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誰もが誰かのALLYになれる

小学校教諭「誰だオカマは」と差別発言、これは氷山の一角にすぎない

埼玉県の小学校で、5年生の授業中に男性教諭が「誰だオカマは」など差別的な発言をしたというニュースがありました。

クラスに在籍している「男女両方の性に違和感を持っている」ことをオープンにしている児童が帰宅後保護者に相談。保護者が学校に抗議した所、教諭から謝罪があったそうです。

 

この教諭に対して憤る気持ちはもちろんありますが、殊更に個別ケースとしてのこの教諭を責め立てることが、必ずしもこの問題の本質的な解決ではありません。

2015年には文部科学省から全国の教育委員会に性的マイノリティに関する通知を出しているにもかかわらず、こうした問題がなぜ起きてしまっているのか。氷山の一角にすぎないこの件をもう少し大きな視点から捉え、今後どうすれば同じような問題を未然に防ぐことができるのかを考えたい。

 

この記事では、

  1. 今回の件のどこが問題だったのかについて振り返り、
  2. 現状の制度における課題を整理し、
  3. 同じような問題が起きないために今後どうすれば良いか

を順番に考えていきます。

 

それではまず、今回の件のどこが問題だったのか、から振り返ってみましょう。

 

先生が率先して「セクシュアリティを揶揄する」ことを示してしまっている

 

小学校5年生の社会科を担当していた男性教諭は「教科書の音読中、男子児童の一人が(女性のように)声色を変えてふざけたので、注意しようと不用意に『ここにオカマがいるのか。誰だオカマは』と発言してしまった」と話しているそうです。発言をした教諭は、クラスに男女両方の性に違和感をもっているという児童がいたことを把握していました。

 

どういったシチュエーションでその発言があったのかはわかりませんが、クラスに当事者がいることを認識していたにもかかわらず、「女性のように声色を変えていること」=「オカマ」と揶揄したり、「不用意に発言」という所からも偏見があったことは明らかです。
そしてそれが誰かを傷つける可能性があるという想像力はなかったのではないか。「多様な性について知らなかった」では済まされないですが、教職員にとってもまだまだ適切に知る機会が多くないことも事実です。また、知ったとしてもそのことが本当の意味で身につくかというと、まだそこまでは至らないのが現状かもしれません。

 

いずれにせよ、性的指向(どの性別の人を好きになるか/ならないか)、性自認(自分の性別をどう認識しているか)が何であっても、それを理由に揶揄したり差別的な発言をすることは、教室にいるかもしれない性的マイノリティの児童生徒や、まだ自分のセクシュアリティに悩んでいる人、これから向き合うかもしれない人、当事者の友人がいる人など、教室にいる”誰か”を傷つけてしまうことがあります。

 

当事者がそこにいるかいないか、見えているかいないかにかかわらず、本来児童生徒を守る立場であるはずの教員が、率先して「セクシュアリティを揶揄する」ことを他の児童にも示してしまっているという点も、教育として非常に問題があると考えます。

 

現状の制度における課題を4つのポイントから整理してみる

 

次に、現状の制度における課題を整理してみましょう。

抑えておきたいポイントは以下の4つ

 

  • 文部科学省の通知の限界
  • 学習指導要領にLGBTは含まれていない
  • 全ての教職員に対して研修は実施されていない
  • 日本にはLGBTを保護/承認する法律がない

 

今回の件で唯一良かったと思う点は、教諭の差別発言に対して児童とその保護者が正式に抗議できたことです。ここには社会の変化を感じました。しかし、たまたま明るみになった今回の件は、実は氷山の一角にすぎません。学校で先生にカミングアウトをしたことがある人は1割程度という調査もあり、当事者は見えにくい状態です。差別的な発言があっても抗議できる可能性は低いでしょう。

 

現状の課題①「文部科学省の通知の限界」

 

冒頭に少し触れましたが、2015年の4月には文部科学省から全国の教育委員会に対して「性的マイノリティへの配慮や相談体制を整える」必要があるというような内容が含まれた通知を出しています。さらに翌年には教職員向けのパンフレットも作成しています。

 

これによって確実に、学校で多様な性に関する理解を深めようとする機運は高まりつつあります。しかし、やはり現状としてこの通知は全ての学校に周知徹底されているわけではありません。例え法律があったとしても全ての現場が適切な対応を取れているわけではないように思います。増して「通知」だけで現場にきちんと知れ渡るものなのかは少々疑問です。内容的にも、どういう発言が差別にあたるのか等細かく書いてあるわけではないため、現場の教員にもなかなか浸透しにくい状況です。

 

現状の課題②「学習指導要領にLGBTは含まれていない」

 

小学校や中学校の保健の教科書には「思春期になると自然と異性に関心が高まる」という内容が記載されおり、性的マイノリティの存在が想定されていません。今年2月の学習指導要領の改訂の際に、多様な性について学習指導要領に取り入れてほしいという声が多数あがりましたが、文科省LGBTを指導内容として扱うのは、保護者や国民の理解などを考慮すると難しい」と判断し、結局内容は変わりませんでした。そのため、教員養成課程においても、多様な性について学ぶ機会は未だ必修ではありません。人によっては何も学ばず現場にでてしまい、今回のような差別発言を「不用意に」言ってしまうかもしれない状況なのです。

 

現状の課題③「全ての教職員に対して研修は実施されていない」

 

各学校ごとではありますが、教職員が多様な性について学ぶ機会は全国的に増えてきています。しかし、実施している/していない学校、さらに研修をしていても、個々人の教員の受け止めなど、理解状況はバラバラで、環境の整っていない学校に通っている児童生徒にとっては、自分らしく生きることは非常に厳しい状態です。やはり全ての地域で一定水準の研修を実施すべきだと思います。

 

現状の課題④「日本にはLGBTを保護/承認する法律がない」

 

日本には性的指向性自認を理由とした差別を禁止するような法律がありません。文科省からの通知が出ていても教員全てに行き渡っているわけではない中で、今回のような発言をなくしていくためには、少なくとも学校現場において「こういう言動はダメ」ということが明確に示される必要があると思います。

 

さらに③で述べたのように、残念ながら多様な性に関する研修を行うかどうかは学校の主体性に任されてしまっており、現状全国の学校で研修を実施することはできていません。法律ができることによって広く研修を実施することの後押しになると思います。

 

差別的な言動にNOと言える法律も、丁寧に理解を広げることも両方必要

 

同じような問題を起こさないために今後どうすれば良いのか。

課題を整理して見えてくるのは「差別的な言動に対しNOと言える法律」も、「丁寧にコミュニケーションを重ねて理解を広げること」も両方必要だということです。

 

もちろん法律だけあればこの問題が解決されるわけではない。けれども、今回大きな問題なのは、既に文科省が施策を打っているにも関わらず、教員という公的で、子どもたちに与える影響の大きい立場にいる人が、「目の前に当事者がいたにもかかわらず(本来は当事者の有無にかかわらずですが)不用意に差別的発言が出てしまった」ということであり、これが氷山の一角だと思われる点です。

 

そして、当たり前ですがこれは学校現場だけのことではありません。まだまだ差別的な発言にNOという理解の浸透が、表層的なものとなっているように思います。職場や行政、医療、民間サービスなど、社会全体で法律として「差別的な言動にNO」と示しつつ、ひとりひとりに理解を広げるための「丁寧なコミュニケーション」の両輪で回していくことが必要ではないでしょうか。

 

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最後に余談ですが、今回の報道の中で「男女両方の性に違和感を持っている」児童のことを「LGBTの児童」と呼んでいたところに違和感を感じました。LGBTという言葉は性的マイノリティを表す総称の一つとしても使われていますが、個人を表す時など、場合によってはその存在を抽象化しすぎて「LGBTという人」がいるかのような表現になってしまいます。

本来はその人のセクシュアリティをそのまま書く方が適切だと思いますが、ただ、「LGBTの児童」という記載となってしまう背景には、「LGBT」と「SOGI」の関係など、概念を適切に把握しきれていないことが垣間見られます。ここでも、社会全体に向けた表層的でない理解の浸透が課題となっているように思います。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

f:id:soshi-matsuoka:20170222180245j:plain

1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

フロリダ銃乱射事件から1年、「プライドパレード」がいつもと少し違った理由

アメリカ、フロリダ州オーランドにあるゲイナイトクラブ「PULSE」で、死者50人、負傷者53人に登る銃乱射事件が起きてから昨日でちょうど1年。11日に首都ワシントンロサンゼルスなど各所で開催されたプライドパレードでは、普段の華やかなパレードとは少しだけ違った印象を受ける場面がありました。

 

それは、ロイターの記事でのパレード主催者のコメントにも現れています。

「今年はパレードでなく、行進を行うべき年だ。われわれのコミュニティを祝うものであると同時に、われわれを取り巻く環境や、人権を巡るデリケートなバランスを認識する機会でもある」。

 

このコメントはとても示唆的だと私は思います。

  

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LGBTブームの恩恵と課題

  

今年5月に発刊された雑誌「世界」の特集タイトルは「<LGBT>ブームの光と影」、さらに、先日発刊されたAERA6月12号の特集タイトルは「LGBTブームの嘘」でした。日本ではここ数年でLGBTに関する情報が急激にメディアに取り上げられ、その言葉の認知度は著しく向上しました。「ブーム」と表現されるほど、そのスピードは早く感じられているようです。

 

その恩恵は確実に現れています。渋谷区や世田谷区の同性パートナーシップ制度を皮切りに、現在6つの自治体で同様の制度が施行されています。性的指向性自認による差別禁止の明文化や、社内研修など、企業のLGBTに関する取り組みは年々増加しています。5月に開催された東京レインボープライドでは、参加者数が過去最高の10万人を記録しました。セクシュアリティをオープンにしている当事者がメディアに取り上げられ、身近な範囲でも、少しずつLGBTも自分らしく生きることのできる社会へと進んでいるように感じています。

 

しかし、こうした良い影響の反面「LGBTという言葉だけが一人歩きしているように感じる」という声を度々耳にします。その背景には、都市部と地方での情報や理解度の差、LGBTの市場化など、当事者が置き去りにされていると感じる現状や、他にも見落とされていることがあるのかもしれません。企業や自治体のLGBTに関する施策は進みはじめていますが、残念ながら未だ日本にはLGBTを保護/承認する法律がなく、自治体の同性パートナーシップ制度にも法的効力がありません。

  

バランスを大切にしていきたい

 

私たちは、性的指向性自認にかかわらず自分らしく生きることのできる社会を実現するために、何を目的とするのかを改めて明確にしておく必要があります。そして、私はそこに大きく2つの目的があると思っています。

 

ひとつは、性的指向性自認にかかわらず、平等な権利を持つ」こと

もうひとつは、LGBTであることで笑い者にされるのでも、腫れもの扱いにされるのでもなく、あたりまえな存在として扱われる」ことです。

 

これらの目的のために私たちは「LGBT」という虹色の旗のもとで団結し、声をあげています。そして、性的指向性自認を理由とした不当な扱いや差別・偏見から自分自身を守ることができる法律を必要としています

 

同性であっても法的にパートナーとの関係を保障して欲しいし、子どもが自分自身のセクシュアリティで悩まずにすむよう、学校で全ての子どもが多様な性のあり方について適切に学べるようにして欲しい。カミングアウトが就職活動に不利になる理由になってほしくないし、職場で性的指向性自認を理由にハラスメント受けて働き続けられなくなることをなくしていきたい。トランスジェンダーの人が自分の性自認に基づくトイレを使用しても何も問題がないようになってほしいし、戸籍の性別を変更する際に手術を必要とする条件をなくしてほしい。

 

もちろん法律だけで社会全体の理解が進むわけでも、何かひとつ変われば全てが一瞬で良くなるわけでもありません。ミクロの面でLGBTについて理解してもらうためには、学校や職場、家族や友人間でも、やはり知識に加えて、当事者と出会ってもらうことが重要だと私は思います。そういったひとつひとつが積み重なり、さらに制度と結びつくことで社会全体の理解につながります。

 

ブームで終わらせないために、スピードが早いと感じている時だからこそ冷静になって、良い波には乗り、時には振り返って見落としてきた道を探る。そのバランスを大切にしていきたいです。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

f:id:soshi-matsuoka:20170222180245j:plain

1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

 

台湾で同性婚容認へ「婚姻は子どもを産むことを前提としていない」

台湾で、同性婚が認められていない現行の民法は「違憲」と判断され、2年以内に修正することが命じられました。

 

以前、明治大学で開催されたワークショップ「台湾における婚姻平等化に向けた法改正の動き」の内容をブログにまとめましたが、その最後に司法院大法官が3月に憲法法廷(口頭弁論)を開き、憲法解釈を行うことを決定しました」と書きました。その憲法法廷で今日5月24日、同性婚が認められていないことは「違憲」と判断されたことになります。

また、立法機関が2年内で法律の修正または制定をしなかった場合、民法の婚姻は自動的に同性にも適用され得ることになるそうです。

 

AFPBB報道よると、今回の判断は14人の大法官のうち10人以上の賛成が必要でしたが、反対に回ったのは2名のみだったそうです。

 

 

婚姻は子どもを産むことを前提条件としていない

 

今回の判決の要旨をEMA日本がまとめてくれています。

 

同性婚を認めたとしても、異性婚を前提としてきた社会秩序が変わってしまうわけではない。むしろ、婚姻の自由を同性カップルにも広げることで、社会の安定が強化されるであろう。同性愛者であれ異性愛者であれ、愛する人と肉体的にも精神的にも一緒にいたいと思う気持ちやその必要性は変わらない。婚姻は人間の尊厳を擁護し、健全な個性を育むために重要である。

 

我が国(台湾)においては、同性愛者は社会から否定されてきた。それゆえ、彼らは社会から隔離され、孤立し、事実上および法律上の差別に苦しめられてきた。また、社会の偏見により、彼らが民主的な方法で法的な不利益を改めることも困難であった。

 

民法の婚姻規定は、子どもを産むことを前提条件とはしていない。婚姻した一方が子どもを作れないからといって婚姻が無効になることもなく、離婚の理由にもならない。子どもを産むことが婚姻の基本的な要素であるとは全く言えない。ゆえに、自然な妊娠によって子どもを授かることができない同性カップルについても、そのことを理由に婚姻を認めないことは、合理性を欠く。

 

同性婚が認められても、同性カップルは異性カップルと同様、婚姻中も離婚後も権利と義務を負うのであり、社会の基本的倫理は不変である。社会的倫理に影響することを理由に同性婚を認めない、つまり同性カップルの人たちに異なる扱いを認めることは、全く合理性を欠き、憲法の定める平等の原理に反するものである。」

 

すばらしい判決文です。

 

誰もが平等に婚姻制度を利用できるために

 

婚姻の平等化に関して、具体的な行動が起きたのは1986年。あるゲイカップルが立法院に対して婚姻制度の創設を請願した所、「同性愛は公序良俗に反するので認められない」と回答されたそうです。

そこから31年、アジア初の婚姻の平等化に向けて、台湾はまた大きく一歩を踏み出しました。

 

同性婚が認めれらていない現行の民法違憲とされたことで、台湾は次のステージに進んでいきます。前回のイベントで登壇されていた許(キョ)さんは「同性婚」という言い方ではなく「婚姻の平等」を目指すとお話ししていました。

同性婚という言葉を使うと、同性以外の性別を排除するかたちになってしまいます。同性の婚姻ではなく、婚姻の平等に力点を置きました。」

 

今回の憲法解釈では"同性カップルが現行の民法では法的に保障されていない"ことが違憲という判断でした。今後は、セクシュアリティにかかわらず、誰もが平等に婚姻制度を利用できるための法整備が進んでいくことになると思います。

 

日本でも議論を加速させていきたい

 

日本を見てみると、朝日新聞世論調査では、同性婚を法律で認めるべきかについて、「認めるべきだ」が49%と、「認めるべきではない」の39%をやや上回っています。

 

また、女性では「認めるべきだ」が54%と過半数を占めていたり、18~29歳、30代では容認派が7割に達しています。(60代では「認めるべきだ」「認めるべきではない」がともに42%、70歳以上では「認めるべきではない」が63%と、年代のギャップが大きく出ています)

 

あるテレビ番組同性婚について取り上げられた際に、出演していたデヴィ夫人が「愛し合うのは認めますよ。結婚は自然の摂理に反すると思う。結婚は子孫を残すことですから、それに反します」と同性婚に反対したことが報じられました。

 

今回の台湾の判決文の中にもある通り、「結婚は子孫を残すためのもの」という考えは、子どもを持たない・持つことができない異性カップルはどうなるのかとか、シングルで子どもがいる人、高齢で結婚した人、いろんなものを見落とすことになります。婚姻した一方が子どもを作れないからといって婚姻が無効になることもなく、合理的ではありません。

 

また、「自然の摂理」という話もよく出ますが、自然界ではライオンやキリンやイルカなどなど、数多くの動物で同性愛関係が確認されています。例えば雄同士のペンギンで子育てをしていたり、性的指向の話ではありませんが、ファインディングニモでおなじみのカクレクマノミは雄から雌に性別が変わったり、自然界でも「性のあり方」は様々なのです。

 

まだまだ日本では同性婚についての議論が十分にされているとは言えません。

アジア初の婚姻の平等化を目指して、台湾の大きな前進を祝福すると共に、日本での議論も今後もっと加速させていきたいと思います。

 

 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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「同性愛について違和感はあるけど、嫌いという訳ではない」という人こそ考えて欲しい"無意識のうちの嫌悪"

Dictionary.comが選んだ今年の単語2016が「Xenophobia:ゼノフォビア、外国人(異なる文化への)嫌悪」だったというニュースが記憶に新しいです。
 
「〜フォビア」という言葉、日本語ではよく「嫌悪」と訳されますが、恐怖症だったり、憎み嫌うこと、強い不快感を持つことを表しているようです。
 
ホモフォビア:同性愛嫌悪」や「トランスフォビア:トランスジェンダー嫌悪」は未だ世界中で確認されています。もちろん日本も例外ではありません。
 
「嫌悪」とは何なのでしょうか、少しでも減らしていくために私たち一人一人に出来ることは何なのでしょうか。
 

国際反同性愛嫌悪・トランスジェンダー嫌悪の日

 
5月17日はIDAHOT(International Day Against Homophobia and Transphobia:国際反同性愛嫌悪・トランスジェンダー嫌悪の日)です。
 
1990年の5月17日に世界保健機関(WHO)が同性愛を精神疾患のリストから外したことを記念して、この日を「同性愛嫌悪やトランスジェンダー嫌悪に反対する国際デー」と位置付けました。現在も世界中で様々なアクションが行われています。
 
日本では「多様な性にYESの日」という名前で記念日として認定されているそうです。
 
 
 

同性愛嫌悪による迫害や事件

 
実際に以前まで同性愛は精神疾患として扱われていたり、多くの国で同性愛は犯罪とされていました。
 
1933年からのナチス・ドイツ下では同性愛者は強制収容所に送られ、迫害されていました。(その時に付けられた識別胸章がピンク色の三角形だったため「ピンクトライアングル」と呼ばれ、現在では反対に、性的少数者の権利を象徴するシンボルとして使われています。)
 
世界を見渡すと、現在でも同性愛の迫害が行われている場所は多くあります。昨年の6月、アメリカ、フロリダ州オーランドにあるゲイクラブで銃撃事件がおき、約50人が死亡しました。
 
つい先日もロシア南部のチェチェンで100人以上の男性同性愛者らが拘束され、少なくとも3人が死亡したと報じられています。
 

無意識のうちの嫌悪

 
こうして見ていると、同性愛嫌悪というのは主に宗教などによって対立が起きている諸外国での話であって、日本にはあまり関係ないと思う人がいるかもしれません。
 
確かに日本では先ほどあげたようなニュースを普段目にすることはあまりありません。
しかし、ゲイ・バイセクシュアルの男性5731人を対象にした調査では、自殺を考えたことがあると回答した人の割合が約60%だったり、2015年の8月に一橋大学法科大学院に通っていたゲイの大学院生が、自身のセクシュアリティを第三者に暴露される「アウティング」を理由に自殺してしまい、現在も遺族による裁判は継続中です。
 
このように、偏見による社会からの「嫌悪」によって、当事者が自らを死に追いやってしまったり、居場所を失ってしまう事例が日本でもまだまだ起きているのです。
 
 
ただ、「嫌悪」という言葉について考えたとき、もしかしたら「同性愛について違和感はあるけど、強い憎悪や不快感を持っているわけではない」「むしろ嫌悪は良くないことだ」と思っている人も多いのではないかと個人的には感じています。
 
この「違和感」について、ぜひ考えてみてほしいです。
 

「気づく」ことができれば「変わる」こともできる

 
よく最寄の駅前の牛丼チェーンで弁当を買って帰ることがありますが、最近は外国人の従業員の方が以前より多くなってきていると感じています。
 
ある時、店員さんに日本語があまり通じず、なかなか注文したいメニューが伝わらなかったり、出てくるはずのものが出てこなかったり、弁当のセットのものが入っている袋をレジに置き忘れたりということが重なったことがありました。
 
しかし、店員さんは私が置き忘れていた袋には目もくれないような印象で、その時、私の中のどこかで「結局外国人は…」という感情が芽生えてしまっていたのです。
 
こんなことを偉そうに述べていること自体恥ずかしい気持ちになりますが、店員さんの対応が「いつも通りじゃなかった」ことと「外国人(だと勝手に判断している)」ことはもちろん全く関係ありません。
そもそも、その従業員の方はまだ働き始めて数日なのかもしれませんし、そもそも、もしこの店員さんが日本人(だと勝手に判断している)だったら良かったのかと聞かれると全くそんなことはありません。
 
結局自分の中にも、誰かをカテゴリー化して差別してしまう感情があったことに気づいてしまいました。
しかし、同時に「気づく」ことができるということは「変わる」こともできるんだということを実感しました。
 

いつでもアップデートし続ける姿勢

 
誰でも、無知や偏見に基づく、自分自身も気づいていないような無意識的な嫌悪はあるのではないかと思います。
 
5月15日の西日本新聞には「女装して自転車で疾走する中年男が出没」というニュースが報じられました。現在は記事が削除されていますが、内容には「14日午後5時ごろ、福島県糸島市神在で、女装した男が出没しているのが確認された。(中略)エプロンのような服を着て女装し、銀色か白色の自転車に乗っているという。」と書かれていました。
 
何もしていないのに、”中年の男性”が"女性の服装”を着て”自転車に乗る”ことは「不審者」になるというのは、これは明らかな「嫌悪」です。しかし、それを容認してしまっている社会による無意識のうちの「嫌悪」は見落とされがちだと私は思います。
 
LGBTの権利を保障するなら『LGBTが嫌いだ、気持ち悪い』と言う権利も保証しろ」という声をよく耳にします。
個人間の付き合いの中では性格が合わない人もいると思います。好きな人もいれば嫌いな人もいる。しかし、何かのカテゴリーや属性で「嫌い」と言うことはヘイトスピーチです。それは思考の停止、分断につながります。思考を止めることは楽です。ただ、それと同時に誰かを切り捨てることにつながってしまう可能性もあります。
 
自分のたった一つの言葉や行動で、無意識のうちにどこかで誰かを傷つけている可能性がある。それは誰にとっても同じだし、私たちは常にそれと付き合っていかなければいけません。
 
しかし、そう思えるスタンスがあれば、きっと「気づいた」ときに「変わる」ことができる。そのためには、知識やいろんな価値観の人たちとの出会いも必要になってくると思います。
属性で人を判断しないよう、自分の中にある、何かに対する無意識のうちの嫌悪と向き合い続け、常にアップデートしていく姿勢を「良い」と思う人がひとりでも増えていくと良いなと思いますし、私も続けていきたいです。

東京レインボープライド2017「フェスタ・パレード」について取り上げた記事まとめ

5月6日(土),7日(日)に開催された東京レインボープライド「フェスタ・パレード」について取り上げた各社記事をアーカイブ

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東京レインボープライド「多様な性」アピール

 

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「"普通の人かLGBT"じゃない」世界がもっとカラフルに見えてくるきっかけをくれた"東京レインボープライド"とは

LGBT」という言葉を知った頃、自分と異なるセクシュアリティの人と出会う度に「この人はどんなセクシュアリティなんだろう」と、いつも気になって仕方がなかった。そして、そんなことはどうでも良いんだと気づくまでに、私はだいぶ時間がかかった。そう思えるようになったきっかけは、3年前の「東京レインボープライド」だった。
 
 
セクシュアリティはその人を構成する要素のひとつにしか過ぎない。それでも、そのたったひとつの要素が社会から「普通じゃない」とされてしまうことで、自分らしく生きることができなくなってしまうことがある。
どんな性別を好きになるか、ならないか、自分の性別をどう思っているかは、LGBTLGBTではないかに関わらず全ての人が持っているひとつの属性だ。そして、本来それは「普通の人とLGBT」とか、「LGBTとそれ以外」に分けるものではない。セクシュアリティはグラデーションのようになっている。
 
誰もが多様な性のあり方の一つで、自分という存在にプライドを持って生きていける。そんなひとりひとりの存在を「Happy Pride!!」の掛け声と共に、渋谷の街を歩きながら「楽しく」可視化していくイベント「東京レインボープライド」が、今年も5月6日(土)、7日(日)に開催される。
 
 
ゴールデンウィークをレインボーウィークに
 
 
東京レインボープライドのメインイベントである「フェスタ・パレード」は、ゴールデンウィーク最後の6日(土)、7日(日)に渋谷の代々木公園イベント広場で行われる。
 
昨年度の動員数は約7万人。今年は10万人が見込まれている東京レインボープライド。その最大の魅力は、やはり最終日の「パレード」だ。
 

f:id:soshi-matsuoka:20170504170247j:plain(東京レインボープライド2016)

 
華やかに彩られたフロートと呼ばれる山車に先導され、盛り上がる音楽と共に、レインボーの服やフェイスペイントなど、カラフルな思い思いの格好で渋谷と原宿の街を歩く。
特に、渋谷といえば一番最初に思い起こされる「スクランブル交差点」を通過するのは普段なかなか経験できない貴重な体験だ。
 
 
そもそも、なぜこうした「パレード」が開催されるようになったのか。この話は1969年のアメリカまで遡る。
 

Hairpin drop heard around the world

 
"Hairpin drop heard around the world” ヘアピンの落ちる音が世界中に響き渡った。
 
1969年6月28日、アメリカで差別や弾圧に苦しめられていたLGBTが立ち上がった「ストーンウォールの反乱」。最初に警察官に投げつけられたのは、ある一人の"女装したゲイ"の「ヘアピン」だったという逸話がある。
 
その1年後に反乱を記念して行われたデモが、今日の「プライドパレード」のはじまりと言われている。ヘアピンが落ちる音が響き渡るように、いまや世界中の至るところでプライドパレードは毎年開催されている。
 
これだけ世界との距離が近くなり、同時に分断も起きている今の時代に、国境も越えて、同じ方向を向いて、同じ人間として自分たちの存在を祝福しあう。世界の大きな流れの息吹を感じる機会はなかなかないと思う。
 

「カラフルな格好でインスタに写真をあげたいから」でも良い

 
東京レインボープライドの会場では、毎年様々なブースが出展されている。年々その華やかさは増していて、例えば、GoogleマイクロソフトYahoo!ミクシィ、freee、ライフネット生命資生堂野村證券アクセンチュアIBMリクルート、丸井などなど、誰もが聞いたことがあるのではないかという企業のブースは、初めて来る人でもきっと楽しめるものが多いと思う。
 
今年は自治体として渋谷区もブースを出す。また、今年初めてドン・キホーテもブースを出展し、オリジナルのレインボーグッズを販売する予定だ。それを身につけてパレードに参加するのも良いかもしれない。
 
日差しが強いと喉も渇く。チェリオコーポレーションのブースでライフガードをもらったり、飲食ブースの中でも特に、エスニックな料理がとても美味しいirodoriでお昼ご飯を食べながら企業以外のブースも回ってみたい。
 
疲れたら休憩できるようなブースもある。いろんなセクシュアリティの人と話をしてみると、きっと東京レインボープライドをより楽しめると思う。
 
 

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毎年パレードの日のラストを彩るスペシャルライブ。今年のアーティストは「中島美嘉」さんに決定した。「偏見や差別のない、様々な幸せの形を尊重し合えるムーブメントが広がっていく事を強く願っています」とコメントを寄せてくれている。
 
お祭り気分でふらっと参加できる東京レインボープライドは、もちろん参加するのにセクシュアリティは不問。LGBTや性の多様性に関心のある人もそうでない人も、ただ「面白そうだから」でもいいし「寄ってみた」だけでも良い。「カラフルな格好でインスタグラムに写真をあげたいから」という理由でも、「ゴールデンウィーク最終日、することが何もない」からでも全く問題ない。いろんな人がそれぞれの楽しみ方ができるイベントになっている。
 
東京レインボープライド、フェスタ・パレードは5月6日(土)、7日(日)に代々木公園イベント広場で開催。詳細は東京レインボープライドの公式WEBサイトから確認できる。
 

自分の目の前に広がる世界は、以前より確実に色鮮やかでカラフルなものになっている

 
自分がゲイなんだと気づき始めた小学校の頃、違う学年に男性として入学して、自分のことを女性だと思っている人がいることを知った。でも、自分とは関係のないことだと思っていた。
ゲイは笑われる存在なんだと思い込んできた18年間が過ぎて、LGBTという言葉に出会ってすぐのときも、その言葉が自分と関係のあることだとは思わなかった。
 
高校を卒業し上京してきて、たまたま参加した東京レインボープライド。自分と異なるセクシュアリティの人にたくさん出会った。パレードを歩くカラフルな人たちを見て、この時も「この人たちはどんなセクシュアリティなんだろう」と気になって仕方がなかった。
 
そこから、いろんな人に出会って話を聞いて、自分を含むそれぞれの困りごとを知って、社会の構造にも触れた。同時に、ひとりひとりがその人自身の生き方や幸せのあり方について考え、時には躓きながらも大切に毎日を生きていた。
 
いつの間にか、目の前にいる人と話すときに「この人はどういうセクシュアリティなんだろう」と考えることもなくなった。
 
自分の目の前に広がる世界は、以前より確実に色鮮やかでカラフルなものになっている。
 
 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

Twitter @ssimtok
Facebook soshi.matsuoka

東京オリンピックに関わる企業「LGBT施策」が必要な理由

 
2020年東京オリンピックパラリンピックを前に、こうしたLGBTに関する企業の施策が今後もっと増えていくことになりそうです。その理由のひとつは、3月24日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が策定した「調達コード」です。
 

オリンピック憲章「性的指向による差別の禁止」

 
「調達コード」とは、東京オリンピックパラリンピックに関係する物品やサービスなどをどこから調達するかというガイドラインのようなものです。
調達する先の企業もこのガイドラインに沿っている必要があり、その「企業」というのは、商品を製造していたりサービスを提供している企業だけでなく、例えばその材料を作っている企業や、ライセンスを受けている企業まで、いわゆるサプライチェーン全体に関わってきます。
 
では何故、その調達コードが企業のLGBT施策に関わってくるのでしょうか?
 
それは国際オリンピック委員会が定めるオリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が明記されており、オリンピックの開催国はこれに準ずる必要があるからです。
 
3月24日に承認された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能生に配慮した調達コード」では、性的指向性自認に関わる部分として以下の記述があります。
 
組織委員会は、「このオリンピック憲章の定める権利および自由は、人種、肌の色、性別、 性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」というオリンピック憲章の理念を強く支持する。」
 
差別・ハラスメントの禁止
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、人種、国籍、宗教、性別、性的指向性自認、障がいの有無、社会的身分等によるいかなる差別やハラスメントも排除しなければならない。
 
社会的少数者(マイノリティの権利尊重)
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、民族的・文化的少数者、性的少数者LGBT等)、移住労働者といった社会的少数者(マイノリティ)の人々の権利を、他の 人々と同様に尊重し、それぞれの特性に応じたプライバシー保護にも配慮しつつ、これらの 人々が平等な経済的・社会的権利を享受できるような支援に配慮すべきである。
 
雇用及び職業における差別の禁止
サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等に従事する労働者について、人種、国籍、 宗教、性別、性的指向性自認、障がいの有無、社会的身分等による雇用や賃金、労働時間その他労働条件の面でのいかなる差別もしてはならない。

 

つまり、東京オリンピックに関わる物品やサービスなどを調達(購入)する際は、この基準=調達コードを守っている、性的指向性自認による差別・ハラスメントを禁止している企業から集める必要があります。
しかも、製品を供給している企業だけでなく、その材料を作っている企業やライセンスを受けている企業など、関連企業全てに当てはまります。
 
具体的にどういうことが必要になってくるかを考えてみると、例えば性的指向性自認に関わる差別を禁止することを就業規則に明記したり、社内でLGBTに関する研修を実施したり、業界内でガイドラインを整備などが挙げられます。冒頭のKDDIやキリン、日本オラクルといった企業のような施策もこれからどんどん増えていくでしょう。
 
2017年2月に出された経済同友会の「ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査結果」では、対象の903社のうち、LGBTに対する施策を実施している企業は39.7%でした。実施している企業では、「相談窓口の設置」、「社内研修・勉強会の実施」 「差別禁止規定の明文化」等が特に効果を発揮した施策として挙げられています。
 
最近は塩崎厚生労働大臣も、差別をなくして働きやすい職場環境が大事だとし、ハラスメントをなくしていくべく努力する旨を国会で述べています。
東洋経済は毎年CSR調査LGBTの取り組みに関するアンケート調査を実施していたり、こういった調査も増えていくでしょう。今後、他の経済団体の動向も注目です。
 

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東京オリンピックに関わる企業だけの問題ではない

 
今回の「調達コード」は、もちろんLGBTだけでなく様々な「持続可能性」に配慮した基準が示されています。また、今回はあくまでも東京オリンピックパラリンピックに関わる企業が対象となるため、関係のない企業は特に調達コードを守る必要がないことになってしまいます。
 
LGBTは日本の人口の約8%、日本の6大名字「佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺、伊藤」ぐらい多いと言われています。この名字の人たちと出会ったことがない人はおそらくいないですよね。つまり、普段見えていないだけで、企業が提供するサービスを受ける人や、その企業で働く人、そこに関わる人の中にLGBTは必ずいます。
 
東京オリンピックの調達コードによって、業界を引っ張る企業が性的指向性自認に関わる差別を禁止し、様々なLGBTに関する施策を実施して他の企業に良い影響を与えていくと良いなと思います。
 
しかし、意識のある人や企業に期待し、待ち続けている間にも、当事者の中には就職活動で傷つけられたり、職場で不当な扱いを受けて苦しんでいる人がいます。
 
日本にはまだ性的指向性自認に関わる差別やハラスメントを禁止する法律がありません。職場や学校、医療など、あらゆる場面でそういった差別・ハラスメントを包括的に禁止する法律が求められます。
 
 

プロフィール

松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)

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1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program

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