」

 

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(連合 総合男女平等局 総合局長の井上久美枝さん)

 

オリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が盛り込まれ、東京五輪の「調達コード」という、オリンピックに関係する製品やサービスを提供する企業の選定基準にも「性的指向性自認に関する差別・ハラスメントの禁止」が取り入れられています。

性的指向のことを英語でSexual Orientation、性自認のことをGender Identityと言うことから、頭文字をとってSOGI(ソジ)、性的指向性自認に関するハラスメントのことを「SOGIハラ」と呼ぶ動きも出てきています。

冒頭のAさんの職場のように、まだまだLGBTの存在が想定されていない企業も多い現状。こうした動きが、社員にも、お客さんにも、または営業先にもLGBTがいるかもしれないという想定があたりまえになる、その後押しになることを期待します。

 

心はフラットに、言葉は丁寧に

当事者の生きやすさは、良い意味でも悪い意味でも、最終的には職場にいる周囲の人の捉え方次第で変わってきます。

Aさんの例のように、飲み会でゲイについて揶揄する人にカミングアウトしたいとはなかなか思えません。逆に、日頃からいろいろな「想定」がある人は、多様性を受容する態度がその言動の端々に現れてくると思います。

例えば「彼女いるの」ではなく「付き合っている人いるの」「パートナーいるの」という言葉を使うとか。そもそもアセクシュアル(無性愛)という、性的指向、恋愛感情をそもそも抱かない人もいます。こういった質問自体が適切かどうか考えることも想定の一つかもしれません。

以前「心はフラットに、言葉は丁寧に」という素敵な言葉に出会いました。フラットな視点で、ひとりひとりに様々な「想定」がある職場というのは、きっとLGBTだけでなく、誰もが生きやすい、働きやすい職場なのではないでしょうか。

 

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松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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「全国で動き出せば日本は変わる」約100名の議員が参加したLGBT自治体議連研修会

ゲイやトランスジェンダーであることをオープンにしている自治体議員を中心に、日本で初めて「LGBT自治体議員連盟」が7月6日に発足。

 

議連の最初の取り組みとして、LGBTについて学ぶ「LGBT自治体議員連盟2017 夏の勉強会」が27日、28日の2日間にわたって開催されました。

開催場所である豊島区役所には「学校で何ができるのか」「同性パートナーシップ制度はどう進めていったのか」と、全国から自治体議員をはじめ100人を超える方々が集まりました。

 

LGBT自治体議連の世話人の一人であり、自らもゲイであることをオープンにしている豊島区議会議員の石川大我さん

「私たちは歴史の重要なポイントに立っています。LGBTに関して、10年前までは『それは個人の問題だ』と言われて続けてきました」

「今日これだけの議員の皆様が集まっていただけているのが本当に感慨深いです。近い将来『かつて日本では男女しか結婚できなかったんだよ』と言うと子どもが驚く、そんな時代になることを目指してがんばりましょう」

 

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(研修会に参加した議員の方々:LGBT自治体議員連盟提供)

 

同性カップルを家族として扱う流れは確実に進んできている

1日目は自治体のLGBT施策に関わった有識者からの講演が中心でした。

 

最初に講師を担当されたのは、今年6月にスタートした札幌のパートナーシップ制度に中心となって携わった明治大学鈴木賢教授。

同性パートナーシップ制度は渋谷区と世田谷区から始まり、札幌も合わせて6つの自治体で施行されています。札幌市では7月の時点で23組のカップルが制度を利用しているそうです。

鈴木教授によると「札幌は世田谷区と同様、条例ではなく要綱に基づいて、カップルの宣誓書に対し受領証を発行する形で承認するという方式を採っています。違う点としては、戸籍上の性別にこだわらない、同性に限定しないという点。実際に利用者で戸籍の性別上は異性のカップルが1組いました。このカップルは制度上は婚姻が可能ですが、本人たちの性自認は"同性"なのでこの制度を利用したのです」「なので、私たちはこの制度を同性パートナーシップ制度ではなく『札幌パートナーシップ制度』と呼んでいます」

 

渋谷区、世田谷区の同性パートナーシップ制度の社会的なインパクトは大きく、いまや民間企業における従業員や顧客の同性カップルも家族として扱うという事例がとても増えてきました。

鈴木教授は異性カップルの事実婚と比較して「事実上、同性カップルを家族として扱う流れは進んできていて、これは世界的な動きであり不可逆です。もうスイッチは押されたのだと思います」

「今動かせるのは自治体と司法です。これだけたくさんの議員さんが来てくれたのは心強い、全国で動き出していただければ日本は変わると思っています」

 

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鈴木賢教授:LGBT自治体議員連盟提供)

 

渋谷区・文京区の施策を紹介「人権の問題を真正面に据えてやっていけるのは公務員であり、議員です」

昨今の同性パートナーシップ制度の広がりのきっかけである渋谷区から、長谷部健区長、男女平等・ダイバーシティ推進担当課長の永田龍太郎さんも講師として登壇されました。

長谷部区長は当事者との出会いから、6年前のパートナーシップ証明書の構想、そして2年前の発行に至るまでのお話とその意義を紹介。

「ただ、パートナーシップ証明書は、パートナーがいる一部の人が幸せを享受できる仕組みのようになっています。大事なのは子どもたちが自分のセクシュアリティに悩まずに生きていけること」

 

担当課長の永田さんは、それに付随して「同性パートナーシップ条例という報道が多くありましたが、実際には『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』という名前で、パートナーシップ証明書は性的少数者をサポートする施策のひとつなのです」とお話ししました。

「この条例は男女平等の柱に加えて性的少数者の柱を加えているものですが、この大きな二つの柱は別物ではなく、例えばレズビアンは女性であり同性愛者であるというように、両者は多様な性を尊重する地続きの課題であると感じています」

 

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(渋谷区 長谷部健区長:LGBT自治体議員連盟提供)

 

日本大学の鈴木秀洋准教授からは、自治体におけるジェンダー・人権施策の進め方についてお話しがありました。

元文京区男女協働・子ども家庭支援センター担当課長でもあった鈴木准教授を中心に進めていた「文京区男女平等参画推進条例」では、性的指向性自認による差別禁止を明文化しています。

性的指向性自認は「タバコやお酒などの『嗜好』とは違い、人格を形成する中核部分の問題である」ということを条例の基本的な考えの中に位置づけ、人権の問題として「真正面に据えてやっていくべき。それをできるのは公務員であり議員です」とお話ししました。

条例の法律との整合性や、制定までの戦略、条例制定後の具体的な取り組みについて、また文京区でやりたかったがやれなかったこと等を詳しく伺うことができました。

 

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(鈴木秀洋準教授:LGBT自治体議員連盟提供)

 

1日目だけで、既にものすごい情報量でしたが、2日目は豊島区、文京区、世田谷区、中野区の担当課長や当事者議員、地域で活動している当事者団体から各自治体での取り組みの説明がありました。

「同性パートナーシップ制度」が自治体の施策として注目を集めやすいところですが、どの自治体も多様性を受容する基本方針等を策定し、行政や教育に関わる職員や区民向けの研修、相談窓口の設置やコミュニティ運営など多岐にわたる施策を実施しています。

 

研修会では座学だけでなく、実際に新宿二丁目にあるHIVをはじめとするセクシュアルヘルスに関する情報センター、フリースペースの「akta」や、渋谷区男女平等・ダイバーシティセンター「アイリス」を視察しました。

2日間を通して参加した議員の方々は「元自治体職員の方や大学教授など、いろいろな立場の方からお話を伺うことができて良かった」

「具体的に議員としてどういう風に進めていけば良いのかがわかった」など、自分の自治体で活かせる実践的な内容を学ぶことができたという声が多くありました。

 

10年後「あのときの研修会があったから今がある」と言えるよう、草の根から始めて、大きな一歩にしたい

 

参加者数が当初の想定より非常に多かったそうで、全国的な関心の高さを伺うことができました。

世話人の一人であり、トランスジェンダーであることをオープンにしている世田谷区議会議員の上川あやさんは「当事者の議員である我々が身近に感じてきた問題が、当事者以外の議員の中でもダイレクトに身近に感じていただくことができました。バトンを渡された議員のみなさんが、今後どういう成果を報告してくださるかが楽しみです」

 

同じく世話人の一人、文京区議会議員の前田邦博さんは「10年後振り返ったときに、あのときの研修会があったから今がある。草の根から始めて大きな一歩にしていきたい」

参加された自治体の議員の方々が、この研修会で学び取ったことをそれぞれの自治体の施策に反映することができれば、とても大きな動きになるのではないかと思います。すべての地域で性的指向性自認にかかわらず安心して暮らせるよう、様々な自治体で取り組みが加速していくことを期待したいです。

 

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松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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早稲田大学が「ダイバーシティ推進宣言」なぜこのタイミングなのか、LGBT学生支援センターの課長に話を聞いてみた

早稲田大学が7月1日に「ダイバーシティ推進宣言」を公表しました。

今年4月からLGBTの学生を支援する「GS(ジェンダーセクシュアリティ)センター」を設置している同大学では、キャンパス内のだれでもトイレに「All Genders」マークを新たにつけたり、授業の出席簿から性別欄を廃止するなど、多様な性に配慮した施策を進めています。

なぜこのタイミングでLGBTへの配慮を本格的に始めたのか。早稲田大学GSセンター課長の関口八州男さんにお話を伺ってみました。

見えてきたのは、「当事者の声、学生の声をしっかり反映することが、見落とされがちな細かい配慮に活きている」ということ。他大学のみならず、企業など多様性を受け入れる制度づくりの上で参考になるお話でした。

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GSセンター課長の関口八州男さん。「GSセンターはLGBTの学生が気軽に相談しに来れたり、ジェンダーセクシュアリティに関心のある全ての人が自由に利用できるフリースペースです」

 

■学生からの提案でもあり、トップダウンでもある「早稲田」だからできること


ーーどういった経緯でGSセンターは設置されたのですか?

関口さん早稲田大学では、2032年で創立150周年を迎えるということで、「WASEDA VISION 150」という中長期計画を2012年に発表しました。その中で、学生が大学に対して、このビジョンに沿った提案を行う「Waseda Vision 150 Student Competition」という学生コンペがあり、そこでダイバーシティ早稲田という団体が「日本初、早稲田大学LGBT学生センターを」という提案をして、総長賞を受賞したのです。

総長賞になったものは基本的に大学は実現を目指すことが暗黙の了解となっており、学生提案ではあるのですが、いわゆるトップダウンでもあり、早稲田大学ならではの仕組みなのではないかなと思います。

2015年の秋から設置に向けて動きだし、ダイバーシティ早稲田が提案したイメージを損なわないよう、学生にも意見を求めながら進めました。

ーー学生から声があがったというのが良いですよね

関口さん:学生から声が上がっていなければ、この組織はできていなかったと思っていますので、提案は素晴らしかったと思いますね。

私も社会の流れの中で「本来は何かしなければいけない」と思っていました。早稲田大学にはもともとLGBTの学生サークルもあったので、一定の認識はあったのですが、その一方で、学生からの相談が顕在化されにくい状況にありました。

学生相談室にも学生はあまり相談に行っていないようでした。理解をしていない人に話すと、辛い反応をされることもあるというのがあって、学生にとってはハードルが高いようです。

--GSセンターはどこが管轄されているんですか?

関口さん:2017年4月に早稲田大学学生部に「スチューデントダイバーシティセンター」が新たに設置されました。GSセンターは「スチューデントダイバーシティセンター」内のひとつの担当箇所となります。早稲田大学の学生部では元々、ICC(異文化交流センター)と障がい学生支援室が設置されており、学生部内のそれぞれ単独の組織だったのですが、「多様性」というひとつのキーワードの中、これらを統合した組織を作るべきではないかということで、新たに設置したGSセンターを加え、「スチューデントダイバーシティセンター」の設置に至りました。

ICC、障がい学生支援室、そしてGSセンターの3つの担当で「スチューデントダイバーシティセンター」は成り立っているんです。

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6色のレインボーフラッグがGSセンターの目印。学生が訪問するためのハードルを少しでも下げるために、あえて「LGBT」という名前は使わなかったそうです。

 

■利用者は月に約100人。「敷居の低さ」がポイント

--GSセンターを設置して約2ヶ月、反応はいかがですか?

関口さん:学生の反応は、思ったよりありますね。最初どれくらい来るのだろうと正直思っていましたが、今は1ヶ月で100人弱くらいGSセンター事務所に来所しています。
新入生に配る書類に紹介パンフレットを入れたので、それを見て来たという人も実際にいましたね。

--そんなに来ているんですね。学生からはどういう相談があったりするのでしょうか?

関口さん:ひとつは大学の制度に関すること。例えば4月に多かったのは健康診断に関する相談でした。現在、早稲田大学は学生から相談があれば、個別対応をしています。その他、ハラスメントの相談を受けることもありますし、ご自身の気持ち、セクシュアリティについてちょっと話を聞いてほしいとか、そういう相談もありますね。

あと、本を読みにくる学生も結構いますよ。気軽に読みに来てもらって大丈夫です。本は多種多様に揃えておいて良かったと思いますね。

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ジェンダーセクシュアリティに関する様々な本が置かれています。ソファで話をしたり、本を読んだり、思い思いの利用ができるそうです。

GSセンターの職員で、自らもMtX(法的な性別は男性だが、自らを男性でも女性でもないXジェンダーであると感じること)を自認されている大賀一樹さんにもお話を伺った所、GSセンターは「学生が相談にくるための敷居が低い」ことが良いそうです。

「だからこその課題もあって、やっぱりアウティングセクシュアリティについて、本人の同意なく第三者に暴露されてしまうこと)のリスクをどう防ぐか。例えば、GSセンターの利用には受付が必要ですが、ニックネームでもOKにしてもらっています」

学生からの相談内容は様々で、教員へのカミングアウトについてや、当事者間でのトラブルについて、また、ALLY(アライ)としてどう振る舞えば良いのかという相談もあるそうです。

特に当事者間でのトラブルについては、「言える場所が他になくて誰にも相談できない。第三者的な視点で、でも知識や理解がちゃんとある場所が必要なんだなと改めて感じました」

--GSセンター設置と同じタイミングで、全学として、だれでもトイレの表記に「All Genders」というマークを追加したり、授業の出席簿から性別欄をなくしたりという取り組みをされていますよね。今後はどんなことを進めていかれるんですか?

関口さん:とにかくまずは多くの学生にこの取り組みを知って欲しいですね。
ただ、広く学生の皆さんに啓蒙活動を行いたい一方で、当事者の学生への窓口であることも重要だと思っています。

最近、課題と感じていることは、センター内のフリースペースの中で当事者と当事者ではない学生が一緒になることで、当事者の学生が息苦しさを感じてしまっていることです。当事者の学生が安心して、センターで相談できる環境を保っていかないと、学生が来づらくなってしまいます。ただ、当事者ではない学生にも、GSセンターの事をもっと知ってもらいたいと思っています。両者を併存する事がなかなか困難であることから、まずは、当事者以外の学生の啓発活動として、イベントなどを行っていきたいと思います。

また、大学全体の課題の一つとして、教職員の研修が必要であると思っていますので、ダイバーシティ推進室を中心にGSセンターも協力していきたいです。

■「誰のためにやっているのか」当事者の声を拾い上げ、学生と連携する


早稲田大学は今回「ダイバーシティ推進宣言」を公表しましたが、「ただアピールだけして、それで終わり」だともちろん意味がありません。その意味では、これまでも早稲田大学としての取り組みをひとつずつ重ねてきたことが、もちろんまだまだ課題はあるけれども、取り組みを進めていく姿勢を見せる=宣言することにつながっているのだと思います。

お話を伺っていて感じたのは、当事者の声を拾い上げる、つまり学生との連携がとても重要だということ。すごくそこを気遣っているように見えました。

「あまり大学が一方的にということになってしまうと、誰のためにやっているのかとなってしまうと思うんですよね」と話す関口さん。

「私自身も他の人から見れば、ダイバーシティとは無縁な人間のように見られてきたけれども、最近は随分変わったと職場の方からも言われたりします。」と、いつの間にか自分自身の意識も変化しているそうです。

「いろんな人たちが安心して学生生活を送れるような環境にする、というのがひとつの理想です」

早稲田大学の取り組みが、他大学はもちろん、学校や企業など様々なコミュニティに広がることを期待したいです。

【東京都議選】LGBTの政策について各党にアンケートをとって比べてみた

こんにちは、東京都在住でLGBTに関する啓発活動をしています、松岡宗嗣です。

 

今週の日曜日、7月2日に投票日を迎える東京都議会議員選挙。豊洲移転や東京オリンピックパラリンピック子育て支援などが争点として注目されています。

東京に住むゲイの一人として、「LGBTに関しては、各党どのように考えているのだろうか」と気になったので、主要な政党、会派にアンケートを送ってみました。

 

アンケートで聞いた質問は以下の4つ

 

問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか? 

問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

政策でLGBTについて言及しているかどうかも加えて、アンケートの回答をまとめた表が以下になります。

 

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啓発することに関しては、ほとんどの政党が賛成でしたが、やはり制度をつくるかどうかという所で考え方にバラツキが出てくるようです。

 

一問ずつ回答を比較してみましょう。

 

 

問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

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「検討している」と回答した政党は、オリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が明記されていることをあげ、東京オリンピックパラリンピックを開催する東京都だからこそ、条例を検討すべきという回答が目立ちました。

 

一方で、回答をしなかった自民党は「まずは啓発の充実等」が重要と述べ、維新の会は「党内で議論をしていない」と回答しました。

 

ちなみに、東京都文京区や多摩市などは、すでに性的指向性自認に基づく差別やハラスメントの禁止を条例で明記しています。

 

 

問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

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啓発については、ほとんどの政党が「啓発すべき」と回答。理由として、文科省が2015年に出した性的マイノリティに関する通知をあげ、差別や偏見は「知らない」ということからくるため、教育現場をはじめとする社会的な啓発が重要という意見が多くありました。

 

 

問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

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「検討したい」と回答した政党は、既に6つの自治体で同性パートナーシップ制度が導入されていることをあげ、東京都でも積極的に取り入れるべきと回答。特に、民進党社民党は「根本的には、法改正による対応が必要」とした上で、まずは自治体からという姿勢であると述べました。

 

「回答しない」とした政党のうち、自民党は、同性パートナーシップについて「家族のあり方に関わる問題であり、国民的な議論を深めていく必要」があると述べました。公明党自民党と同じく、国民的な議論が必要とした上で「検討したい」と回答。

 

 

問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

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「認めるべき」とした政党は、大阪市で同性カップルが里親として認められた例をあげ、法令上、里親が婚姻しているかどうかは条件ではない、重要なのは性的指向ではなく「子どもを育てることができるかどうか」であり、同性カップルを排除する理由はない、としました。

 

「回答しない」とした政党は「東京都児童福祉審議会の議論の結果を踏まえたい」と述べました。

 

公約には「LGBT同性カップルの活躍の場が制限されるのは社会的損失です。

同性カップルの里親認定を推進します」と掲げているはずの維新の会は「党内で議論をしていない」という回答でした。

 

 

まとめ:啓発は進めるが、制度にするかどうかが分岐点

 

まず、基本的に差別や偏見をなくすために啓発が必要だ、という考えをほとんどの政党が持っているという点に、社会の変化を感じました。

特に、自民党東京都の指針を引きながらも、偏見・差別の解消に向けた啓発」と「差別解消」に向けた取り組みの充実に触れたことは画期的なことだと思います。

 

一方で「制度にするかどうかでバラツキが出た」という所が今回のポイントだと思います。

 

今月、埼玉県の小学校の先生による「誰だオカマは」という差別発言がニュースになりましたが、2015年に文科省が全国の教育委員会に通知を出していたにもかかわらず、こうした発言が出てしまうということは、やはり通知がなかなか浸透していないことを示しています。

 

意識のある学校は研修を実施していて、そうではない学校はスルーしてしまう現状。

学校だけでなく、企業においても、国や自治体の制度がないため、意識のある企業だけがLGBTについて取り組み、そうではない企業は取り組まない、そんな現状になってしまっています。

 

やはり、枠組みとして差別を禁止したり「LGBTも市民の一人として捉えている」ということを示す制度を整え、その上で啓発を行っていくという「両輪」で回す必要があると思います。

 

どんな問題でも、周りに意識があるかないかによって、当事者が生きやすい場所になるか、生きづらい場所のままなのか、そこに濃淡がでてしまうというのは望ましくありません。だからこそ、広く枠組みを設定することで、最終的にフラットな社会へと整っていく。

ここに、政治の果たす役割が大きく現れるのではないでしょうか。

 

都議選では、もちろん他の様々な争点を見比べて投票してほしいと思いますが、ぜひそのひとつの軸として「LGBT」についても捉えていただけたら幸いです。

 

ちなみに、国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルも、「立候補者への人権意識アンケート」を行っていて、LGBTに関する質問がいくつか入っています。
こちらは政党ではなく、もっと細かい候補者へのアンケートなので、ぜひあわせて参考にしてみてください。

www.amnesty.or.jp

 

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最後に、資料として各党からのアンケートの回答を全文掲載します。

 

自民党

 

政策の中にはLGBTに関する言及なし。

 

問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 回答の選択肢は選ばない

理由:条例制定の検討は、国会の法案審議の状況を見守り、結果を受けて行います。まずは、東京都人権施策推進指針に掲げた偏見・差別の解消に向けた啓発等の充実と考えます。

 

問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A.啓発を行うべき

理由:記載なし

 

問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 回答の選択肢は選ばない。

理由:同性パートナーシップ制度は、社会の基本的な制度である家族のあり方に関わることで、国民的な議論が必要だと考えています。




問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 回答の選択肢は選ばない。

理由:里親制度は、社会的養護を必要とする子供を支援する制度で、本制度の制定以降、東京都児童福祉審議会の議論を踏まえて定められています。昨年度も、基準緩和について議論がありましたが、結論には至らなかったと聞いています。基準については、審議会の報告を得て、子供の視点に立って適切な対応を進めることが大切と考えます。

 


■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

記載なし



公明党

 

政策の中にはLGBTに関する言及なし。



問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討している

理由:東京都では、人権施策の基本理念や施策展開に当たっての考えを示した「東京都人権施策推進指針」(平成28年8月に策定)に基づいて「性的指向」等を取り組むべき人権課題を掲げ、偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところです。

条例につきましては、国会において、自民、公明の与党が、LGBTの理解促進をめざす法案提出を検討しています。今後のこうした法案審議やその結果等を踏まえ、検討していきたいと考えています。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 啓発を行うべき

理由:東京都は、「東京都人権施策推進指針」に加え、文部科学省からの通知「性同一性障害性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」を踏まえて、教育現場等で、性同一性障害性自認に関する啓発に取り組んでいます。

例えば、「性自認」と「性的指向」との違いなど、対応に当たっては混乱することなく、一人一人に寄り添った対応ができるよう、理解を深める研修の充実等に取り組んでいきたいと考えています。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 導入を検討したい

理由:同性パートナーシップにつきましては、家族のあり方に関わる問題であり、国民的な議論を深めていく必要があります。性自認性的指向等について、国民的な理解の状況を踏まえ、今後、検討すべきだと考えます。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 現状では「どちらともいえません」

理由:東京都の里親の認定基準につきましては、東京都児童福祉審議会が多様性を含めた基準緩和について議論していますが、いまだ結論には至っておりません。また、自治体によって認定基準が異なるため、今後、全国的な実施を把握した上で、検討が必要と考えます。



■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

性自認性的指向の無理解などにより、さまざまな問題が起きています。そうした問題に対し、正しい理解や認識を広げる国民的な取り組みが今こそ求められています。
公明党はこれからも、当事者の皆さまやその周囲の皆さまとの連携をより深めながら、多様性が尊重され、差別のない社会をめざして、尽力していく所存です。



日本共産党

 

政策の中には「LGBT・性的マイノリティの差別解消や支援の推進など、一人ひとりの人格と個性が尊重される東京をつくります。」と言及。



問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討している

理由:日本国憲法は「すべて国民は、個人として尊重される」(13条)「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」(14条)とうたっています。

LGBT・性的マイノリティの人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすることは人権問題であり、そのような社会は健全な社会とはいえません。

この間、自治体でも、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例の制定がすすみはじめています。首都であり、2020年東京五輪パラリンピックの開催としでもある東京都こそ、このような条例を積極的に制定すべきだと考えます。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 啓発を行うべき

理由:LGBT・性的マイノリティをめぐる問題は、ふだんは公然と語られることの少ない性意識・性行動にかかわる事柄であり、また、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しにくい問題です。そのことが、当事者の困難を深め、差別や偏見を生む要因ともなっています。

したがって、LGBT・性的マイノリティへの差別や偏見をなくし、その権利が保障される社会をつくるには、教育現場をはじめとした社会的な啓発活動がきわめて大切です。

日本共産党都議会議員団は、昨年12月に知事に提出した予算要望書で、「教育現場で児童・生徒に対しLGBT、性的マイノリティの理解促進を図るよう、学びの場を設けるよう支援すること。教員への研修を拡充すること」「都内の学校を対象に、LGBT、性的マイノリティの児童生徒についての実態調査を実施すること」「就職や雇用でLGBT、性的マイノリティ当事者が不当に差別されることのないよう啓発事業を拡充すること。LGBTフレンドリー企業を認定し、支援する施策を具体化すること」などを求めました。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 導入を検討したい

理由:同性パートナーシップ制度は、全国で6つの自治体で実施されており、首都であり、2020東京五輪パラリンピック開催都市である東京都でも、積極的に導入するべきだと考えます。

なお、日本共産党は、昨年の参議院選挙にあたって発表した政策で「すべての自治体で、東京都渋谷区や三重県伊賀市などで導入したような、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を実現する」ことを公約しています。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 同性カップルも里親として認められるべきだ

理由:里親は、虐待や貧困のため親元で暮らせない子を預かって育てるもので、申請を受けた自治体が適格性を判断して認定しますが、法令上、里親の婚姻の有無は認定の条件ではありません。それなのに、同性カップルが里親になる権利を認めないことは、同性カップルへの偏見・差別につながりかねません。子どもにとっても、家族形態が多様化しているもとで、同性カップルに育てられることに特別の問題はなく、むしろ大事なのは、里親とのマッチングだといえます。

毎日新聞(今年4月16日付)によれば、47都道府県・20政令市のうち、東京都だけが里親認定基準で実質的に同性カップルを除外しています。このことは、施設で暮らす子の数に比べ圧倒的に少ない里親の貴重な担い手を都が失っているともいえるもので、改善が求められていると考えます。



■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

LGBT・性的マイノリティのみなさんの人権を守り、暮らしやすい社会をつくることは、社会のすべての人々にとっても暮らしやすい社会をつくることです。

当事者や家族のみなさんの運動などが力となり、この数年で、LGBT・性的マイノリティをめぐる問題には、施策の一定の前進や社会的認知など、行政的にも社会的にも大きな変化・発展がありました。
日本共産党も、民進党など野党4党共同で、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」を昨年5月27日に衆議院に提出しました。同法案は、性的指向(恋愛対象)や性自認(心の性)を理由とする差別について、行政機関や事業者における「差別的取扱いの禁止」を定め、職場や学校などでの差別を解消する方策を盛り込んでいます。その実現へ、今後も力をつくします。

力をあわせて、性的マイノリティにたいする差別や偏見をなくし、だれもが自分らしく生きやすい社会をつくっていきましょう。

 

民進党

 

政策の中には「偏見や差別を受けることが多いLGBTの人権施策はもとより、ヘイトスピーチは許さないとの立場から、多様性が尊重される東京の実現に取り組みます。」と言及。



問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討している
理由:民進党は、すべての人に居場所と出番を、共生社会の実現を政策の重要課題のひとつに位置づけて推進しています。性的指向を理由とするものも含めたあらゆる差別を許さない、偏見をなくすために取り組むべきと考えています。
そのためには条例に明記することも必要だと思います。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 啓発を行うべき
理由:差別や偏見の多くは、無知・無理解によるものだから。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 導入を検討したい
理由:根本的には、法改正による対応が必要だと考えています。自治体サービスの多くは、法・国制度によるものが多くあり、地方自治体による対応では限界があります。
しかし、国が動かないのであれば自治体での対応を検討していかなければならないと考えます。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 同性カップルも里親として認められるべきだ
理由:問われるべきは性的指向ではなく、子どもを育むことができる家庭かどうかであると考えます。



■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

すべての人に居場所と出番を。このことがすみずみまで行き渡った東京、日本社会を実現するために、ともに闘いましょう!





都民ファーストの会

 

政策の中にはLGBTに関する言及なし。



問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討している
理由:国連LGBTの差別禁止を打ち出していること、また国際オリンピック委員会が「オリンピック憲章に性的指向を盛り込む」と決議したことも踏まえ、知事の公約でもある、多様性(ダイバーシティ)が尊重される東京の実現のため、しかるべき対応を検討する。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 啓発を行うべき
理由:性的指向による差別が生まれる原因は、知らないということからくるため、性的マイノリティへの理解を深めるために啓発活動は必要である。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 回答なし
理由:制度を整える前に、差別解消に向けた理解の深化を図るべき。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 回答なし
理由:子どもの中にも性的マイノリティがいるため、あらゆるケースに対応できることが望ましいが、同性カップルへの社会の理解不十分な現状では、里親と里子の信頼関係構築が一層難しくなる可能性もある。まずは社会の理解の深化を優先すべき。

 

■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

全ての人権は守られるべきであり、差別がなく、多様性が尊重され、優しさ溢れる都市「ダイバーシティ」の実現を目指します。





東京・生活者ネットワーク

 

政策の中には「意見や立場が異なる人を認めない不寛容な社会は、外国人、障がい者、SOGI(性的指向性自認)など、社会的少数者(マイノリティ)の人権侵害につながる。それは、個人の“生きづらさ”にとどまらず、昨今、ヘイ トスピーチやヘイトクライムなど、具体的な問題となって表れている。多様性を認め合い、誰もが排除されない、インクルーシブな社会をつくるために、すべての人の人権を尊重する社会をめざさなくてはならない。」と言及。



問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討している
理由:都は2015年、人権施策推進指針を15年ぶりにようやく見直し、この中に「性同一性障害」と「性的指向」について記述がある。しかし、トランスジェンダーを「障害」としてしかとらえていない。性自認のバリエーションを認め、支援することが重要である。また、性的指向のところには「なお、我が国では憲法で「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定しています。」とあえて記述してあるなど、現在の状況にマッチした内容とは言えない。
また、今年3月に男女平等参画推進総合計画が出された。この中には初めて「性的少数者への支援」が入り、性自認性的指向についても述べられ、少しは前進が見られる。ただ、具体的な取り組みは緒に就いたばかりであり、人権侵害を防ぐために、条例化も含めて検討する必要がある。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 啓発を行うべき
理由:2015年文科省から通知が出され、さまざまな性的指向性自認の子どもに対して相談体制や配慮が教育現場で求められるようになった。当事者の子どもは、教職員や周りの理解がないと、悩みや苦しみを抱えることになり、学校生活での配慮は非常に重要である。教職員への研修を充実させるとともに、人権教育として子どもたちが性の多様性に気づき理解するようにしていく必要がある。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 導入を検討したい
理由:例えば、都営住宅の入居資格にある同居親族は、内縁関係の男女は含まれるが同性カップルは認められていない。このように、親族と認められないために行政サービスでの不利益が生じる。多様な家族のあり方を認め、ともに地域で生きていくためには、同性カップルを認めるための制度が必要と考える。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 同性カップルも里親として認められるべきだ
理由:日本では、社会的養護の下で育つ子どもは施設で育てられることが多く、家庭で育てる里親を増やすことが課題となっている。今年4月に大阪市で男性カップルを養育里親に認定したというニュースが報道され話題になった。里親は、夫婦に限られるわけではなく、経済状況や愛情を持って子育てにあたる条件を備えれば、同性カップルを排除する理由はない。
東京都は同性カップルを里親として認めないと規定しており、見直しが必要である。



■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

昨年1月、LGBTをテーマにした「市民と行政の協議会」を実行委員会で開催した。生活者ネットワークが呼びかけ、都の担当者と当事者や支援者が議論する場で、200人以上が参加した。そこで提起された問題は多岐にわたり、参加した行政にとっても今後の施策に生かせるものとなったと思う。これまでも都議会の質問などで取り上げてきたが、オリンピック・パラリンピックを機に、多様性を認め合い、社会全体で差別をなくすよう、今後も働きかけていく。





日本維新の会

 

政策の中には「LGBT同性カップルの活躍の場が制限されるのは社会的損失で

す。同性カップルの里親認定を推進します。」 と言及。



問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討していない
理由:党内で議論をしていない。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 無回答
理由:党内で議論をしていない。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 無回答
理由:党内で議論をしていない。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 無回答
理由;党内で議論をしていない。



■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

記載なし





社民党

 

政策の中には「誰もが自分らしく暮らし、希望が持てる社会をつくりたい。」「子どもも大人も、男女の区別なくセクシャル・マイノリティも、障がいのあるなしに関わらず、誰もが主役の暮らしやすい都政を実現します。」 と言及。




問1 LGBTに関する課題全般を人権課題として捉え、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を検討していますか?

 

A. 検討している
理由:社民党は昨年5月、野党4党で「LGBT差別解消法案」を国会に提出しました。性的指向性自認に関する差別はあってはならないことで、実効性のある法律が必要だと考えています。
また、東京都においても差別を禁止し、当事者の権利を明確にし、みなさんが生きやすい社会をつくるための条例制定が必要だと考えています。都議会議員として、当事者団体の皆さんとも連携して、より良い条例をつくっていきたいと思います。



問2 東京都として、教育現場などで性的指向及び性自認に関する啓発を行うべきだと考えていますか?

 

A. 啓発を行うべき
理由:多くの当事者のみなさんが、思春期に孤立し、悩んでいると聞きます。
教育現場での啓発は急務です。先日も埼玉県で心ないLGBTに関する差別発言が教員から発せされました。こうしたことのないよう、教員の研修はもちろん、児童生徒にもLGBTに関する正確な情報の提供を行います。また、当事者の児童生徒が孤立しないよう、サポート体制も充実させます。



問3 渋谷区や世田谷区では同性パートナーシップ制度がつくられ、他の自治体にも広がりを見せています。同様の制度について東京都でも導入を検討しますか?

 

A. 導入を検討したい
理由:同性カップルの方々が生活をするうえで、多くの困難があると聞いています。こうした困難を少しでも解消するため、渋谷区や世田谷区が行っているパートナーシップ制度を高く評価します。
社民党は世田谷区から候補者を出し選挙戦をたたかっていますが、候補の桜井純子さんは区議として、元社民党衆議院議員である保坂展人区長とともに、同性パートナー制度を力強くバックアップしてきました。当選後は都議として東京都でもこうした制度の創設に全力をつくします。
また、社民党は国政でも「同性婚の実現を目指す」とマニフェストで宣言しています。国政と自治体との連携のもと、LGBTのみなさんのため、全力をつくします。



問4 同性カップルが里親として子育てをすることについて、どうお考えですか?

 

A. 同性カップルも里親として認められるべきだ
理由:大阪府で同性カップルが里親として認められたことは社会が一歩進んだと評価しています。
東京都の里親制度においても、同性カップルが里親として認定できるよう、環境を整えます。



■最後に当事者やその周囲の皆さんへのメッセージなど、自由にコメントをお願いします。

 

社民党東京都議選に世田谷区選挙区から世田谷区議を3期12年務めた桜井純子さんを公認候補として闘っています。

桜井候補は「みんなの居場所がある東京へ」をスローガンにLGBTのみなさんに関するテーマについても大きな関心をもっています。社民党の「2017東京政策」では17の重点施策のうち1つにLGBTに関して「性的マイノリティの理解と権利をひろげる」を掲げています。また桜井候補の選挙カーには6色のレインボーリングをデザインしたマークが貼られています。

上記でご質問いただいた、性的指向性自認に関する差別禁止の条例、教育現場での(児童生徒に届く形での)啓発、当事者の児童生徒へのサポート、同性カップルの平等の実現などの他、都営住宅に関しても、同性カップルが入居できるよう、条例の「同居親族要件」の撤廃など、みなさんの平等を実現するため頑張ります。

 

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

小学校教諭「誰だオカマは」と差別発言、これは氷山の一角にすぎない

埼玉県の小学校で、5年生の授業中に男性教諭が「誰だオカマは」など差別的な発言をしたというニュースがありました。

クラスに在籍している「男女両方の性に違和感を持っている」ことをオープンにしている児童が帰宅後保護者に相談。保護者が学校に抗議した所、教諭から謝罪があったそうです。

 

この教諭に対して憤る気持ちはもちろんありますが、殊更に個別ケースとしてのこの教諭を責め立てることが、必ずしもこの問題の本質的な解決ではありません。

2015年には文部科学省から全国の教育委員会に性的マイノリティに関する通知を出しているにもかかわらず、こうした問題がなぜ起きてしまっているのか。氷山の一角にすぎないこの件をもう少し大きな視点から捉え、今後どうすれば同じような問題を未然に防ぐことができるのかを考えたい。

 

この記事では、

  1. 今回の件のどこが問題だったのかについて振り返り、
  2. 現状の制度における課題を整理し、
  3. 同じような問題が起きないために今後どうすれば良いか

を順番に考えていきます。

 

それではまず、今回の件のどこが問題だったのか、から振り返ってみましょう。

 

先生が率先して「セクシュアリティを揶揄する」ことを示してしまっている

 

小学校5年生の社会科を担当していた男性教諭は「教科書の音読中、男子児童の一人が(女性のように)声色を変えてふざけたので、注意しようと不用意に『ここにオカマがいるのか。誰だオカマは』と発言してしまった」と話しているそうです。発言をした教諭は、クラスに男女両方の性に違和感をもっているという児童がいたことを把握していました。

 

どういったシチュエーションでその発言があったのかはわかりませんが、クラスに当事者がいることを認識していたにもかかわらず、「女性のように声色を変えていること」=「オカマ」と揶揄したり、「不用意に発言」という所からも偏見があったことは明らかです。
そしてそれが誰かを傷つける可能性があるという想像力はなかったのではないか。「多様な性について知らなかった」では済まされないですが、教職員にとってもまだまだ適切に知る機会が多くないことも事実です。また、知ったとしてもそのことが本当の意味で身につくかというと、まだそこまでは至らないのが現状かもしれません。

 

いずれにせよ、性的指向(どの性別の人を好きになるか/ならないか)、性自認(自分の性別をどう認識しているか)が何であっても、それを理由に揶揄したり差別的な発言をすることは、教室にいるかもしれない性的マイノリティの児童生徒や、まだ自分のセクシュアリティに悩んでいる人、これから向き合うかもしれない人、当事者の友人がいる人など、教室にいる”誰か”を傷つけてしまうことがあります。

 

当事者がそこにいるかいないか、見えているかいないかにかかわらず、本来児童生徒を守る立場であるはずの教員が、率先して「セクシュアリティを揶揄する」ことを他の児童にも示してしまっているという点も、教育として非常に問題があると考えます。

 

現状の制度における課題を4つのポイントから整理してみる

 

次に、現状の制度における課題を整理してみましょう。

抑えておきたいポイントは以下の4つ

 

  • 文部科学省の通知の限界
  • 学習指導要領にLGBTは含まれていない
  • 全ての教職員に対して研修は実施されていない
  • 日本にはLGBTを保護/承認する法律がない

 

今回の件で唯一良かったと思う点は、教諭の差別発言に対して児童とその保護者が正式に抗議できたことです。ここには社会の変化を感じました。しかし、たまたま明るみになった今回の件は、実は氷山の一角にすぎません。学校で先生にカミングアウトをしたことがある人は1割程度という調査もあり、当事者は見えにくい状態です。差別的な発言があっても抗議できる可能性は低いでしょう。

 

現状の課題①「文部科学省の通知の限界」

 

冒頭に少し触れましたが、2015年の4月には文部科学省から全国の教育委員会に対して「性的マイノリティへの配慮や相談体制を整える」必要があるというような内容が含まれた通知を出しています。さらに翌年には教職員向けのパンフレットも作成しています。

 

これによって確実に、学校で多様な性に関する理解を深めようとする機運は高まりつつあります。しかし、やはり現状としてこの通知は全ての学校に周知徹底されているわけではありません。例え法律があったとしても全ての現場が適切な対応を取れているわけではないように思います。増して「通知」だけで現場にきちんと知れ渡るものなのかは少々疑問です。内容的にも、どういう発言が差別にあたるのか等細かく書いてあるわけではないため、現場の教員にもなかなか浸透しにくい状況です。

 

現状の課題②「学習指導要領にLGBTは含まれていない」

 

小学校や中学校の保健の教科書には「思春期になると自然と異性に関心が高まる」という内容が記載されおり、性的マイノリティの存在が想定されていません。今年2月の学習指導要領の改訂の際に、多様な性について学習指導要領に取り入れてほしいという声が多数あがりましたが、文科省LGBTを指導内容として扱うのは、保護者や国民の理解などを考慮すると難しい」と判断し、結局内容は変わりませんでした。そのため、教員養成課程においても、多様な性について学ぶ機会は未だ必修ではありません。人によっては何も学ばず現場にでてしまい、今回のような差別発言を「不用意に」言ってしまうかもしれない状況なのです。

 

現状の課題③「全ての教職員に対して研修は実施されていない」

 

各学校ごとではありますが、教職員が多様な性について学ぶ機会は全国的に増えてきています。しかし、実施している/していない学校、さらに研修をしていても、個々人の教員の受け止めなど、理解状況はバラバラで、環境の整っていない学校に通っている児童生徒にとっては、自分らしく生きることは非常に厳しい状態です。やはり全ての地域で一定水準の研修を実施すべきだと思います。

 

現状の課題④「日本にはLGBTを保護/承認する法律がない」

 

日本には性的指向性自認を理由とした差別を禁止するような法律がありません。文科省からの通知が出ていても教員全てに行き渡っているわけではない中で、今回のような発言をなくしていくためには、少なくとも学校現場において「こういう言動はダメ」ということが明確に示される必要があると思います。

 

さらに③で述べたのように、残念ながら多様な性に関する研修を行うかどうかは学校の主体性に任されてしまっており、現状全国の学校で研修を実施することはできていません。法律ができることによって広く研修を実施することの後押しになると思います。

 

差別的な言動にNOと言える法律も、丁寧に理解を広げることも両方必要

 

同じような問題を起こさないために今後どうすれば良いのか。

課題を整理して見えてくるのは「差別的な言動に対しNOと言える法律」も、「丁寧にコミュニケーションを重ねて理解を広げること」も両方必要だということです。

 

もちろん法律だけあればこの問題が解決されるわけではない。けれども、今回大きな問題なのは、既に文科省が施策を打っているにも関わらず、教員という公的で、子どもたちに与える影響の大きい立場にいる人が、「目の前に当事者がいたにもかかわらず(本来は当事者の有無にかかわらずですが)不用意に差別的発言が出てしまった」ということであり、これが氷山の一角だと思われる点です。

 

そして、当たり前ですがこれは学校現場だけのことではありません。まだまだ差別的な発言にNOという理解の浸透が、表層的なものとなっているように思います。職場や行政、医療、民間サービスなど、社会全体で法律として「差別的な言動にNO」と示しつつ、ひとりひとりに理解を広げるための「丁寧なコミュニケーション」の両輪で回していくことが必要ではないでしょうか。

 

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最後に余談ですが、今回の報道の中で「男女両方の性に違和感を持っている」児童のことを「LGBTの児童」と呼んでいたところに違和感を感じました。LGBTという言葉は性的マイノリティを表す総称の一つとしても使われていますが、個人を表す時など、場合によってはその存在を抽象化しすぎて「LGBTという人」がいるかのような表現になってしまいます。

本来はその人のセクシュアリティをそのまま書く方が適切だと思いますが、ただ、「LGBTの児童」という記載となってしまう背景には、「LGBT」と「SOGI」の関係など、概念を適切に把握しきれていないことが垣間見られます。ここでも、社会全体に向けた表層的でない理解の浸透が課題となっているように思います。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

f:id:soshi-matsuoka:20170222180245j:plain

1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

フロリダ銃乱射事件から1年、「プライドパレード」がいつもと少し違った理由

アメリカ、フロリダ州オーランドにあるゲイナイトクラブ「PULSE」で、死者50人、負傷者53人に登る銃乱射事件が起きてから昨日でちょうど1年。11日に首都ワシントンロサンゼルスなど各所で開催されたプライドパレードでは、普段の華やかなパレードとは少しだけ違った印象を受ける場面がありました。

 

それは、ロイターの記事でのパレード主催者のコメントにも現れています。

「今年はパレードでなく、行進を行うべき年だ。われわれのコミュニティを祝うものであると同時に、われわれを取り巻く環境や、人権を巡るデリケートなバランスを認識する機会でもある」。

 

このコメントはとても示唆的だと私は思います。

  

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LGBTブームの恩恵と課題

  

今年5月に発刊された雑誌「世界」の特集タイトルは「<LGBT>ブームの光と影」、さらに、先日発刊されたAERA6月12号の特集タイトルは「LGBTブームの嘘」でした。日本ではここ数年でLGBTに関する情報が急激にメディアに取り上げられ、その言葉の認知度は著しく向上しました。「ブーム」と表現されるほど、そのスピードは早く感じられているようです。

 

その恩恵は確実に現れています。渋谷区や世田谷区の同性パートナーシップ制度を皮切りに、現在6つの自治体で同様の制度が施行されています。性的指向性自認による差別禁止の明文化や、社内研修など、企業のLGBTに関する取り組みは年々増加しています。5月に開催された東京レインボープライドでは、参加者数が過去最高の10万人を記録しました。セクシュアリティをオープンにしている当事者がメディアに取り上げられ、身近な範囲でも、少しずつLGBTも自分らしく生きることのできる社会へと進んでいるように感じています。

 

しかし、こうした良い影響の反面「LGBTという言葉だけが一人歩きしているように感じる」という声を度々耳にします。その背景には、都市部と地方での情報や理解度の差、LGBTの市場化など、当事者が置き去りにされていると感じる現状や、他にも見落とされていることがあるのかもしれません。企業や自治体のLGBTに関する施策は進みはじめていますが、残念ながら未だ日本にはLGBTを保護/承認する法律がなく、自治体の同性パートナーシップ制度にも法的効力がありません。

  

バランスを大切にしていきたい

 

私たちは、性的指向性自認にかかわらず自分らしく生きることのできる社会を実現するために、何を目的とするのかを改めて明確にしておく必要があります。そして、私はそこに大きく2つの目的があると思っています。

 

ひとつは、性的指向性自認にかかわらず、平等な権利を持つ」こと

もうひとつは、LGBTであることで笑い者にされるのでも、腫れもの扱いにされるのでもなく、あたりまえな存在として扱われる」ことです。

 

これらの目的のために私たちは「LGBT」という虹色の旗のもとで団結し、声をあげています。そして、性的指向性自認を理由とした不当な扱いや差別・偏見から自分自身を守ることができる法律を必要としています

 

同性であっても法的にパートナーとの関係を保障して欲しいし、子どもが自分自身のセクシュアリティで悩まずにすむよう、学校で全ての子どもが多様な性のあり方について適切に学べるようにして欲しい。カミングアウトが就職活動に不利になる理由になってほしくないし、職場で性的指向性自認を理由にハラスメント受けて働き続けられなくなることをなくしていきたい。トランスジェンダーの人が自分の性自認に基づくトイレを使用しても何も問題がないようになってほしいし、戸籍の性別を変更する際に手術を必要とする条件をなくしてほしい。

 

もちろん法律だけで社会全体の理解が進むわけでも、何かひとつ変われば全てが一瞬で良くなるわけでもありません。ミクロの面でLGBTについて理解してもらうためには、学校や職場、家族や友人間でも、やはり知識に加えて、当事者と出会ってもらうことが重要だと私は思います。そういったひとつひとつが積み重なり、さらに制度と結びつくことで社会全体の理解につながります。

 

ブームで終わらせないために、スピードが早いと感じている時だからこそ冷静になって、良い波には乗り、時には振り返って見落としてきた道を探る。そのバランスを大切にしていきたいです。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

f:id:soshi-matsuoka:20170222180245j:plain

1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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台湾で同性婚容認へ「婚姻は子どもを産むことを前提としていない」

台湾で、同性婚が認められていない現行の民法は「違憲」と判断され、2年以内に修正することが命じられました。

 

以前、明治大学で開催されたワークショップ「台湾における婚姻平等化に向けた法改正の動き」の内容をブログにまとめましたが、その最後に司法院大法官が3月に憲法法廷(口頭弁論)を開き、憲法解釈を行うことを決定しました」と書きました。その憲法法廷で今日5月24日、同性婚が認められていないことは「違憲」と判断されたことになります。

また、立法機関が2年内で法律の修正または制定をしなかった場合、民法の婚姻は自動的に同性にも適用され得ることになるそうです。

 

AFPBB報道よると、今回の判断は14人の大法官のうち10人以上の賛成が必要でしたが、反対に回ったのは2名のみだったそうです。

 

 

婚姻は子どもを産むことを前提条件としていない

 

今回の判決の要旨をEMA日本がまとめてくれています。

 

同性婚を認めたとしても、異性婚を前提としてきた社会秩序が変わってしまうわけではない。むしろ、婚姻の自由を同性カップルにも広げることで、社会の安定が強化されるであろう。同性愛者であれ異性愛者であれ、愛する人と肉体的にも精神的にも一緒にいたいと思う気持ちやその必要性は変わらない。婚姻は人間の尊厳を擁護し、健全な個性を育むために重要である。

 

我が国(台湾)においては、同性愛者は社会から否定されてきた。それゆえ、彼らは社会から隔離され、孤立し、事実上および法律上の差別に苦しめられてきた。また、社会の偏見により、彼らが民主的な方法で法的な不利益を改めることも困難であった。

 

民法の婚姻規定は、子どもを産むことを前提条件とはしていない。婚姻した一方が子どもを作れないからといって婚姻が無効になることもなく、離婚の理由にもならない。子どもを産むことが婚姻の基本的な要素であるとは全く言えない。ゆえに、自然な妊娠によって子どもを授かることができない同性カップルについても、そのことを理由に婚姻を認めないことは、合理性を欠く。

 

同性婚が認められても、同性カップルは異性カップルと同様、婚姻中も離婚後も権利と義務を負うのであり、社会の基本的倫理は不変である。社会的倫理に影響することを理由に同性婚を認めない、つまり同性カップルの人たちに異なる扱いを認めることは、全く合理性を欠き、憲法の定める平等の原理に反するものである。」

 

すばらしい判決文です。

 

誰もが平等に婚姻制度を利用できるために

 

婚姻の平等化に関して、具体的な行動が起きたのは1986年。あるゲイカップルが立法院に対して婚姻制度の創設を請願した所、「同性愛は公序良俗に反するので認められない」と回答されたそうです。

そこから31年、アジア初の婚姻の平等化に向けて、台湾はまた大きく一歩を踏み出しました。

 

同性婚が認めれらていない現行の民法違憲とされたことで、台湾は次のステージに進んでいきます。前回のイベントで登壇されていた許(キョ)さんは「同性婚」という言い方ではなく「婚姻の平等」を目指すとお話ししていました。

同性婚という言葉を使うと、同性以外の性別を排除するかたちになってしまいます。同性の婚姻ではなく、婚姻の平等に力点を置きました。」

 

今回の憲法解釈では"同性カップルが現行の民法では法的に保障されていない"ことが違憲という判断でした。今後は、セクシュアリティにかかわらず、誰もが平等に婚姻制度を利用できるための法整備が進んでいくことになると思います。

 

日本でも議論を加速させていきたい

 

日本を見てみると、朝日新聞世論調査では、同性婚を法律で認めるべきかについて、「認めるべきだ」が49%と、「認めるべきではない」の39%をやや上回っています。

 

また、女性では「認めるべきだ」が54%と過半数を占めていたり、18~29歳、30代では容認派が7割に達しています。(60代では「認めるべきだ」「認めるべきではない」がともに42%、70歳以上では「認めるべきではない」が63%と、年代のギャップが大きく出ています)

 

あるテレビ番組同性婚について取り上げられた際に、出演していたデヴィ夫人が「愛し合うのは認めますよ。結婚は自然の摂理に反すると思う。結婚は子孫を残すことですから、それに反します」と同性婚に反対したことが報じられました。

 

今回の台湾の判決文の中にもある通り、「結婚は子孫を残すためのもの」という考えは、子どもを持たない・持つことができない異性カップルはどうなるのかとか、シングルで子どもがいる人、高齢で結婚した人、いろんなものを見落とすことになります。婚姻した一方が子どもを作れないからといって婚姻が無効になることもなく、合理的ではありません。

 

また、「自然の摂理」という話もよく出ますが、自然界ではライオンやキリンやイルカなどなど、数多くの動物で同性愛関係が確認されています。例えば雄同士のペンギンで子育てをしていたり、性的指向の話ではありませんが、ファインディングニモでおなじみのカクレクマノミは雄から雌に性別が変わったり、自然界でも「性のあり方」は様々なのです。

 

まだまだ日本では同性婚についての議論が十分にされているとは言えません。

アジア初の婚姻の平等化を目指して、台湾の大きな前進を祝福すると共に、日本での議論も今後もっと加速させていきたいと思います。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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「同性愛について違和感はあるけど、嫌いという訳ではない」という人こそ考えて欲しい"無意識のうちの嫌悪"

Dictionary.comが選んだ今年の単語2016が「Xenophobia:ゼノフォビア、外国人(異なる文化への)嫌悪」だったというニュースが記憶に新しいです。
 
「〜フォビア」という言葉、日本語ではよく「嫌悪」と訳されますが、恐怖症だったり、憎み嫌うこと、強い不快感を持つことを表しているようです。
 
ホモフォビア:同性愛嫌悪」や「トランスフォビア:トランスジェンダー嫌悪」は未だ世界中で確認されています。もちろん日本も例外ではありません。
 
「嫌悪」とは何なのでしょうか、少しでも減らしていくために私たち一人一人に出来ることは何なのでしょうか。
 

国際反同性愛嫌悪・トランスジェンダー嫌悪の日

 
5月17日はIDAHOT(International Day Against Homophobia and Transphobia:国際反同性愛嫌悪・トランスジェンダー嫌悪の日)です。
 
1990年の5月17日に世界保健機関(WHO)が同性愛を精神疾患のリストから外したことを記念して、この日を「同性愛嫌悪やトランスジェンダー嫌悪に反対する国際デー」と位置付けました。現在も世界中で様々なアクションが行われています。
 
日本では「多様な性にYESの日」という名前で記念日として認定されているそうです。
 
 
 

同性愛嫌悪による迫害や事件

 
実際に以前まで同性愛は精神疾患として扱われていたり、多くの国で同性愛は犯罪とされていました。
 
1933年からのナチス・ドイツ下では同性愛者は強制収容所に送られ、迫害されていました。(その時に付けられた識別胸章がピンク色の三角形だったため「ピンクトライアングル」と呼ばれ、現在では反対に、性的少数者の権利を象徴するシンボルとして使われています。)
 
世界を見渡すと、現在でも同性愛の迫害が行われている場所は多くあります。昨年の6月、アメリカ、フロリダ州オーランドにあるゲイクラブで銃撃事件がおき、約50人が死亡しました。
 
つい先日もロシア南部のチェチェンで100人以上の男性同性愛者らが拘束され、少なくとも3人が死亡したと報じられています。
 

無意識のうちの嫌悪

 
こうして見ていると、同性愛嫌悪というのは主に宗教などによって対立が起きている諸外国での話であって、日本にはあまり関係ないと思う人がいるかもしれません。
 
確かに日本では先ほどあげたようなニュースを普段目にすることはあまりありません。
しかし、ゲイ・バイセクシュアルの男性5731人を対象にした調査では、自殺を考えたことがあると回答した人の割合が約60%だったり、2015年の8月に一橋大学法科大学院に通っていたゲイの大学院生が、自身のセクシュアリティを第三者に暴露される「アウティング」を理由に自殺してしまい、現在も遺族による裁判は継続中です。
 
このように、偏見による社会からの「嫌悪」によって、当事者が自らを死に追いやってしまったり、居場所を失ってしまう事例が日本でもまだまだ起きているのです。
 
 
ただ、「嫌悪」という言葉について考えたとき、もしかしたら「同性愛について違和感はあるけど、強い憎悪や不快感を持っているわけではない」「むしろ嫌悪は良くないことだ」と思っている人も多いのではないかと個人的には感じています。
 
この「違和感」について、ぜひ考えてみてほしいです。
 

「気づく」ことができれば「変わる」こともできる

 
よく最寄の駅前の牛丼チェーンで弁当を買って帰ることがありますが、最近は外国人の従業員の方が以前より多くなってきていると感じています。
 
ある時、店員さんに日本語があまり通じず、なかなか注文したいメニューが伝わらなかったり、出てくるはずのものが出てこなかったり、弁当のセットのものが入っている袋をレジに置き忘れたりということが重なったことがありました。
 
しかし、店員さんは私が置き忘れていた袋には目もくれないような印象で、その時、私の中のどこかで「結局外国人は…」という感情が芽生えてしまっていたのです。
 
こんなことを偉そうに述べていること自体恥ずかしい気持ちになりますが、店員さんの対応が「いつも通りじゃなかった」ことと「外国人(だと勝手に判断している)」ことはもちろん全く関係ありません。
そもそも、その従業員の方はまだ働き始めて数日なのかもしれませんし、そもそも、もしこの店員さんが日本人(だと勝手に判断している)だったら良かったのかと聞かれると全くそんなことはありません。
 
結局自分の中にも、誰かをカテゴリー化して差別してしまう感情があったことに気づいてしまいました。
しかし、同時に「気づく」ことができるということは「変わる」こともできるんだということを実感しました。
 

いつでもアップデートし続ける姿勢

 
誰でも、無知や偏見に基づく、自分自身も気づいていないような無意識的な嫌悪はあるのではないかと思います。
 
5月15日の西日本新聞には「女装して自転車で疾走する中年男が出没」というニュースが報じられました。現在は記事が削除されていますが、内容には「14日午後5時ごろ、福島県糸島市神在で、女装した男が出没しているのが確認された。(中略)エプロンのような服を着て女装し、銀色か白色の自転車に乗っているという。」と書かれていました。
 
何もしていないのに、”中年の男性”が"女性の服装”を着て”自転車に乗る”ことは「不審者」になるというのは、これは明らかな「嫌悪」です。しかし、それを容認してしまっている社会による無意識のうちの「嫌悪」は見落とされがちだと私は思います。
 
LGBTの権利を保障するなら『LGBTが嫌いだ、気持ち悪い』と言う権利も保証しろ」という声をよく耳にします。
個人間の付き合いの中では性格が合わない人もいると思います。好きな人もいれば嫌いな人もいる。しかし、何かのカテゴリーや属性で「嫌い」と言うことはヘイトスピーチです。それは思考の停止、分断につながります。思考を止めることは楽です。ただ、それと同時に誰かを切り捨てることにつながってしまう可能性もあります。
 
自分のたった一つの言葉や行動で、無意識のうちにどこかで誰かを傷つけている可能性がある。それは誰にとっても同じだし、私たちは常にそれと付き合っていかなければいけません。
 
しかし、そう思えるスタンスがあれば、きっと「気づいた」ときに「変わる」ことができる。そのためには、知識やいろんな価値観の人たちとの出会いも必要になってくると思います。
属性で人を判断しないよう、自分の中にある、何かに対する無意識のうちの嫌悪と向き合い続け、常にアップデートしていく姿勢を「良い」と思う人がひとりでも増えていくと良いなと思いますし、私も続けていきたいです。

東京レインボープライド2017「フェスタ・パレード」について取り上げた記事まとめ

5月6日(土),7日(日)に開催された東京レインボープライド「フェスタ・パレード」について取り上げた各社記事をアーカイブ

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毎日新聞

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東京レインボープライド「多様な性」アピール

 

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デイリースポーツ

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Japan Times

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「"普通の人かLGBT"じゃない」世界がもっとカラフルに見えてくるきっかけをくれた"東京レインボープライド"とは

LGBT」という言葉を知った頃、自分と異なるセクシュアリティの人と出会う度に「この人はどんなセクシュアリティなんだろう」と、いつも気になって仕方がなかった。そして、そんなことはどうでも良いんだと気づくまでに、私はだいぶ時間がかかった。そう思えるようになったきっかけは、3年前の「東京レインボープライド」だった。
 
 
セクシュアリティはその人を構成する要素のひとつにしか過ぎない。それでも、そのたったひとつの要素が社会から「普通じゃない」とされてしまうことで、自分らしく生きることができなくなってしまうことがある。
どんな性別を好きになるか、ならないか、自分の性別をどう思っているかは、LGBTLGBTではないかに関わらず全ての人が持っているひとつの属性だ。そして、本来それは「普通の人とLGBT」とか、「LGBTとそれ以外」に分けるものではない。セクシュアリティはグラデーションのようになっている。
 
誰もが多様な性のあり方の一つで、自分という存在にプライドを持って生きていける。そんなひとりひとりの存在を「Happy Pride!!」の掛け声と共に、渋谷の街を歩きながら「楽しく」可視化していくイベント「東京レインボープライド」が、今年も5月6日(土)、7日(日)に開催される。
 
 
ゴールデンウィークをレインボーウィークに
 
 
東京レインボープライドのメインイベントである「フェスタ・パレード」は、ゴールデンウィーク最後の6日(土)、7日(日)に渋谷の代々木公園イベント広場で行われる。
 
昨年度の動員数は約7万人。今年は10万人が見込まれている東京レインボープライド。その最大の魅力は、やはり最終日の「パレード」だ。
 

f:id:soshi-matsuoka:20170504170247j:plain(東京レインボープライド2016)

 
華やかに彩られたフロートと呼ばれる山車に先導され、盛り上がる音楽と共に、レインボーの服やフェイスペイントなど、カラフルな思い思いの格好で渋谷と原宿の街を歩く。
特に、渋谷といえば一番最初に思い起こされる「スクランブル交差点」を通過するのは普段なかなか経験できない貴重な体験だ。
 
 
そもそも、なぜこうした「パレード」が開催されるようになったのか。この話は1969年のアメリカまで遡る。
 

Hairpin drop heard around the world

 
"Hairpin drop heard around the world” ヘアピンの落ちる音が世界中に響き渡った。
 
1969年6月28日、アメリカで差別や弾圧に苦しめられていたLGBTが立ち上がった「ストーンウォールの反乱」。最初に警察官に投げつけられたのは、ある一人の"女装したゲイ"の「ヘアピン」だったという逸話がある。
 
その1年後に反乱を記念して行われたデモが、今日の「プライドパレード」のはじまりと言われている。ヘアピンが落ちる音が響き渡るように、いまや世界中の至るところでプライドパレードは毎年開催されている。
 
これだけ世界との距離が近くなり、同時に分断も起きている今の時代に、国境も越えて、同じ方向を向いて、同じ人間として自分たちの存在を祝福しあう。世界の大きな流れの息吹を感じる機会はなかなかないと思う。
 

「カラフルな格好でインスタに写真をあげたいから」でも良い

 
東京レインボープライドの会場では、毎年様々なブースが出展されている。年々その華やかさは増していて、例えば、GoogleマイクロソフトYahoo!ミクシィ、freee、ライフネット生命資生堂野村證券アクセンチュアIBMリクルート、丸井などなど、誰もが聞いたことがあるのではないかという企業のブースは、初めて来る人でもきっと楽しめるものが多いと思う。
 
今年は自治体として渋谷区もブースを出す。また、今年初めてドン・キホーテもブースを出展し、オリジナルのレインボーグッズを販売する予定だ。それを身につけてパレードに参加するのも良いかもしれない。
 
日差しが強いと喉も渇く。チェリオコーポレーションのブースでライフガードをもらったり、飲食ブースの中でも特に、エスニックな料理がとても美味しいirodoriでお昼ご飯を食べながら企業以外のブースも回ってみたい。
 
疲れたら休憩できるようなブースもある。いろんなセクシュアリティの人と話をしてみると、きっと東京レインボープライドをより楽しめると思う。
 
 

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毎年パレードの日のラストを彩るスペシャルライブ。今年のアーティストは「中島美嘉」さんに決定した。「偏見や差別のない、様々な幸せの形を尊重し合えるムーブメントが広がっていく事を強く願っています」とコメントを寄せてくれている。
 
お祭り気分でふらっと参加できる東京レインボープライドは、もちろん参加するのにセクシュアリティは不問。LGBTや性の多様性に関心のある人もそうでない人も、ただ「面白そうだから」でもいいし「寄ってみた」だけでも良い。「カラフルな格好でインスタグラムに写真をあげたいから」という理由でも、「ゴールデンウィーク最終日、することが何もない」からでも全く問題ない。いろんな人がそれぞれの楽しみ方ができるイベントになっている。
 
東京レインボープライド、フェスタ・パレードは5月6日(土)、7日(日)に代々木公園イベント広場で開催。詳細は東京レインボープライドの公式WEBサイトから確認できる。
 

自分の目の前に広がる世界は、以前より確実に色鮮やかでカラフルなものになっている

 
自分がゲイなんだと気づき始めた小学校の頃、違う学年に男性として入学して、自分のことを女性だと思っている人がいることを知った。でも、自分とは関係のないことだと思っていた。
ゲイは笑われる存在なんだと思い込んできた18年間が過ぎて、LGBTという言葉に出会ってすぐのときも、その言葉が自分と関係のあることだとは思わなかった。
 
高校を卒業し上京してきて、たまたま参加した東京レインボープライド。自分と異なるセクシュアリティの人にたくさん出会った。パレードを歩くカラフルな人たちを見て、この時も「この人たちはどんなセクシュアリティなんだろう」と気になって仕方がなかった。
 
そこから、いろんな人に出会って話を聞いて、自分を含むそれぞれの困りごとを知って、社会の構造にも触れた。同時に、ひとりひとりがその人自身の生き方や幸せのあり方について考え、時には躓きながらも大切に毎日を生きていた。
 
いつの間にか、目の前にいる人と話すときに「この人はどういうセクシュアリティなんだろう」と考えることもなくなった。
 
自分の目の前に広がる世界は、以前より確実に色鮮やかでカラフルなものになっている。
 
 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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