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SOSHI BLOG

誰もが誰かのALLYになれる

東京オリンピックに関わる企業「LGBT施策」が必要な理由

 
2020年東京オリンピックパラリンピックを前に、こうしたLGBTに関する企業の施策が今後もっと増えていくことになりそうです。その理由のひとつは、3月24日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が策定した「調達コード」です。
 

オリンピック憲章「性的指向による差別の禁止」

 
「調達コード」とは、東京オリンピックパラリンピックに関係する物品やサービスなどをどこから調達するかというガイドラインのようなものです。
調達する先の企業もこのガイドラインに沿っている必要があり、その「企業」というのは、商品を製造していたりサービスを提供している企業だけでなく、例えばその材料を作っている企業や、ライセンスを受けている企業まで、いわゆるサプライチェーン全体に関わってきます。
 
では何故、その調達コードが企業のLGBT施策に関わってくるのでしょうか?
 
それは国際オリンピック委員会が定めるオリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が明記されており、オリンピックの開催国はこれに準ずる必要があるからです。
 
3月24日に承認された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能生に配慮した調達コード」では、性的指向性自認に関わる部分として以下の記述があります。
 
組織委員会は、「このオリンピック憲章の定める権利および自由は、人種、肌の色、性別、 性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」というオリンピック憲章の理念を強く支持する。」
 
差別・ハラスメントの禁止
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、人種、国籍、宗教、性別、性的指向性自認、障がいの有無、社会的身分等によるいかなる差別やハラスメントも排除しなければならない。
 
社会的少数者(マイノリティの権利尊重)
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、民族的・文化的少数者、性的少数者LGBT等)、移住労働者といった社会的少数者(マイノリティ)の人々の権利を、他の 人々と同様に尊重し、それぞれの特性に応じたプライバシー保護にも配慮しつつ、これらの 人々が平等な経済的・社会的権利を享受できるような支援に配慮すべきである。
 
雇用及び職業における差別の禁止
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等に従事する労働者について、人種、国籍、 宗教、性別、性的指向性自認、障がいの有無、社会的身分等による雇用や賃金、労働時間その他労働条件の面でのいかなる差別もしてはならない。

 

つまり、東京オリンピックに関わる物品やサービスなどを調達(購入)する際は、この基準=調達コードを守っている、性的指向性自認による差別・ハラスメントを禁止している企業から集める必要があります。
しかも、製品を供給している企業だけでなく、その材料を作っている企業やライセンスを受けている企業など、関連企業全てに当てはまります。
 
具体的にどういうことが必要になってくるかを考えてみると、例えば性的指向性自認に関わる差別を禁止することを就業規則に明記したり、社内でLGBTに関する研修を実施したり、業界内でガイドラインを整備などが挙げられます。冒頭のKDDIやキリン、日本オラクルといった企業のような施策もこれからどんどん増えていくでしょう。
 
2017年2月に出された経済同友会の「ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査結果」では、対象の903社のうち、LGBTに対する施策を実施している企業は39.7%でした。実施している企業では、「相談窓口の設置」、「社内研修・勉強会の実施」 「差別禁止規定の明文化」等が特に効果を発揮した施策として挙げられています。
 
最近は塩崎厚生労働大臣も、差別をなくして働きやすい職場環境が大事だとし、ハラスメントをなくしていくべく努力する旨を国会で述べています。
東洋経済は毎年CSR調査LGBTの取り組みに関するアンケート調査を実施していたり、こういった調査も増えていくでしょう。今後、他の経済団体の動向も注目です。
 

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東京オリンピックに関わる企業だけの問題ではない

 
今回の「調達コード」は、もちろんLGBTだけでなく様々な「持続可能性」に配慮した基準が示されています。また、今回はあくまでも東京オリンピックパラリンピックに関わる企業が対象となるため、関係のない企業は特に調達コードを守る必要がないことになってしまいます。
 
LGBTは日本の人口の約8%、日本の6大名字「佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺、伊藤」ぐらい多いと言われています。この名字の人たちと出会ったことがない人はおそらくいないですよね。つまり、普段見えていないだけで、企業が提供するサービスを受ける人や、その企業で働く人、そこに関わる人の中にLGBTは必ずいます。
 
東京オリンピックの調達コードによって、業界を引っ張る企業が性的指向性自認に関わる差別を禁止し、様々なLGBTに関する施策を実施して他の企業に良い影響を与えていくと良いなと思います。
 
しかし、意識のある人や企業に期待し、待ち続けている間にも、当事者の中には就職活動で傷つけられたり、職場で不当な扱いを受けて苦しんでいる人がいます。
 
日本にはまだ性的指向性自認に関わる差別やハラスメントを禁止する法律がありません。職場や学校、医療など、あらゆる場面でそういった差別・ハラスメントを包括的に禁止する法律が求められます。
 
 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

 

生理って「女性」特有のもの? 友人から返ってきた答えは

ハフィントンポストで、女性が自身のカラダについてオープンに話す「Ladies Be Open」という企画が行われていますが、興味深く考えさせられる記事ばかりです。

生理に関する女性の悩みや、仕事への影響をつづった記事が多いのが特徴です。

 

ところで、この企画は、女性達を意味する英単語「Ladies」が使われています。しかしながら、「生理」は果たして「女性」特有のものなのでしょうか?体が女性として生まれたからといって、好きになる性や心の性が「女性」とも限りません。たとえば自身のことを「男性」だと思っているのに、生理と向き合う人もいるはずです。

 

「生理」を切り口に、体の性について考えてみたいと思い、私の友人の「やすとさん」と「まつりさん」に話を聞いてみました。

 

24歳のやすとさんは、身体的には女性として生まれ、自身のことを男性だと自認しているFtM(Female to Male)と呼ばれる「トランスジェンダー」です。現在は手術によって胸を切除していますが、子宮は摘出していないとのこと。

 

まつりさんは体も心の性も女性で、「パンセクシュアル」というセクシュアリティの24歳。パンセクシュアルとは日本語では全性愛と言ったりしますが、好きになる性に性別を問わないというセクシュアリティです。

 

2人とも体の機能として「生理」を経験していますが、自分のことを女性と認識しているのか男性と認識しているのかで、この身体的現象への捉え方が異なります。そのあたりを重点にインタビューしてみました。

 

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(やすとさん)

 

■いつ生理についての情報を得ましたか?


やすとさんは小学5年生の時、林間学校に行く前の男女別の研修で生理について知ったそうです。

 

「それより前に知ってたのかもしれないけど、覚えていません。初めての生理はその年の冬あたり。急にお腹が痛くなって下痢だと思ってたらパジャマに茶色っぽいのがついていて、『もしかして』と思って気づきました。母親に赤飯炊かれたのですが、弟はその意味がわからないので『七五三なの?』と聞かれた記憶があります(笑)」

 

当時はまだ自分のことを男性と自認していたわけではなく、「生理」という現象と、「妊娠するための機能」という女性の身体的特徴が頭の中でつながっていなかったため、嫌悪感はなかったそうです。

 

一方のまつりさん。小学校3年の時に学校の授業で生理について教わったそうです。

 

「(その後)小学校5年生のあたりになると、クラスで誰が生理がきたかとかが噂になることが多く、みんな隠したがっていました」

 

同じ頃、まつりさんにも、はじめての生理が来ました。生理のことは授業で習っていたうえ、すでにクラスの友達に生理が来ている生徒がいたため、驚きはなかったそう。

 

「ただ、なぜかわからないけど、お父さんには言いたくなかったので、お母さんに『お父さんには言わないで』と伝えた記憶があります」



■最初にやすとさんに聞きます。体は女性として生まれましたが、ご自身のことをいつ「男性」と認識し始めましたか?

 

「初めて自分のことを男性だと思ったのは大学2年生のとき。それまで中学校や高校時代は活発に運動をしていたこともあり、自身のことを『ボーイッシュな女性』だと思っていました。中学から女性と付き合ったこともあり、『レズビアンなのかもしれない』と思った時期もありました」。

 

そんな中、自分が「男性」なのかもしれないと思ったきっかけは、長く続けていた部活を引退した時だそうです。

 

「『女子っぽくしたくない』って思い始めたんです。その当時にレズビアンの先輩と知り合いました。この人は女性としての自身に違和感を持っていませんでした。それがわかったとき『あ、自分は違うんだ』と初めて気づきました。ただ、だからといってすぐ男性になりたいと思ったわけでもないんです」



■やすとさんは、トランスジェンダーの男性として生きていて、生理にまつわることで困ることはありますか?

 

「生理の期間中は1日何回もナプキンを変えるんですが、学生時代ボーイッシュなキャラで通っていたので、なんとなくナプキンを持ち歩けなかったです」。理由は「ポーチを持ってトイレに行くこと=生理なんだ、と思われるのが嫌だったから」

 

現在、周囲からは「男性」と認識されて生活しているやすとさん。女性の体で生まれたことはあまりオープンにしておらず、だからこその困りごとがあるそうです。

 

「精神面では、生理がくることで『女性』としての機能を実感してしまうことに対する嫌悪感があります。あと、見た目からは男性として認識されることがほとんどなので、生理用品や鎮痛剤を買いに行きづらかったり。また、生まれは(身体的には)女性であることをカミングアウトしていないので、突然生理が来てしまったときは、女性の友人や同僚に『生理用品、持っていない?』と聞けないんです」

 

「男性トイレの個室にはナプキンを捨てるところがないことが困ります。パンツもトランクスだとすかすかだからナプキンが落ちてしまったり、かといってボクサーパンツだと男性の身体を想定しているため、パンツの縫い目の部分がフィットしていないから違和感あります」

 

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(まつりさん)

 

■今度は、まつりさんに聞きます。まつりさんは好きになる人の性が「女性」や「男性」であることが関係ありませんが、異性には生理について話しづらいですか?

 

「男女で付き合っているカップルとかは、彼女も彼氏に生理のこと話しづらい人多いんじゃないかなと思う」。体の性が「女性」である人と付き合っている時は、同じ身体的特徴を共有できるため、「精神的に楽」だそうですが、相手が男性だとどうしても話しづらくなってしまうそうです。

 

「この前、男友達と遊んでたときに生理が来てしまって、コンビニ行って生理用品を買ったけど、買ってるところは絶対見られないようにしました」



■企業の生理休暇についてどう思いますか?

 

やすとさんは現在、職場でのカミングアウトを人事の担当者にしかしていません。そのため「生理休暇を申請する時に上司を通さないといけないのかなと思うと、セクシュアリティについて上司が理解のない人だったら制度は使えないのかなと思う」。

 

まつりさんは、つい先日の生理が特に辛かったそうで、生理休暇の必要性を感じたばかりでした。

 

「その時はベストな状態が横になることで、発することができる言葉は、ただ「痛い」だけ。寝落ちするしかどうにかする方法がなかったから、この状態で仕事に行っても自分は使い物にならないなと思うと生理休暇もアリなのかなと思いました」



■社会に求めることは何ですか?

 

最後に2人が「生理」をはじめとする「体」や「性」について社会に求めることを聞いてみました。

 

まつりさんは「ナプキンがポケットティッシュくらいの感覚になれば良いのに」と話します。

 

「からだの構造として生理について学びたいです。女性だけのものと語られがちだけど、家族とかで絶対関わってくるからみんな知っておくべき。学校の先生とか周囲の大人が『恥ずかしいもの』という認識を植え付けてしまっているように感じます。もっとまわりがサラっと話せる感じになれば良いのに」

 

「生理が男性には見せるべきではない女性らしさ、しかも汚いとまでは言わなくても、『隠すべきもの』みたいなネガティブな意味づけがされている気がします」

 

やすとさんは「小学校の頃、男女に別れて生理について学ぶこと自体考え直してみてもいいのかなと思います。男女で分けられるから、”お互い話してはいけないこと”みたいなタブー感が出てしまうような気もしますね」

「海外の病院の問診では男性ですか、女性ですか、ではなく「あなたは子宮を有してますか?」という聞き方をされたりします」とやすとさんが日本との違いを挙げたところ、まつりさんがこんなことを言ってくれました。

 

「もっとフラットにからだのことを話せる社会になると良いなと思います。もっといくと、その身体的特徴を女性だから男性だからではなく、それぞれが持っている多様な特徴で把握できれば良いなと思う」

「うちの地元にLGBTはいない」なんて言わせない。LGBT差別解消を求める「レインボー国会」が開催

3月9日に衆議院議員会館で、性的指向性自認に関する公正と平等を求める院内集会「レインボー国会」が開催されました。

平日の昼間にもかかわらず300人ほどが集まり、議員会館で一番大きい会議室がほとんど埋まっていました。

 

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(国会議事堂前でレインボーフラッグを掲げて写真を撮る"性的指向性自認に関する公正と平等を求める院内集会"実行委員会のメンバーら)

 

オリンピック憲章には2014年から「性的指向による差別禁止」を明記しており、オリンピックの開催国はこれに準ずる必要があります。しかし、日本はLGBTを保護・承認する法律がまだありません。2020年の東京オリンピックパラリンピックまであと約3年。オリンピックのためではなく、今苦しんでいる人や不当な扱いを受けている人が平等な権利を得るために法律が必要ですが、少なくとも2020年を目安に、一歩でも前進していく必要があります。

 

SOGIハラ=性的指向性自認を理由とするハラスメント

 

レインボー国会では「SOGIハラ」という言葉がキーワードとして取り上げられていました。

SOGI(ソジ)とは、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字からとった言葉です。

LGBTと何が違うかというと、そもそもLGBTレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどの人々のことを指す総称として使われていますが、SOGIは全ての人が持っている「性的指向」や「性自認」のことを指しています。

 

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(SOGIハラについて説明する実行委員会のメンバーら) 

 

異性愛でも、同性愛や両性愛でも、何らかの性的指向を持っていて(そもそも好きになる性を持たない無性愛も含む)、誰もが自分自身のことを男性だったり、女性だったり、両方だったり、どちらでもなかったりと、何かしらの性別を自認しています。

そこで、SOGIという言葉を用いることにより「どんなSOGI=性的指向性自認を持っていても、すべての人が平等であるべきだ」と言うことができます。

例えば、ストレートとも呼ばれるような、自分の心と体の性別が一致していて異性愛者の人は、自分の望む性別のトイレの使用を禁止されることもなければ、自分が好きになる性別をオープンにした途端周りから笑いの対象にされることもありません。しかし、それ以外の性的指向性自認を持っている人は、たったそれだけで笑われたり、不当な扱いを受けたり、差別の対象とされてしまうのです。

 

つまり、「LGBTという特別な人たちが差別を受けないようにしましょう。」ではなく、「誰もが持っているSOGI(=性的指向性自認)にかかわらず、全ての人が平等に扱われるようにしましょう。」という意味でSOGIという言葉が使われるようになりました。

 

長くなってしましたが、SOGIハラとは、SOGI(=性的指向性自認)を理由とするハラスメントのことで、学校でのいじめや職場で不当な扱いを受けることなどを指す言葉として使われています。

 

13名の国会議員からのスピーチ

 

レインボー国会では、国際人権NGO「Human Rights Watch」の土井香苗さんとTOKYO RAINBOW PRIDE共同代表でトランスジェンダー杉山文野さん進行のもと国会議員LGBTの当事者、各界著名人、法学者の方々からお話がありました。

 

BuzzFeedの記事で当事者のスピーチの様子が取り上げられていますので、まずはこちらから読んでみてください。

www.buzzfeed.com

続いて13名の国会議員の方々が会場を訪れ、性的指向性自認に関する法整備についての考えを述べました。発言そのままではありませんが一部抜粋して紹介します。(議員の方々は到着した順番にお話をしていました。)

 

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(レインボー国会に参加した国会議員の方々)

 

馳浩議員(自民党衆議院議員

 

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「みなさんこんにちは、元気ですか?」と軽快な口調で話し始めた馳浩議員。LGBTの課題に取り組むことになったきっかけが2つあるそうで、1つは16年前の性同一性障害特例法の立法のとき。もう1つはオリンピックパラリンピック招致の本部長を務めた際、LGBTの課題が大きな問題であることに気づいた時がきっかけだそうです。

「法律を作るのか、理解を広げるのか、住んでいる自治体や働いている職場、通っている学校で何とかならないか、それぞれの段階での課題が何なのかを考えていきたい。」

 

小宮山泰子議員(民進党衆議院議員

 

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小宮山議員の地元、埼玉県川越市の隣の入間市で、性同一性障害の当事者として市議会議員に立候補している人がいてその方と深く関わりがあるそうです。

「日頃障害者に関する政策にも取り組んでいますが、よく「障害があるのが問題ではなく、障害は社会の側がつくっているんだ」と言っています。こういったことはLGBTにも言えることだと思います。ともに勉強できればと思っています。」

 

西村智奈美議員(民進党衆議院議員

 

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性的指向及び性自認における差別を解消する法案の筆頭提出者である西村議員。「民間や企業は人権の啓発は進んでいるが、この国会で進んでいないことが申し訳ない」と話します。

「ぜひみなさんで良い議論をしていただいて、みなさん自身で国会を動かしていってほしい。世界に恥じない立法をしていきたい。ともに頑張ってまいりましょう。」

 

牧島かれん議員(自民党衆議院議員

 

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アメリカで同時多発テロが起きた際、同性カップルの苦労を目の当たりにしたそう。「日本でそのサポートって十分だったんだろうかと考えるきっかけだった。」と話しました。

「先輩議員にLGBTについての話をすると、「うちの地元にはいないよ」と言われることもありました。絶対にいないことはありません。声をあげにくい情勢であることを承知の上で、私たちも頑張っていきたいです。」 

 

池内さおり議員(共産党衆議院議員

 

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「中のシャツをレインボーにしてきました。」と意気込みを語る池内さおり議員。

「誰一人として同じ人はいないからこそ世界は鮮やかなんです。その中で私も当事者だし、みんなが多様性の当事者です。みんなが自分らしく生きることを保証される、呼吸のしやすい社会にしていきたいと思っています。」

 

初鹿明博議員(民進党衆議院議員

 

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性の問題は自分が普通だと思う人が多いが「そもそも普通とは何だろうか」と話す初鹿議員。

「なんとなくこの国が向かっているのが窮屈な方向な気がしているのは、私だけではないはずだと思います。」「SOGIハラという言葉がありましたが、名前が決まって広まっていくことで、これはどういう意味なんだろう、苦しんでいる当事者がいるんだということを知るきっかけになります。流行語大賞になるくらい、SOGIハラを広めていただきたいと思います。」


逢沢一郎議員(自民党衆議院議員

 

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「いわれなき差別や偏見、社会的な不条理のない社会をつくっていくことは当然です。オリンピックパラリンピックをひとつの目安にしながら。LGBTについて多くの人に正しく理解をしていただき、共感をしていただく必要があると思います。」

 

牧山ひろえ議員(民進党参議院議員

 

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アメリカやヨーロッパに住んでいた時から、クラスメイトや職場の同僚にセクシュアリティをオープンにしている当事者の方が多くいたそう。

「日本に戻ってきて、何で同じ割合のLGBTが周りにいないんだろうと疑問でした。その理由はカミングアウトできない社会だからなんだろうなということにも気がつきました。自分らしく生きていた同僚やクラスメートのことを思うと、同じことが日本でも起きるように頑張っていかなければと思います。」

 

細野豪志議員(民進党衆議院議員

 

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LGBTの問題は議員になった直後から取り組んできましたが、なかなか国会の中で具体的な動きにならなかった。」と話す細野議員。

「個人的には法律を作っていかなければならないと思っています。まずは差別解消法を作っていきたい。2020年が間もなくきます。同性婚も社会的に認めていくことが本来の姿だと思いますが、国会はまだ随分手前にいます。一歩でも二歩でも前進できるようにしていきたい。」

 

石田昌宏議員(自民党参議院議員

 

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もともと看護師だった頃から「人が病んだり、苦しんでいるという声が自分自身の学びにもなった。」と話す石田議員。

「改めてまだ知らなかったことが多くあるんだなと思い、社会だけでなく自分自身のためにも意味があると思っています。自由民主党の中でLGBTに関する特命委員会の委員をつとめていますが、法律だけではく理解や細かい制度の見直しも必要です。生きづらさを取り除くための制度づくりと理解を同時に進めていきたい。」

 

新妻秀規議員(公明党参議院議員

 

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過去にアメリカのシアトルに滞在していた際、パレードを見たことがLGBTについて知ったきっかけだったそう。

「人権課題だと痛感しました。なんとか突破口をつくっていきたいと思っています。」

 

福島みずほ議員(社民党参議院議員

 

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「昨日はWomen’s Marchをやりました、今日はレインボー国会と熱気に感動しています。」と話す福島議員。

「カミングアウトしてもしんどい、しなくてもしんどい、社会を変えるためにはLGBT差別解消法案が必要です。」

 

辻元清美議員(民進党衆議院議員

 

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セクシュアルマイノリティが「マイノリティ」と言われていることに抵抗感がある。なぜならこれは、全ての人が幸せに生きていくための問題だから。」と話す辻元議員。

「アメリカなど、世界ではこれに逆行する動きも出てきていますが、国会ではこの課題に関して仲間も徐々に増えてきています。全ての人の問題として、ともに頑張っていきましょう。」

 

ダイバーシティは企業の活力の源泉

国会議員の方々に続き、各界から著名人の方も会場に足を運んでいました。

 

■著述家、評論家の勝間和代さん
 

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「自分でもびっくりしていますが、私が委員をつとめている内閣府男女共同参画の資料では、性的マイノリティに関する記述が"女性が抱えるその他の障害"のところにたった2行だけ記載されているだけでした。本会議でもこの会話をしたことはないし、女性活躍も男女のカップルで結婚している人を前提としています。ただ、残念ながら私自身レインボー国会やパレードもこれまで目に見えないものでした。はじめて皆さんが課題を抱えていることを知ったのです。世の中には気づいていない人がたくさんいます。さまざまな場面で声をあげてほしい。」
 
経団連ダイバーシティ担当の大山さん
 
ダイバーシティは企業の活力の源泉。いままでは女性活躍が中心でしたが、LGBTのことは欠かせませんしこれからも真剣に検討していきます。すでに約1300社でアンケート調査もやっており、5月をめどにアウトプットしていく予定です。企業の立場からも声を大きくあげていきたいと思っています。」
 
作曲家の三枝成彰さん
 

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「私はオペラを書いていますが、今回はLGBTが主人公になっています。チャイコフスキー、ラベル、プーランクサンサーンスバーンスタインなど、我々の業界にはたくさんの当事者がいます。そういった人たちを除くと半分くらい居なくなってしまうんじゃないかというくらい、我々の業界ではなくしてはならぬ人たちです。差別することは本当におかしいと思います。」

 

差別をなくし理解を進めていくために"SOGIハラスメント"を広めてていきたい

 

最後にLGBT法連合会事務局長の神谷悠一さんが閉会の挨拶を述べました。

「今年の1月から、国家公務員の性的指向性自認に基づくハラスメントを防止対策が実施され、ハラスメントの排除や、研修などが義務化されました。国会では国家公務員担当大臣がSOGIハラ防止をしっかりやっていこうという話もされていました。しかし、民間企業や地方公共団体ではそういったものはまだ義務化されていないため、教育現場でのいじめ、民間企業でのハラスメントは無くなっていない。この防止規定がなければ全国の学校や職場などでSOGIに関する啓発・研修すら実施されません。私たちは差別をなくし理解を進めていくために、SOGIハラスメントを広めていきたいです。」



プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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「女の皮をかぶった男」のような女性しか活躍できないのか

3/8は国際女性デー。ジェンダーギャップ指数が111位とまだまだ男女平等とは言い難い日本。LGBTではない人で、LGBTの味方でありたいと思う人のことをAllianceと語源を同じくする言葉でALLY(アライ)と言うが、味方という存在はLGBTだけにとどまらない。
平等と言える社会の実現のためには、女性にとってALLYとなる男性が増えていく必要がある。
 

「女の子にもっと優しくしなさい」の違和感

 

子どもの頃、周りの大人から「女の子にもっと優しくしなさい」と言われることが多かった。
教科書には思春期に「自然と異性に興味がわく」と書いてある。友達と集まると好きな異性の話をすることが増え、異性と付き合い始める人も多くなった。自分がゲイであることに気づき始めていた私も女性と付き合うこともあったり、異性愛者を演じていたように思う。
ただ、どうしても女性を恋愛対象として見ることができず、女性も男性も友人として同じように接していたつもりが「女の子にもっと優しくしなさい」と言われることが多くなった。振り返ってみると、男女という枠組みの中で異性との接し方に変化があらわれ始める頃、「男性として女性に接する型」みたいなものがあったように思う。
 

成功には酒と女と、

 
普段の生活の中で、男性によってコミュニティが作られているなと感じる場面がよくある。また、自分自身いわゆる「男らしさ」を求められるコミュニティでは生きづらさを感じることが多い。生きづらいというよりも、「息がつまる」とか、単純に「心から楽しめない」というニュアンスの方が近いかもしれない。女性が恋愛対象に当たるということも男らしさの一要因になるとすれば、生きづらいと感じてしまう理由の一つに自分のセクシュアリティが関係しているのかなと思う。
暗黙のルールのように繰り返される男らしさのキャッチボールについていけないのは、目に見えない前提である「男性としての型」に自分を当てはめることに違和感を感じるからなのかもしれない。
 
男性の成功者の話を聞くと「成功には酒と女と…」という言葉をまだまだよく耳にする。前に立ち、大勢の人に向けて自身の女性関係をユーモアたっぷりに話す。それを見て周囲も笑っているが、何が面白いんだろうと私は一人違和感を覚えた。
話を聞いている人の中にはもちろん女性もいた。そして、ほとんどの女性も同じように笑っているように見えた。(笑わざるを得ない状況であったのかもしれない。)良い悪いは置いておいても、いつの間にかそういった構造やあたりまえは、私たちの中に深く染み込んでいる。
 
 

チームで何かに取り組む際に女性がいないことに違和感を覚える

 
2016年の調査では日本の企業の管理職における女性比率は6.6%と、まだまだ多くない。
それに対して、最近の日本の映画やドラマでもバリキャリ(バリバリのキャリアウーマン)のキャラクターが描かれる機会が増えたように思う。
しかし、いつもそういったキャラクターを見るたびに、何かのテレビ番組でマツコデラックスが「あれは女の皮を被った男」と表現していたことを思い出す。
知性が高いことや、仕事に熱中していると「女を捨てている」という印象を持たれるという声も聞く。結局、男性によって形作られている社会で活躍するということは、男性の作る社会のルールに適応しながら上昇できる女性しか登ることができない仕組みになっているのかもしれない。
「優秀」であれば性別は関係ないという言葉もよく耳にするが、その優秀という物差しが「誰の視点から見たものなのか」ということは見落とされがちである。リーダーシップの取り方も構成するメンバーも、その役割も多様。誰もが同じ考え方で、空気をよんで、何の衝突もなく進んでいくチームより、違いを受け入れあえる環境の中で、異なる意見や価値観をうまく融合させていくかが大事なのではないかと思う。
 

男性だと自認している人こそ

 
ジェンダーについて考える時、自分自身が男性であるということを強く認識せざるを得ない。実際、LGBTコミュニティでも、まだまだ男性を自認している人の方が可視化されているように感じる。例えば女性であり、レズビアンとして生きているカップルの世帯収入の話や、MtF(Male to Female)トランスジェンダーの方が男性として見られていた時と女性として見られている時それぞれでまた違った境遇を経験するという話を聞くと、社会の不平等が浮き彫りになってくる。
そもそも、男性/女性という二元論ではなく、ジェンダーセクシュアリティはグラデーションのようになっているが、その上で「女性」という枠組みを捉えた時、私たち男性を自認している人たちが成すべき行動は多いはず。少なくとも、まずは今日をきっかけに社会がどんな構造になっていて、何が問題なのか知るところから始めていきたい。
 
 

自分のスタイルを、自信を持って表現できる人を増やす

 
最後にいくつか印象的だった動画をシェアしたい。
「女の子の中にはスーパーヒーローが好きな子もいれば、プリンセスが好きな子もいる。男の子の中にもスーパーヒーローが好きな子もいれば、プリンセスが好きな子もいる。」
「「女の子らしく走ってください」という問いに対して、参加者は内股になり、手をばたつかせながら走るフリをする。そんな中、子どもたちに同じ質問をすると、その子たちは全力で走るフリをした。
「女の子らしく走るとはどういうことか」という問いを投げかけると「できるだけ早く走ること」と答えた。」
 
 
 
自分が好きなもの、自分のスタイルを自信を持って表現できるような人が、今日をきっかけに増えていくと良いなと思う。

 

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「犯罪を犯しても奪われない結婚の権利を、同性愛者はそもそも奪われている」台湾の婚姻平等化から日本が学ぶべきこと

アジアで初めて、台湾で同性婚が認められるかもしれないと昨年末あたりから話題になっています。

1895年から1945年までの50年間、日本の植民地とされた台湾では日本の法律が適用されていました。現在でも日本と密接な関係にある台湾でこうした動きが起こっていることは日本にとっても意味があることだと思います。

そんな台湾で婚姻の平等化の運動を進めている台湾同性伴侶権益推動聯盟の理事長で、弁護士の許秀雯さんが来日し、2月25日に明治大学で開催されたワークショップ「台湾における婚姻平等化に向けた法改正の動きについて」で講演をされていたので、その内容を一部ここにまとめたいと思います。

 

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明治大学法学部教授の鈴木賢先生

 

民法を改正し婚姻平等化を実現する

 

まずはじめに、今回のワークショップを企画した明治大学法学部教授の鈴木賢先生から、今回の趣旨と法案についての説明がありました。

 

鈴木先生によると、台湾では既存の異性婚に、同性婚を付け加える形で民法を改正することで、婚姻の平等化を実現しようとしているとのこと。例えば第972条は今まで「婚約は、男女当事者が自ら執り行わなければならない」と記載されていましたが、そこに「同性の婚約は、双方当事者が自ら執り行わなければならない」という記載を追加する条文になっています。また、性別だけでなく年齢の平等化も同時に実施しようとしていて、今までは結婚可能な年齢を男性=18歳、女性=16歳としていましたが、性別に関係なく18歳に統一する条文に変更されています。

 

そんな台湾で婚姻の平等化の運動を中心となって進めている台湾同性伴侶権益推動聯盟の理事長で、弁護士の許秀雯さんが、活動の経緯や今後の展望について話しました。

 

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台湾同性伴侶権益推動聯盟理事長の許秀雯さん

 

性別で結婚できるかどうかを決めることはおかしい

 

許(キョ)さんは一組の女性同士のカップルの写真を私たちに見せ、一つの問いを投げかけました。

 

「この二人は法的に結婚している夫婦です。どちらが夫で、どちらが妻だと思いますか?」

実は、写真にうつる女性は二人ともMtF(Male to Female)で、もともと男性として生まれて現在は女性として生活しています。

あれ?と思う方もいるかもしれません。どちらも”女性”ということは、まだ同性の婚姻が可能ではない台湾でなぜ結婚ができているのでしょうか。

 

「なぜ二人は夫婦なのかというと、一方が性別適合手術をして戸籍の性を変更したあと、二人は”男女"として結婚したからです。」

結婚したあと、戸籍の性は男性のままだったもう一方のパートナーも女性に変更しようとしたそうですが、ここでひとつの問題が発生しました。

 

"二人とも戸籍の性別を変えてしまったら、既に認められている男女としての婚姻ではなく、同性のカップルとなるため、この婚姻は無効となるのか、それとも戸籍の性別を変えること自体が無効になるのか"

 

ある意見では「結婚した時点で二人とも手術をしていたので、戸籍上は異性になったとしても実質的な性別は同性なので、これは同性婚にあたり無効なのではないか」というものがあったそうです。

それに対して許(キョ)さんは「病気など何らかの理由で生殖器を切除した人も結婚した場合、それは同性婚になるのかと考えると、性別は生殖器の有無で決まるものではありません。そもそも実質的な性別とは何でしょうか。何をもって婚姻における性別を判断するのかというと、それは「法的な戸籍に登録された性別」です。今回の件は、婚姻した時は戸籍上は異性だったため婚姻は無効ではありません。」と話しました。

 

許(キョ)さんがなぜこのケースを紹介したかというと、性別によって結婚できるかどうかを決めることはおかしいのではないかということを伝えるため。

「このカップルは付き合い始めた時はお互い男性でした。しかし、結婚する際は片方が戸籍を変えたため、そのタイミングではたまたま男女だったので結婚ができ、そのあと二人とも女性になりました。なぜその一時だけ婚姻が可能なのでしょうか。性別で結婚できるかどうかを決めることはおかしい。」

 

同性婚ではなく、婚姻の平等

 

ニュースでは「台湾で同性婚が」と、あくまで同性婚という言葉をつかっていましたが正確には少し違います。許(キョ)さんらは「婚姻平権」つまり婚姻の権利平等化という言い方をしています。

 「同性婚姻という言葉を使うと、婚姻する権利を求めるという動きになりますが、同性以外の性別を排除するかたちになってしまいます。同性の婚姻ではなく、婚姻の平等に力点を置きました。」

 

さらに許(キョ)さんは、異性愛者であれば犯罪をおかしても結婚の権利は奪われないけれども、同性愛者は何も犯罪を犯していなくてもそもそも権利を奪われていることになる。」と話しました。

「国家が婚姻の平等を認めないことは同性愛者等を排除することに繋がり、それに連なる様々な権利が侵害されることになります。反対に婚姻を認めることはセクシュアルマイノリティを市民としてちゃんと承認することに繋がります。」

 

台湾における婚姻平等化の経緯

 

許(キョ)さんは今日までの婚姻平等化の動きを振り返って「30年間でいろいろ変化があった。」と話しました。

 

  • 最初に具体的な行動が起きたのは1986年。ゲイカップルが立法院に対して婚姻制度の創設を請願したのがはじまり。その当時の立法院の回答は「同性愛は公序良俗に反するので認められない」だった。
  • 1996年に作家・許佑生の同性結婚式がメディアに取り上げられたのをきっかけに声があがりはじめた。
  • その後何回か婚姻の平等に関する法案が提出されたが、反対派の抗議や、それに対する当事者団体の準備不足で廃案になった。
  • 2016年は今までと政治状況が全く異なり、民進党が与党になりそれまで反対していた国民党が野党になっていたため法案が提出でき積極的に議論された。

 

「法律上の婚姻は様々な権利とリンクしてくる。」と許(キョ)さんは話します。

 

  • 例えば医療の場における同意権、夫婦の財産、養子縁組ができるかどうか、外国籍の人に在留資格を与えるかなど、498の法律で法律上の配偶者にのみ権利を与えられている。
  • 法的な効果の点で、法律には異性愛中心の言葉がちりばめられている。そのため2013年に作った改正案では、例えば男女=当事者、夫妻=配偶者、父母=両親など、民法の中にある異性愛を前提としている言葉を中立的な言葉にかえるという意図があった。
  • これが「子どもがお父さんお母さんと呼べなくなる」「両親1両親2と呼ばなきゃいけないのか」と、反対派から強い抵抗を招いた。しかし、例えば配偶者と法律に書いてあったとしても一般の人は配偶者とは呼ばないように、法律の言葉が普段の言葉を規制するということはない。 

 

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反対派との攻防

 

「反対派の中心にいるのはキリスト教関係の団体です。キリスト教徒の割合は台湾の人口のうち5%たらずですが、その声は大きい。」と許(キョ)さんは話します。

もちろんキリスト教徒のなかにも婚姻の平等を支持する人や、なかには同光長老教会など同性愛者のための専門の教会もあるそう。しかし、反対派からは「同性婚を認めると、同性愛を奨励することになってしまう。」という声や「伝統的な家族の価値を損なう。」という声があがっています。

 

伝統的とは何を指しているのか。

「日本に侵略される前から台湾は諸外国から侵略を受けています。もともと台湾にいる人もいますし、中国から来た人もいたり、そもそも台湾人は多様なのです。」

また、「少なくともこうした反対派の論理を支持する人たちがいることは、まだまだ理解が不足していることを示している。」と許(キョ)さんは話します。

 

しかし、こうした許(キョ)さんをはじめとする婚姻平等化の動きによって、世論も賛成派が確実増えてきています。そこで最近反対派は戦略を変えてきたそう。民法の改正ではなく、特別法として同性パートナーシップ法を作るなら良いという意見です。

 

実は、すでに台湾では11の都市で同性パートナーシップ制度が実施されていて、実際に1674組以上のカップルがこの制度を利用しているそうです。日本でもいくつかの地方自治体で同性パートナーシップ制度を実施していますが、日本と同様、台湾のパートナーシップ制度にも法的効果はありません。

しかし、許(キョ)さんは「最大の効果は「可視化」させたこと。せっかくできたのに法的効果がない、このコントラストをアピールすることで逆に民法改正の必要性を認知してもらうステップになった。」と話します。

 

ただ、許(キョ)さんは、同性パートナーシップ法を作ることは、セクシュアルマイノリティを隔離することになるため受け入れられないというスタンスを取っています。

「彼らが考えているのは、あくまで同性愛者は自分たちとは”違う"存在だということ。その人たちを隔離するなら良いという戦略に変わってきています。」

 

異性愛と同性愛の唯一の違いは自然に受精し、出産することができないという点だけです。しかし、台湾の法律では子どもを産むことは婚姻の要件ではありません。子どもを持たない夫婦もいますが婚姻は可能です。そのため、自然に受精して出産できないという一点だけを過大評価して、それを理由に同性に結婚を認めないことは適当ではないと考えています。」

「多くの国で同性間の婚姻を認める以前に特別法でパートナーシップ法を実施いることを知っていますが、これは白人と有色人種を分けていることと同じで、隔離であり差別だと考えています。」

 

現在の審議と問題点

 

現在の立法院の審議では、いくつかの草案が提出され、そのうち2つの案に整理して審議にかけられているそうです。

しかし、「この2つの案にはいくつかの欠陥がある」と許(キョ)さんは説明します。

 

  • 呼称は「男女」「夫妻」「父母」など異性愛を前提としたものになっている。
  • 本来一つで良いはずの所を反対派に配慮し、第一項を異性婚、第二項を同性婚と位置付けている。
  • 同性の場合は嫡出推定が適用されない。

 

三つめの嫡出推定の問題点について許(キョ)さんによると

「第三者から精子の提供を受けて出産した場合、異性愛であれば結婚が可能なので、遺伝的な繋がりがなくても夫が父となることができます。しかし、レズビアンのカップルが第三者からの精子の提供を受けて出産した場合、産んだ親は母親になれますが、パートナーの人は親にはなれません。」

 

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いま、台湾から学ぶべきこと

 

現在も台湾の各地で反対派、賛成派両方の大規模なデモが起きています。それを見て司法院大法官が3月に憲法法廷(口頭弁論)を開き、憲法解釈を行うことを決定しました。婚姻の平等化を進めたい現政府にとっては「裁判所が言ったからしょうがないよね」と反対派のプレッシャーを避ける機能をはたすことになるかもしれませんし、逆に反対派にとっては時間稼ぎができることになります。

許(キョ)さんは最後に「憲法解釈がどうなるかはわかりませんが、わたしたちの活動は続いていきます。」と、優しい表情と共に力強い言葉で話しました。

 

台湾では2004年に「性別平等教育法」、2008年に「性別就業平等法」を採択、改正し、それぞれ性的指向による差別の禁止を明文化しています。また、毎年開催されている台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)はアジア最大級のパレードと呼ばれています。

日本ではLGBTの権利を保障したり、差別の禁止を明文化するような法律はまだありません。現段階で5つの自治体で同性パートナーシップ制度を導入していますが、まだまだ少数です。日本も台湾から学ぶべきことが多くあります。

台湾の婚姻の平等化に関する今後の動きに注目です。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
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「ホモネタって笑っていいの?」これからのメディアとLGBTの関わり方

「ゲイ引退」というタイトルがスポーツ誌の一面見出しにつけられた件がまだ記憶に新しい。友人の菊本寛さんがハフィントンポストに寄稿した「オネエが笑われることの何が不快か」というブログで指摘されているように、まだまだメディアで消費されている笑いが一般社会で再生産されている現状があります。

 

私たちが無意識のうちにメディアから受けている影響は大きく、しかもそれを反射的に学びとり、悪気なく実践してしまっていたりします。また、メディアと一括りにするには難しい程、私たちは様々なチャンネルから情報を得ることができるようになってきました。どうすればメディアや受け取る側の無意識的な差別や偏見をなくしていけるのか。今回「メディアとLGBT “ホモネタ"って笑っていいの?」というイベントに参加してきたので、その中で特に印象に残ったことを紹介したいと思います。

 

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(シンポジウム「メディアとLGBT "ホモネタ"って笑っていいの?イベントサイトより))

 

メディアのLGBTに関する倫理規定

 

主催は東京弁護士会「性の平等に関する委員会」
貴重講演に続き、パネリストとして評論家・シノドス編集長の荻上チキさん、タレント・文筆家の牧村朝子さん、BuzzFeedJapan記者の渡辺一樹さんが登壇されました。

 

貴重講演では、各メディアの倫理規定等についてのお話がありました。

  • 日本放送連盟の放送基準では、11章「性表現」に「性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。」と書かれています。事例として記載されていたのは、番組中の「ホモの見分け方」コーナーに講義があり中止された。という事例や、深夜の情報番組でMtF(Male to Female)のトランスジェンダーの方の日常生活に密着し、女性トイレを使用するシーンを放送で使えるかという問い合わせに対して、性同一性障害の問題をまじめに取り上げていると判断し使用可と回答した。などの事例が取り上げられていました。

 

  • テレビ東京報道倫理では、3.人権の尊重のところに「性別、性的指向などによって差別しない」と明記されていたり、また、<全体の文脈での点検>というところには以下の記載がありました。

    「ある言葉によって傷つけられたと感じる人がいる以上、いわゆる「差別語」の使用は避けなければならい。またいわゆる「差別語」を使わなくても、差別はあり得る。従って、全体の文脈の中で差別していないか点検すべきである。映像表現にも同様の配慮が必要である。」

     

 

「基準がある所とない所があることに加え、一定の基準があるにもかかわらず差別や偏見を助長する番組や記事が制作されてしまっている現状があります。」

 

笑えるオネエか、泣ける性同一性障害

 

パネルディスカッションでは評論家、タレント、記者それぞれの立場からメディアとLGBTについて議論が交わされました。

 

タレント・文筆家の牧村さんは冒頭に「笑えるオネエ、泣ける性同一性障害」というタイトルでメディアとLGBTに関する歴史や自身の経験を話しました。

牧村さんによると、古くから伝統芸能とされるものは異性装をしていたり、今でいうLGBTは存在していたと話します。そこから「めずらしい人」「笑いの対象」そして最近では「配慮する対象」となってきたという印象を持っているそうです。実際に自身がアイドルをされていた際には、番組のひな壇で男性の好きなタイプを聞かれたり、オーディションでカミングアウトした所「日本初のレズビアンタレント」と表現されたりしたそう。「レズビアンタレントといわれると、パフォーマンスみたいでうーんって思った。」と牧村さんは話します。「男の筋肉きもーい」と言ってくださいということを言われたりもしたこともあるそうです。

 

BuzzFeed記者の渡辺さんは、LGBTという言葉のGoogle検索数に関して「2012年を1とすると2017年で約20倍になりました。ただ、それでもゲイやレズビアンという言葉に比べると10分の1以下の検索数で、今後もっとニュースとして報じていかなければと思っています。実際に記事を書いている者としての感覚では、LGBTと書いただけでそんなにドカンと読まれるかというとそうではなく、日常のニュースとして消費されていると感じています。」と話しました。さらに、「娯楽やエンタメでは”ちょっと違う何か"を楽しむというような世界観の対象としてLGBTが描かれていることが多く、逆に真面目な報道の記事では"なにか困っているから助ける、支援する"という切り口で書かれることが多いです。「身近にいて、なにも変わらないんだよ」というような内容のものはまだまだ少ない印象を持っています。」とのこと。

 

それに対して評論家・シノドス編集長の荻上チキさんは、「日本では概ねLGBTを福祉的な描写で描くことが多い」と話します。「まだ社会的に認知されていないので、いかに不平等な状況にあるのかを示すことは大事です。また、実際にセクシュアルマイノリティはいじめを受けやすく、長期化もしやすいというデータがあります。一般的にいじめのピークは小学校高学年なのに対して、セクシュアルマイノリティは中学校です。理由としては多くの方が思春期に性を意識しはじめるから。それによって不登校など進学や職歴に影響を与えてしまっている現状があり、それなのに教科書には「思春期には自然と異性に興味がわく」と書いてあったりします。」と話しました。

(※先日出された学習指導要領の改訂案では、未だ「思春期になると異性への関心が芽生える」と書かれており、セクシュアルマイノリティの声は反映されていません。文科省は3月15日までパブリックコメントを受け付けています)

 

日常の態度の手本となる"アティチュードモデル"

 

メディアにおけるLGBTロールモデルがいない現状があると思いますが、という質問に対して、牧村さんは「自分をレズビアンロールモデルだとは思っていません。でもロールモデルが必要な部分もある。ジョディフォスターさんみたいな人がいるといいなと思ったりします。」と話しました。

荻上さんは「役割であるロールモデルではなく、日常の態度やコミュニケーションの手本となるアティチュードモデルが必要ではないか。」と話すと同時に「日常の風景を見えるようにしていくことが大事。例えば当事者がテレビ番組見ているときに「いまの表現は嫌だったなー」とTwitterでつぶやくのは意味があるかもしれない。」と語りました。

 

セクシュアリティは"タグ"になっていく

 

LGBTというカテゴリーに関して、荻上さんは「LGBTに限らずカテゴリーをつけることによって見えるようにするということはよくありますが、そのカテゴリーは時代によって変わっていくため、使い方には注意が必要。」と話します。「今はLGBTという言葉が求められていますが、場合によっては一括りにすることで誤った配慮を生むこともある。」「複合的な差別や困難につながることも多いため、LGBTという言葉を使うことでほかの問題が削り落とされるように使われてしまったり、アピールとして使われている反面、踏み絵的に使われているようになっている部分もある。」と話しました。

 

本来「LGBTLGBTではないか」ではなく、一人一人が多様な性のありかたのひとつであると思いますが、セクシュアリティが真の意味で”普通"になるためには、まずメディアはどうすればよいかという質問に対して、渡辺さんは「まずは、個人の自由や権利を尊重するための報道をしていくことだと思う。その上で、こんなすごい人、面白い人がいる。その人がたまたまゲイやトランスジェンダーだった。というような書き方ができたら、それを読んだ子どもたちがセクシュアリティを原因に悩まなくて済むようになるのかなと思います。」と話しました。

 

荻上さんは「LGBTというカテゴリーはある側面では、心と身体の性が一致している異性愛ではない人ということで団結しています。しかし、当事者の語りも世代によって変わります。今はまだ大きなアイデンティティになっているかもしれないけれど、例えばレズビアンであること以外にその人にはいろんな属性がある。そのため、セクシュアリティも最終的には「タグ」になっていくのではないかと思います。

妄想ニホン料理』という日本オリジナルの料理の名前を海外の料理人に伝え、どういう料理であるかは説明せずに、その名前と簡単なヒントから妄想で料理をしてもらうという番組があります。ある回で中東の方二人が日本料理を作っているのを見て、私はおもわず泣いてしまいました。その当時はフランスでテロが起きていた時で、ニュースでもその件が多く報道されていました。そんな中この二人の料理人は実は一人がクリスチャンで、もう一人はムスリムだったんです。でも、全然そこテーマじゃなくて、あくまでこのひとたちにとってそれはタグなんです。」と話しました。

 

「ある種の中心主義を問い直し解体していく、霧散していってネットワーク化する。それぞれのタグの中で生きていき、時折連帯することが大事だと思います。」

 

セクシュアリティが「言っても言わなくてもどちらでも良い」ものになるために

 

メディアといっても様々なので一概に批判はできないし、例えばオネエと呼ばれ活躍されている人たちをすべて批判するというのは違うと思います。それでもメディアで語られるような笑いをそのまま一般社会で再生産してしまうのではなく、受け取る側もメディアとの付き合い方を考える必要があります。身近な関係の中にあたり前のようにLGBTと呼ばれる人がいたり、自分自身のセクシュアリティも多様な性の一つなんだと自覚する人が増えると、あくまでセクシュアリティは自分を構成する要素の一つであり、「タグ」であるという認識が広がるのかなと思いました。

日本におけるLGBTの人口は左利きやAB型の数と同じくらいと言われていますが、左利きやAB型であることと同じくらいセクシュアリティが「言っても言わなくてもどちらでも良い」ものになると良いなと思います。

 

 

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松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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違いに対して味方=ALLYでありたいと思う姿勢が、多様性を力に変える

allyという言葉があります。意味は「同盟する」「類族させる」、名詞では「味方」という意味もあります。Allianceという言葉の方が聞き覚えがあるかもしれません。

味方という意味での"ally"が今、求められています。

 

予断を許さないLGBTに関するトランプ大統領令

 

アメリカでは、トランプ大統領が署名した大統領令のうち、難民の受け入れを制限するものやいくつかの国からの入国を制限するものが議論になっています。

そして昨日、LGBTに関してもある動きがありました。

ドナルド・トランプがLGBTQへの差別を容認する大統領令を準備しているとの報道 - FNMNL (フェノメナル)

ドナルド・トランプ大統領が、職場、社会福祉、ビジネス、養子縁組など様々な領域においてLGBTQを差別することを認める大統領令を準備していることをLGBTQ Nationやワシントン・ポストのコラムニストのJosh Roginが明らかにした。

しかし、今朝のニュースでは、トランプ大統領はオバマ前大統領が職場での差別から性的少数者を守るとする大統領令を維持するという報道がされました。

東京新聞:トランプ氏はLGBT守る ホワイトハウス声明:国際(TOKYO Web)

ホワイトハウスは1月31日、声明を出し、トランプ大統領は性的少数者(LGBT)を含む全ての米国民の権利を守ると表明した。イスラム圏7カ国からの市民入国禁止が発表された後、トランプ氏は性的少数者に差別的な政策を導入するのではないかと人権団体などが懸念を示していた。

ホッとする間もなく、次は連邦最高裁判所の判事に保守派のニール・ゴーサッチ氏を指名するという発表がありました。

トランプ大統領 連邦最高裁判事に保守派を指名 | NHKニュース

ゴーサッチ氏は49歳。ハーバード大学を卒業し、連邦控訴裁判所の判事をつとめ、避妊具を使用した産児制限に消極的な司法判断を示したことで知られます。

ゴーサッチ氏が議会で承認されれば、連邦最高裁の構成は、保守派が5人、リベラル派が4人となり、性的マイノリティーの権利の拡大など社会を2分する問題で保守派の意見が通りやすくなると見られます。

アメリカ連邦最高裁判所同性婚禁止は違憲、つまり全州で同性婚が認められる判決がでたのが2015年の6月。この時の最終投票は賛成5、反対4でギリギリの結果でした。
今回トランプ大統領が保守派の判事を指名したことによって、同性婚が再び禁止とされる可能性がなくはありません。発言は時によって異なるため、予断を許さない状況です。

 

性的少数者を守る大統領令の維持のニュースには正直安堵しました。しかし、それと同時に何とも言えない気まずさのような感情も抱きました。もしかしたらそれは、LGBTさえ守られればそれで良いのかという思いからなのかもしれません。

今、allyが求められていると思う理由は、不寛容が広がりはじめている世界で、LGBTに限らず、違いに対して味方でありたいと思う人がもっと可視化されていく必要があると思うからです。

 

すれ違いの連鎖を断ち切るために

 

LGBTの文脈で語られるALLY(アライ)という存在は、Straight Ally(ストレートアライ)を指しています。LGBTではない人、ストレートと呼ぶ時もありますが、シスジェンダーヘテロセクシュアル(心と体の性が一致していて、異性愛)の人でLGBTを理解したい、支援したいと思う人のことを指す言葉です。

例えば何か制度や社会規範を変えるとき、特にマイノリティが権利を獲得する際は当事者だけで社会を変えることは難しい。公民権運動に参加した白人や、女性の権利のために活動する男性など、味方となってくれる非当事者の存在が重要になってきます。

日本におけるLGBTの人口は7.6%=13人に1人と言われています。13人に1人だけが声を上げるのではなく、13人のうち12人を味方につけることで社会は変わっていくのです。

 

こう書くと、何だかALLYという存在が仰々しく感じてしまうかもしれませんが、日本におけるALLYは、もっとハードルの低いものではないかとも思います。
現状としてあるのは、LGBTは「きっとカミングアウトしても受け入れられない」と思い込み、自分のコミュニティに居づらさや疎外感を感じてしまう。それに対してLGBTではない人は、LGBTについて知らないし出会ったこともないと思い込み、悪気なく無意識にLGBTを傷つける言葉を使ってしまっていたりする。そういうお互いのすれ違いが連鎖的に続いていると思います。

そして、この連鎖を断ち切ることができるのがALLYという存在だと私は考えています。LGBTのことを知っていて、理解したいと思っていることを表明するALLYが可視化されることで、この相互のすれ違いが解消されていきます。

 

どうしたらALLYになることができるのかと考えた時、私は「知る」「変わる」「表明する」というたった3つのステップを実行できれば、その人はALLYなのではないかと思っています。
まずはLGBTや性の多様性について知り、その気づきから、差別的な言葉を使わないようにしたりして意識を変え、ALLYであることを表明する。たった3つのステップです。表明する際は例えばSNSのプロフィールにさりげなくAllyと入れてみたり、性の多様性を表す6色のレインボーを身につけたりすることもALLYであることの表明になると思います。

 

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あらゆる違いに対して味方でありたいと思った時、誰もが誰かのALLYになれる 

 

トランプ大統領の就任式翌日、アメリカ・ワシントンD・Cでは女性の権利を訴え、トランプ大統領に反対するデモ「ウィメンズ・マーチ」が開催されました。私はそれに参加した男性たちの声を集めた記事を読みました。

「女性の権利デモ」に男性たちも加わった。その理由を15人に聞いてみました

私たちの周りには、大勢の素晴らしい女性がいます。彼女たちなしでは、今の自分たちはなかった。彼女たち全てのために、今日はデモに加わります。

これを呼んで、ふと「この人たちもALLYなんだ」と感じました。

ALLYとはLGBTではない人で、LGBTを理解したい、支援したいと思う人のことを指す言葉でした。
しかし、果たしてALLYが指す意味はそれだけなのでしょうか?
私はALLYという存在は、もっと広いものではないかと考えています。

 

例えば私はゲイですが、レズビアントランスジェンダー、他のセクシュアリティの人の気持ちを全て理解できるかというとそうではありません。それでも困っている時には味方でありたいと思っています。つまり、LGBTもALLYになれるのではないかと考えているのです。同じように、障害を持っていたり、生まれた地域が異なったり、話す言語が違ったり、理解することは難しいかもしれないけれど、味方でありたいと思うことも、きっとそれはALLYなのではないかと考えるようになりました。
他にも、子育て中の方や、シングルマザー、電車で泣いている赤ちゃん、高齢者、若者、貧困、難民など、それぞれの立場に対して味方でありたいと思う人はきっと多いのではないかと思います。

突き詰めれば同じ人間なんて1人もいないからこそ、その人の特性や属性にかかわらず、あらゆる違いに対して味方でありたいと思った時、誰もが誰かのALLYになれるのではないでしょうか。自分自身が誰かにとってのALLYでありたいと思った時、ふと見渡してみると、自分に味方してくれている存在、自分にとってのALLYが実は周りにたくさんいることに気づけるはずです。

 

違いに対して味方=ALLYでありたいと思う姿勢が多様性をチカラに変える

 

世界が不寛容に向かって進みはじめているように見える最中、日本はやっと多様性を受け入れようという方向に向かおうとしています。ただ、ダイバーシティという言葉がただのマジックワードになってしまっている部分もある気がしています。
多様性を受容するということは、自分と異なるものが目の前にあったとき、それを良しとする姿勢を自らとることだと思います。その時、もしかしたらこれまで自分が抱いていた規範との何かしらの齟齬が生じるかもしれません。それと折り合いをつけるために、何かしらの我慢や忍耐が伴う場合もあります。自分の心の持ちように変化が必要になってくるかもしれません。

英語でToleranceという言葉があります。この言葉は「寛容」と同時に「我慢」という意味も持っています。寛容という言葉は、それだけ我慢や忍耐を必要とするものなのかもしれません。

それでも、違いに対して味方でありたいと思うこと、ALLYでありたいと思う姿勢が本質的に多様性をチカラに変えていくと私は信じています。

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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