台湾で同性婚、大阪でゲイカップルが里親認定、保毛尾田炎上など。2017年のLGBTニュースをまとめてみた
こんにちは、松岡宗嗣です。
2017年もLGBTに関する様々なニュースがありましたね。感覚としても年々LGBTに関する報道は増えているように感じています。
今年も、個人的に印象に残ったニュースを振り返っていこうと思います。
1月13日:声優の三ツ矢雄二氏がゲイをカミングアウト
アニメ『タッチ』の上杉達也役などで知られる声優の三ツ矢雄二(62)が、12日深夜放送のテレビ東京系『じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~』(毎週木曜 深0:12)に出演。これまでたびたび“グレーゾーン”として明言を避けてきた自身のセクシャリティーに関して「ゲイかストレートかって言われれば、ゲイ」と初めて告白した。
1月24日:人事院、性的指向や性自認に関するからかいやいじめをセクハラと明記
「ホモっぽい」「おとこおんな」とからかうような言動はセクハラ――。国家公務員の就労ルールを定める人事院は1月から、規則の運用通知を改め、「性的指向と性自認」をからかったり、いじめの対象にしたりする言動をセクハラと明記した。一般職の約28万人に適用され、違反すれば懲戒などの処分対象となる。
2月25日:映画「彼らが本気で編む時は」公開
2月27日:映画「ムーンライト」がアカデミー賞を受賞
自分の居場所やジェンダーを模索する主人公を3つの時代構成で描き出した。2人が生まれ育った米マイアミの黒人コミュニティを舞台に、過酷な環境の中でアイデンティティや愛の形を見出していく姿が、情感あふれる詩的な語り口と映像美でつづられていく。
3月9日:「レインボー国会」開催
3月9日に衆議院の議員会館で、性的指向や性自認に関する公正と平等を求める院内集会「レインボー国会」が開催されました。
平日の昼間にもかかわらず300人ほどが集まり、議員会館で一番大きい会議室がほとんど埋まっていました。
3月12日:トランスジェンダーの細田智也氏が入間市議に当選
3月12日投開票の埼玉県入間市議選で、トランスジェンダーであることを明らかにして立候補した細田智也さん(25)が初当選しました。トランスジェンダーの男性として公職に選ばれたのは国内で初めての例です。
3月16日:文科省、いじめ防止対策推進法の基本方針に性的少数者が追加
いじめ防止対策推進法に基づいて国が定める基本方針について、文部科学省は16日、新たに原発事故で避難生活をする子どもや、性的少数者(LGBT)への対応を盛り込んで改定し、全国の教育委員会などに通知した。また、学校内での情報共有不足が子どもの自殺につながる例が相次いだため、情報共有を怠れば同法に「違反し得る」と明記。学校にマニュアルなどを定めるよう求めた。
4月5日:大阪市で男性同性カップルが養育里親に認定
虐待などにより親元で育てられない子供の養育里親について、大阪市が男性カップルを認定したことが5日、市への取材で分かった。厚生労働省は同性カップルの里親認定について「聞いたことがない」としており、全国初とみられる。
5月7日:東京レインボープライド2017が開催
渋谷の街を虹色にしたのは、セクシュアル・マイノリティの祭典「東京レインボープライド」のパレード。
2012年に始まった東京レインボープライドは、今回で6回目となる。当初4500人だった参加者は10万8000人に増え、過去最高の5000人がパレードを歩いた。
5月24日:台湾で同性婚容認の憲法判断
台湾の司法最高機関にあたる司法院大法官会議は5月24日、「同性同士での結婚を認めない民法は憲法に反する」という判断を下した。BBCやテレグラフ紙などが報じた。アジア初の同性婚認可に向けて、台湾は大きな一歩を踏み出したことになる。異性間だけ結婚を認めている現行法について、大法官会議は「憲法が保障する法の下の平等や結婚の自由に反する」との見解を示した。
6月1日:札幌市で「パートナーシップ制度」がスタート
札幌市で1日、性的少数者(LGBT)カップルの関係を公的に認証する「パートナーシップ宣誓制度」が始まった。同様の制度を政令市が導入するのは初めて。
7月6日:LGBT自治体議連発足・文京区の前田邦博議員がカミングアウト
性的指向と性自認に関連する人権擁護を目的とする「LGBT自治体議員連盟」が7月6日に発足した。世話人の当事者5人が都庁で記者会見した。文京区議の前田邦博さん(51歳)は初めて、公の場で「私はゲイです」とカミングアウトした。
9月28日:「保毛尾田保毛男」が炎上
フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」30周年記念のスペシャル番組で石橋貴明氏扮する「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」が登場。これが物議を醸し、最終的にフジテレビの宮内正喜社長が謝罪するに至った。
10月17日:最上もが氏がカミングアウト
過去にもブログでバイセクシャルであることを明かしていた最上。今回、理想の男性についてインタビューされる場面で「10歳くらいの頃から女の子のほうが好きだった」と女性も恋愛対象であることを改めて打ち明けた。
10月20日:北海道滝川市議のたてうち孝夫氏がカミングアウト
11月15日:オーストラリア・国民投票で同性婚合法化を支持
オーストラリアで同性婚合法化の是非を問う国民投票が2カ月かけて実施され、15日に発表された開票結果で賛成が61%の多数を占めた。反対は38%にとどまった。
→12月7日にオーストラリア連邦議会が同性婚を認める法案を可決
11月17日:元女子バレーの滝沢ななえ氏がカミングアウト
元女子バレーボール選手の滝沢ななえさん(30)が11月16日、バラエティ番組「衝撃のアノ人に会ってみた」(日本テレビ系)に出演し、年下の女性と交際していることを明かした。
11月23日:自民党・竹下総務会長「宮中晩餐会の同性パートナー出席、反対」
自民党の竹下亘総務会長は23日、天皇、皇后両陛下が国賓を迎えて開く宮中晩餐(ばんさん)会をめぐり、「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」と述べた。岐阜市内で開かれた党支部パーティーの講演で語った。
11月28日:厚労省・性別適合手術に保険適用へ
厚生労働省は28日、心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人を対象にした性別適合手術について、来年度から新たに公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入った。
12月6日:港区議会、同性パートナーシップ制度を求める請願が採択
12月25日:京都府長岡京市議の小原明大氏がカミングアウト
京都府長岡京市議の小原明大さん(40)が、このほど閉会した12月定例会本会議の一般質問で、LGBT(性的少数者)であるとカミングアウトした。LGBTへの差別解消に向けた対策の遅れが指摘される中、地方議員の当事者が公にする例は極めてまれだ。「いろいろな人がいて当たり前。当事者のしんどさを伝え、理解を広める、一つのきっかけになれば」と話す。
12月27日:同性パートナーに遺族給付金が支給されず
名古屋市中村区で2014年12月に起きた殺人事件で、長年同居した同性のパートナーを殺され、犯罪被害者遺族への給付金を申請した男性(42)に対し、支給の可否を審査した愛知県公安委員会が22日付で、「(給付対象となる)配偶者や内縁関係とは認められない」と不支給を決定したことが分かった。男性側は決定を不服として国家公安委員会に改めて審査を求める方針。
2018年に向けて
振り返ってみると、今年も著名人のカミングアウトや制度面での変化がいろいろありました。今回は主に国内のニュースを振り返りましたが、アメリカ・トランプ政権下のLGBTを取り巻く環境や、4月にロシアのチェチェンで100人以上の同性愛者が拘束されたというニュースなどもあり、国内外問わずポジティブな内容ばかりではありませんでした。
一進一退な部分もありつつ、確実にLGBTや性の多様性に関する認識は進んできていると感じています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックが大きなマイルストーンだとも言われていますが、2018年が今後のさらに大きな前進の一歩目となることを期待したいです。
2016年の振りかえりはこちら↓
プロフィール
松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)
1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program
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